記事内に広告が含まれています。

エッセイ:なぜ、大谷翔平選手は「美肌」なのか?

美肌,筋トレ,効果
(画像= Canva、La Caprese)

WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、日本代表「侍ジャパン」を優勝に導いたロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手。その大谷選手が広告モデルを務めるコーセーのハイプレステージブランド『コスメデコルテ』が売上を伸ばしている。

コスメデコルテの美容液「リポソーム アドバンスト リペアセラム」の広告に大谷選手が初めて登場したのは3月16日のこと。同日の主要百貨店の新規購入者数は(単日で)通常時の3.5倍を記録した。また、高島屋日本橋店では3月1日〜29日の売上高が前年同期の2倍を超えたという。コーセーの調べでは、特に男性購入者の増加が顕著で、通常の7〜8倍に達した。折しもWBCが盛り上がりを見せていたことに加え、インスタグラムに投稿された大谷選手のロッカーに、コスメデコルテの化粧水とクリームが置かれていたことも追い風となったようだ。

それにしても不思議である。プロ野球選手というのは、少年時代から球場で紫外線や砂ぼこりなどを大量に浴びていて、肌へのダメージは尋常ではないように思うのだが、実際には大谷選手のように美肌の人が多い印象を受ける。野球には美肌効果でもあるのだろうか?

スポンサーリンク

筋肉でつくられる「マイオネクチン」がシミを抑える

残念ながら野球の美肌効果は科学的に証明されていない。ただし、筋トレと美肌の関係性については近年着実に解明されている。後段で述べる通り、大谷選手が熱心に筋トレに取り組んでいることは、ファンの間でも広く知られている。

ちなみに、ポーラ化成工業は2018年9月にドイツのミュンヘンで開催された『第30回 国際化粧品技術者会連盟世界大会』において、「加齢と紫外線を受けてもシミができない人が存在する」こと、そして「その秘密を解く鍵が筋肉にある」との研究成果を発表している。

ポーラ化成工業は、最先端テクノロジーを用いたゲノム研究(GWAS)で「シミができない体質の人は、生まれつき筋肉の性質が異なる可能性がある」こと、また、体重あたりの体幹と下半身の総筋肉量が多い人ほど、顔のシミが少ないという事実を突き止めた。さらに、身体の筋肉と顔のシミの関係について、血液成分の解析と培養皮膚細胞を用いた検証を行ったところ、筋肉でつくられる「マイオネクチン」という物質が血液成分として皮膚に運ばれ、シミのもとであるメラニンの生成を抑えていることも示唆された。「マイオネクチン」は筋肉から分泌されるホルモン様物質(マイオカイン)の一種であり、ヒトは自らの筋肉でシミ抑制物質をつくり出していたことが明らかになった。

美肌,筋トレ,効果

▲出典:ポーラ化成工業

さらに、研究では体の筋肉量が多いほど、シワや毛穴の目立ち、色ムラなどが少ないことも明らかになった。このことから、筋肉は様々な美肌作用を秘めている可能性が示唆されたのである。

美肌の秘密を解く鍵は「筋肉」にある?

加えて、ポーラ化成工業は2020年10月の『第31回 国際化粧品技術者会連盟世界大会』において、筋トレが真皮の厚みの増加をもたらしているとの研究成果を発表している。

この研究は、①運動の種類における皮膚への影響と、②そのメカニズムを解明する……というもの。40代~50代の女性に対して、「有酸素性運動(エアロバイク)」か「筋トレ」のどちらかを週2回、16週間行ってもらい、皮膚状態および血中成分の変化を調べた。結果は、どちらの運動でも加齢で悪化する皮膚弾力と真皮の構造の改善が確認された。これは、運動により血中成分が変化し、影響を受けた皮膚の細胞(線維芽細胞)が真皮を構成する成分をたくさんつくるためと考えられる。

だが、本研究で注目されたのは、特に筋トレにおいて真皮の厚みの増加が認められたことだ。本研究では、筋トレによって「バイグリカン」という真皮を構成する成分が増加することで、真皮の厚みが増加することが示唆されたのだ。ポーラ化成工業は、真皮が厚い人は顔のシミ、シワ、たるみが少なく、若々しい印象を与えることが明らかになり、筋トレは「はつらつとした肌」を実現する手段になる可能性が示された、と結論づけている。

大谷選手の筋トレといえば、デッドリフトで推定240キロ以上を持ち上げるSNS等の映像をご存知の人もいることだろう。実は筆者は、先月東京ドームで大谷選手を間近で見たのであるが、とにかくデカい。映像ではわかりにくかったが、実際に間近で見るとユニフォームの下にアメリカンフットボールのプロテクターを着用しているのではないかと思うほど筋肉が隆起しているのがわかる。もちろん、肌も驚くほど綺麗だった。今回紹介したポーラ化成工業の研究成果が示すように、大谷選手の美肌の秘密を解く鍵はその「筋肉」にあるのかもしれない。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

特集:美肌を科学する
美肌,科学的根拠
タイトルとURLをコピーしました