東証プライムに上場するハードオフコーポレーションは、新潟県新発田市に本社を置き、リユースショップを国内外で展開する企業である。2022年11月末時点で直営とフランチャイズの合計で922店舗(日本909店舗、海外13店舗)を展開している。同社の源流は50年前、1972年に新潟県新発田市で創業したオーディオ店「サウンド北越」にまでさかのぼる。現在のリユースショップに業態転換したのは21年後の1993年のことで、新潟市でハードオフ1号店を開店したのが始まりであった。1994年にはフランチャイズ事業を開始し、1995年には現社名の「ハードオフコーポレーション」に商号変更した。
ところで、2022年はロシアのウクライナに対する軍事侵攻に端を発した原燃料価格の高騰や、為替の急速な円安進行等を背景に光熱費や生活必需品などの価格上昇に見舞われた。こうした中、生活防衛の観点から廉価な中古品需要が高まっている。株式市場でもブックオフグループホールディングス <9278>やゲオホールディングス <2681>、トレジャー・ファクトリー <3093>、そしてハードオフコーポレーションといった「リユース関連銘柄」が人気化した。ちなみに、ハードオフコーポレーションの株価はこの1年で80.06%上昇している。
今回はハードオフコーポレーションの業績をみてみよう。
ハードオフコーポレーション、営業利益は131.4%増
ハードオフコーポレーションが公表した2023年3月期・第2四半期(2022年4月1日~2022年9月30日)の連結業績は、売上高が前年同期に比べて10.4%増の129億6,800万円、本業の利益を示す営業利益は同131.4%増の10億5,400万円、経常利益は同119.0%増の11億4,500万円、純利益は同84.6%増の7億3,800万円と大幅な増収増益となった。
第2四半期連結累計期間は個人消費を中心に緩やかな持ち直しの傾向が見られたが、その一方でウクライナ戦争が長期化の様相を呈し、為替市場でも円安が急激に進むなど先行き不透明な情勢が続いた。そうした中、(1)社会全体でSDGs(持続可能な開発目標)推進が拡大する中でのリユース意識の高まり、(2)インフレに伴う廉価なリユース品需要の増加等がハードオフコーポレーションの業績に追い風となり、上記の通り大幅な増収増益をもたらした。
なお、第2四半期連結累計期間のリユース店舗の出店状況は、直営店9店舗を新規出店する一方で8店舗を閉店、フランチャイズ加盟店は5店舗を新規出店する一方で3店舗を閉店した。その結果、2022年8月末のリユース店舗数は直営店397店舗、フランチャイズ加盟店520店舗となり、合計917店舗となった(注:2022年11月末時点の店舗数は直営とフランチャイズの合計で922店舗)。
ちなみに、第2四半期連結累計期間の既存店売上高は10.4%増と好調に推移した。また、インターネット売上高は前年同期比で29.4%増、米国および台湾の店舗の売上高も好調を継続して業績に寄与した。
通期は売上高、営業利益、経常利益、純利益で過去最高を更新する見通し
11月8日、ハードオフコーポレーションは2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比8.1%増の265億円、本業の利益を示す営業利益で同40.5%増の21億5,000万円、経常利益で同37.8%増の23億円、純利益で同34.4%増の14億円となる見通しを示した。これは従来予想(2022年8月4日公表)に比べて、売上高で3.1%、営業利益で15.0%、経常利益で15.0%、純利益で14.8%の上方修正である。
ハードオフコーポレーションは上方修正の理由について、(1)第2四半期累計期間の国内既存店売上高が計画を上回って推移したこと、(2)インターネット売上高、海外店舗も好調を継続したこと、(3)その結果、全社売上高、営業利益、経常利益、純利益が計画を上回って推移したことを挙げている。ちなみに、予想通りの業績となれば売上高、営業利益、経常利益、純利益はいずれも過去最高を更新する見込みである。
なお、12月12日にハードオフコーポレーションが発表した2022年11月の既存店売上高は前年同月に比べて8.9%増となり、15カ月連続で前年実績を上回った。同月はハードオフやオフハウス、モードオフ、ガレージオフ、ホビーオフ、ブックオフ業態が好調で既存店売上高の増加に寄与した。リユース品需要は、引き続き好調に推移している。
ハードオフコーポレーションの業績・株価動向に今後も注目しておきたい。■
(La Caprese 編集部)