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エッセイ:インフレ下の生活防衛で注目される「リユース関連銘柄」

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(画像= Canva、La Caprese)

2022年12月30日の大納会で、日経平均株価は2万6,094円50銭で取引を終了した。2022年1月4日の大発会の終値2万9,301円79銭からの騰落率はマイナス10.95%である。ちなみに、2022年の大発会では自動車や電機など輸出関連銘柄が買いを集め、トヨタ自動車 <7203> と日産自動車 <7201> の株価はともに6%を超える大幅高となった。日経平均株価も大発会としては2018年以来4年ぶりの上昇となった。少なくともこの時点では順調な滑り出しのように見えた。

情勢が急変したのは2022年2月24日、ロシアのウクライナに対する軍事侵攻だった。戦争が長引くにつれて原燃料価格が高騰、FRB(米連邦準備制度理事会)は政策金利の引き上げを進め、日米金利差の拡大を受けて為替市場では急ピッチで円安(ドル高)が進んだ。その結果、日本国内でも光熱費や生活必需品などの価格上昇が相次いだ。信用調査会社の帝国データバンクが食品主要105社を対象に行った調査では、2022年に値上げされた品目は実に2万822品目におよんだ。

こうした中、生活防衛の観点から廉価な中古品の需要が高まっている。特に2022年の秋口以降はリユースショップ等を運営する企業の好決算が相次いでおり、株式市場では「リユース関連銘柄」に注目する動きも広がっている。

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トレジャー・ファクトリーの営業利益は545.7%増

たとえば、2022年11月30日にはハードオフコーポレーション <2674> が年初来の高値を更新したほか、同12月23日にはトレジャー・ファクトリー <3093> が上場来高値を記録した。さらに12月27日にはブックオフグループホールディングス <9278> 、12月28日にはゲオホールディングス <2681> がそれぞれ年初来の高値を更新している。それぞれの銘柄と日経平均株価の2022年の年間騰落率は以下の通りである。

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(画像= これこれ / 写真AC、La Caprese)

業績をみてみよう。ハードオフコーポレーションが公表した2023年3月期・第2四半期決算は、売上高が前年同期比10.4%増の129億6,800万円、本業の利益を示す営業利益は同131.4%増の10億5,400万円と大幅な増収増益となった。同じく、ゲオホールディングスの2023年3月期・第2四半期決算は、売上高が13.6%増加の1,725億6,200万円、営業利益は324.5%増の62億9,200万円。ブックオフグループホールディングスの2023年5月期・第1四半期決算は売上高が12.0%増加の237億2,600万円、営業利益は279.1%増の5億5,100万円。トレジャー・ファクトリーの2023年2月期・第2四半期決算は、売上高が19.5%増の128億2,500万円、営業利益は545.7%増の10億200万円といずれの業績も絶好調である。

リユース市場の規模は12年間で2.4倍に

冒頭で述べた通り、帝国データバンクが食品主要105社を対象に行った調査では、2022年に値上げされた品目は2万822品目におよんだ。さらに、同社によると2023年1〜4月には7,152品目の値上げが予定されているという。これは前年同期に比べて1.5倍を超える規模である。どうやら、これから春先にかけて、家計に一段と厳しい情勢が続きそうな雲行きである。

ちなみに、リサイクル通信が発表した『リユース市場データブック2022』によると、リユース市場の規模は2009年の時点で1兆1,300億円であった。それが2021年には2兆6,900億円とこの12年間で2.4倍に拡大している。リサイクル通信によるとリユース市場の拡大傾向は今後も続く見通しで、2025年には3兆5,000億円規模に達すると予測されている。

引き続き、生活防衛の観点から「リユース関連銘柄」の業績を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

特集:生活防衛銘柄
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