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安楽亭、営業黒字に転換。株価は年初来高値、2024年3月期・通期予想を上方修正

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(画像= La Caprese)

2023年8月17日、東京証券取引所で安楽亭の株価が一時7,580円まで買われ、年初の来高値を更新した。今年1月5日の安値6,920円から7カ月余りで9.5%の上昇である。

安楽亭は、焼肉を中心に各種飲食店を運営する企業である。安楽亭の店舗運営は、「食を通じて地域社会の豊かな生活文化の向上に貢献する」との経営理念のもと、ファミリーが気軽に足を運べる価格設定とサービスを特徴としている。消費者ニーズが多様化する中、焼肉レストランの安楽亭を筆頭に、七輪房、ステーキのどん、しゃぶしゃぶどん亭、フォルクス(ステーキ)、花炎亭、からくに屋などさまざまな飲食店をチェーン展開している。

後段で述べる通り、安楽亭が8月10日に公表した①2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績で営業損益が黒字転換するなどV字回復を鮮明にしたほか、②2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したこと……が株価にも刺激材料となった。

今回は安楽亭の話題をお届けしよう。

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安楽亭、営業黒字に転換

8月10日、安楽亭は2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比4.8%増の72億5,600万円、本業の利益を示す営業利益は2億6,000万円(前年同期は2億5,300万円の営業損失)、経常利益は前年同期比9.9%増の2億5,500万円、純利益は同577.6%増の3億1,100万円となった。

同期は、外食産業全般に新型コロナウイルスへの警戒感が薄らぎ、客足は回復傾向にあるものの、物価上昇に対する消費者の生活防衛意識は根強く、また、原材料価格やエネルギーコスト等の高騰、人材不足等の問題もあって、依然として厳しい経営環境が続いた。このような環境下、安楽亭は「食を通じて地域社会の豊かな生活文化の向上に貢献する」との経営理念のもと、新型コロナウイルス禍を経て変化した消費者の意識・行動をとらえ、商品開発や販売促進、オペレーション改善に取り組んできた。その結果、営業損益で黒字に転換するなど回復傾向を示した。

セグメント別の状況は以下の通りである。

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安楽亭・七輪房業態

安楽亭・七輪房業態の売上高は前年同期比5.8%減の29億5,300万円、セグメント利益(営業利益)は3,700万円(前年同期は8,700万円のセグメント損失)となった。同期末(2023年6月30日時点)の安楽亭・七輪房業態の店舗数は179店舗で、内訳は直営126店舗、暖簾16店舗、FC37店舗であった。

同期は、「安楽亭」にて素材の特長を生かす「自然肉」の美味しさと価値を消費者にダイレクトに伝える新メニュー「ワイルドシリーズ」として、「ワイルドカルビ」「ワイルドロース」に続き、今年4月には「ワイルド上タン」の販売を開始した。「ワイルドシリーズ」は、安楽亭創業60周年記念大皿「煌き(きらめき)」等により積極的な販売訴求を推進した。一方で、メニューの価格レンジを拡大してより幅広いニーズにこたえるため、税込み500円の「ワンコインランチ」の販売を再開した。

さらに、ディナーの時間帯の来店を促進する施策として20時以降来店の消費者限定で生ビールやカルビ等をプレゼントする企画を行ったほか、消費者からの多数の要望を受け、「牛タンシチュー」など往年の人気メニューの復活販売等を実施した。

一方、「七輪房」では、ゴールデンウィーク特別メニューとして上タンや黒毛和牛を盛り合わせた「人気部位満喫盛り」を販売するなど、多様で上質な肉の魅力をアピールするフェアを実施した。さらに、ディナー時間帯の来店促進として「20時以降来店のお客様限定 生ビール20%OFFクーポン」、春の入学シーズンに「春の学割クーポン」を配信するなど、ニーズや時節に合わせた施策を実施した。

アークミール業態

アークミール業態の売上は前年同期比13.7%増の41億7,100万円、セグメント利益(営業利益)は3億2,600万円(前年同期は4,800万円のセグメント損失)となった。同期末(2023年6月30日時点)のアークミール業態の店舗数は131店舗で、内訳は直営129店舗、FC2店舗であった。

同期は、❶「ステーキのどん」「しゃぶしゃぶどん亭」「フォルクス」の各業態において「母の日ウィーク」「父の日ウィーク」としてお肉やデザートのプレゼントクーポンを配信、❷日替わりランチメニューへのポークグリル新規導入(ステーキのどん)、❸土日祝限定のお寿司やデザートをしゃぶしゃぶとあわせて楽しめる「スペシャルランチ膳」(どん亭)の販売……など、積極的に来店促進の施策を展開した。

その他業態

その他業態の売上高は前年同期比12.2%増の1億3,100万円、セグメント損失(営業損失)は500万円(前年同期は600万円のセグメント損失)となった。

同期末(2023年6月30日時点)のその他業態の店舗数は7店舗で、内訳は直営5店舗、FC2店舗であった。ちなみに、その他業態には「からくに屋(焼肉)」「花炎亭(焼肉)」「上海菜館(中華)」「カフェビーンズ(喫茶)」「安楽亭ベトナム(焼肉)」が含まれている。

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2024年3月期・通期予想を上方修正

8月10日、安楽亭は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比2.0%減の279億9,600万円、本業の利益を示す営業利益で5億3,100万円(前期は1億200万円の営業損失)、経常利益で前期比106.9%増の5億1,300万円、純利益で3億6,800万円(前期は2億5,300万円の純損失)となる見通しを示した。これは従来予想(5月12日公表)に比べて売上高でプラス0.9%、営業利益でプラス29.2%、経常利益でプラス32.2%、純利益で33.8%の上方修正である。

前述の通り、外食産業は新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で、客足は回復傾向にあるものの、物価上昇に対する消費者の生活防衛意識は根強く、また、原燃料価格の高騰や人材不足の問題もあって、依然として厳しい経営環境が続いている。そうした中、ファミリーが気軽に足を運べる価格設定とサービス提供を貫く安楽亭の業績を引き続き注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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