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大庄、今期は最終黒字を予想。株価は年初来高値、企業価値の向上図り黒字化目指す

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(画像= La Caprese)

2023年10月27日、東京証券取引所で大庄の株価が一時1,244円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月17日の安値1,001円から9カ月余りで24.3%の上昇である。

大庄は、居酒屋や寿司屋、肉専門店などの飲食店をチェーン展開する企業である。その源流は、1968年に東京都大田区にて開店した6坪の若鳥焼店「とき」にまでさかのぼる。当初は閑古鳥が鳴くお店を繁盛店に育てるプロセスで培われたのが、「お客様との絆を大切にして、手づくりと健康・安全・安心にこだわる」という創業精神であった。55年の時を経た今も、その精神は大庄のDNAとして脈々と受け継がれている。現在は、「庄や」「やるき茶屋」「築地寿司岩」「とり家ゑび寿」「Café & BakeryMIYABI」など338店舗(2023年8月現在)を展開する企業に成長している。

後段で述べる通り、大庄が10月16日に公表した2023年8月期・通期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績は最終赤字となったが、2024年8月期・通期(2023年9月1日~2024年8月31日)の連結業績予想については最終黒字に復活する見通しが示されたことが、株価にも刺激材料となった。

今回は大庄の話題をお届けしよう。

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大庄、6つの業績改善策を推進

10月16日、大庄は2023年8月期・通期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比27.1%増の454億9,500万円、営業赤字は4億6,100万円(前期は53億9,000万円の営業赤字)、経常赤字は4億8,600万円(前期は4億1,000万円の経常赤字)、最終赤字は7億6,900万円(前期は7億7,000万円の最終赤字)となった。

同期は、新型コロナウイルスの位置付けが5類感染症になるなど、行動制限の緩和が進んだこと等により、経済活動は緩やかに回復しつつあるものの、一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化、円安の進行、物価の上昇等により先行きは依然として不透明な状況が継続した。外食業界においても需要は回復基調にあるものの、新型コロナウイルスによる生活様式の変化や原燃料価格の高騰、人手不足等の影響により、引き続き厳しい経営環境にある。

こうした中、大庄は企業価値の向上を目指し早急な業績の改善を図るため、①新業態を含めた業態変更の推進、②原材料価格の高騰も踏まえたグランドメニューの改定、③外販事業およびロジスティクス事業の展開、④デリバリー・テイクアウト事業への取組み、⑤販売促進・業務効率化両面でのDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進、⑥VC(ボランタリーチェーン)事業の推進……等の施策を推進した。店舗展開では、新規出店を9店舗、店舗改装を9店舗、店舗閉鎖を55店舗(うちVCへの移行を13店舗)実施。2023年8月現在のグループ店舗数は338店舗(直営244店舗、フランチャイズ44店舗、VC50店舗)となった。

なお、上記に示す通り通期については営業赤字となったが、飲食事業の着実な回復、外販・ロジスティクス事業やVC施策推進等が奏功し、3月以降は営業黒字で推移している。その結果、下半期累計では3億6,200万円の営業利益となった。

セグメント別の概況は以下の通りである。

飲食事業

飲食事業は、足許の飲食需要の回復や各種営業施策への取組み等により、売上高は前期に比べて13.3%増加の225億2,500万円となった。

卸売事業

卸売事業は、グループ外部取引先への食材等卸売が増加したこと等により、売上高は前期に比べて106.8%増加の122億3,600万円となった。

不動産事業

不動産事業は、転貸を含む賃貸物件の家賃収入が増加したこと等により、売上高は前期に比べて7.3%増加の16億2,300万円となった。

フランチャイズ事業

フランチャイズ事業は、VC店舗の増加に伴い営業権利用料収入が増加したこと等により、売上高は前年同期に比べて245.3%増加の8億7,000万円となった。

運送事業

運送事業の売上高は前年同期に比べほぼ横ばいの79億5,200万円となった。

その他事業

その他事業の売上高は前期に比べて15.3%減少の2億8,600万円となった。

企業価値の向上を図り、通期での黒字化を目指す

10月16日、大庄は2024年8月期・通期(2023年9月1日~2024年8月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比12.8%増の513億円、本業の利益を示す営業利益で7億5,000万円、経常利益で7億5,000万円、最終利益で5億5,000万円と黒字に転換する見通しを示した。

大庄は2024年8月期の経営環境について、5月に新型コロナウイルスの位置付けが5類感染症になったこともあり、個人消費や設備投資などの経済活動は持ち直しの動きが見られるものの、一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化や原材料価格の高騰、人手不足によるコスト増加など、依然として先行き不透明な状況にあるとしている。厳しい環境ではあるが、❶店舗業態戦略として各業態のブランディング強化、❷強化業態への業態変更の取組み、❸調理オペレーション・仕入購買両面からの原価管理の徹底、❹デジタルマーケティング等による集客力強化、❺卸売事業における外販・ロジスティクス事業の拡大と収益力強化、❻DXによる業務効率化の推進継続、❼その他各セグメント(不動産事業・フランチャイズ事業等)の収益力強化……等を推進することによって、企業価値の向上を図り、通期での黒字化を目指すとしている。

引き続き、大庄の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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