2022年12月28日、東京証券取引所でゲオホールディングスの株価が一時2,322円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月27日につけた年初来安値の1,106円から11カ月で109.9%の上昇である。
ゲオホールディングスは、メディアショップの「GEO」やリユースショップチェーンストア「セカンドストリート」などを全国展開するゲオグループの持株会社である。各店舗ではDVDやCD等のレンタルに加えて、中古テレビゲームや古本、古着などを取り扱っている(店舗によっては新品も扱う)。ちなみに、今年11月11日にゲオホールディングスが発表した『2023年3月期 第2四半期 決算説明資料』(37頁)によると、同社は2021年における日本国内の音楽・映像レンタル市場の占有率で48.7%とトップシェアを誇っている。
ところで、今年はウクライナ戦争の長期化等を背景とした原燃料価格の高騰や、為替市場の急速な円安進行を背景とした物価上昇に見舞われた1年であった。円安はここにきて一服しているが、情勢はあまりにも不透明だ。そうした中、生活防衛の観点から株式市場では「リユース関連銘柄」に注目する動きもみられる。ゲオホールディングスの株価が年初来高値を更新したのも、そうした投資人気が作用している側面もあるようだ。
今回はゲオホールディングスの業績をみてみよう。
ゲオホールディングス、営業利益は324.5%増
ゲオホールディングスが公表した2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~2022年9月30日)の連結業績は、売上高が前年同期に比べて13.6%増加の1,725億6,200万円、本業の利益を示す営業利益は同324.5%増の62億9,200万円、経常利益は同279.9%増の75億7,400万円、純利益は同523.6%増の45億2,500万円と大幅な増収増益となった。
同期のリユース系リユース商材は、リユースラグジュアリー商材の売上が想定を下回る一方で、リユース衣料服飾雑貨が物価高による「生活防衛手段」としてのリユースへの需要増加を背景に想定を上回って推移することとなった。その結果、リユース系リユース商材全体の売上は増加した。
一方、メディア系リユース商材は、リユースゲームソフトの売上高が減少したものの、リユースゲーム機器本体の売上高は増加した。また、スマートフォンやタブレット端末などのリユース通信機器については、2021年10月1日以降発売の端末SIMロック販売の原則禁止による市場の活性化に加え、新品価格の高騰による節約志向が、リユース通信機器の販売に追い風となった。その結果、メディア系リユース商材全体の売上高は増加した。
新品商材は、家庭用ゲーム機「PlayStation 5」本体の供給不足が継続する一方で、「Nintendo Switch」本体の売上高は好調に推移した。また、レンタル商材については、配信サービスの普及とレンタル市場の縮小に伴い、想定の範囲内ながら売上は減少することとなった。
セカンドストリート、米国への進出にも注目
11月11日、ゲオホールディングスは、2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の通期連結業績予想について、売上高で前期比4.5%増加の3,500億円、本業の利益を示す営業利益で同22.3%増の100億円、経常利益で同19.0%増の115億円、純利益で同3.9%減の57億5,000万円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年5月13日公表)と比較して、売上高で変わらず、営業利益で42.9%の上方修正、経常利益で51.3%の上方修正、純利益で51.3%の上方修正である。
なお、ゲオホールディングスは12月26日、リユースショップの「セカンドストリート」の米国法人「2nd STREET USA,Inc.(セカンドストリートUSA)」が米国で20店舗の出店を達成することを明らかにした。セカンドストリートUSAは今年12月3日に米国テキサス州ダラスへ出店したほか、2023年1月7日にはテキサス州フリスコにも出店する予定で、これら2店舗の出店により、米国で20店舗を達成することになる。ちなみに、ゲオホールディングスは『2023年3月期 第2四半期 決算説明資料』(26頁)で、米国のリユース市場の規模は2021年の350億ドルから2026年には820億ドルまで拡大するというデータを紹介している。今回の出店もこうした市場規模の拡大を見据えたものとみられる。
引き続き、ゲオホールディングスの業績・株価に注目しておきたい。■
(La Caprese 編集部)