2024年4月26日、東京証券取引所で西松建設の株価が一時4,720円まで買われ、年初来高値を更新した。今年1月5日の安値3,955円から3カ月半で19.3%の上昇である。
西松建設は、東京都港区に本社を置く総合建設会社(準大手ゼネコン)である。1874年(明治7年)の創業以来、150年にわたる歴史と伝統によって培われた技術力を強みに、道路やダムなど公共施設の建設や都市再開発等、社会基盤の整備や環境づくりを担ってきた総合建設会社の老舗(しにせ)である。ちなみに、西松建設がこれまでに手がけた施工ダム数は193箇所以上を誇る。日本国内はもちろんのこと、海外の工事案件も請け負っている。
後段で述べる通り、西松建設は4月26日に、❶2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したことに加え、❷期末配当予想も従来計画の93円から140円に増額修正(年間配予想は220円)すると発表したこと……などが株価にも刺激材料となったようだ。
今回は西松建設の話題をお届けしよう。
西松建設、営業利益は24.5%増
2月6日、西松建設は2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比20.3%増の2,948億4,300万円、本業の利益を示す営業利益は同24.5%増の148億7,700万円、経常利益は同25.3%増の156億3,800万円、純利益は同17.3%増の102億9,300万円と大幅な増収増益となった。
同期は雇用・所得環境の改善を背景に緩やかな景気回復が見られたものの、世界的な金融引き締めによる海外景気の下振れ懸念や中東地域などの地政学的リスクなど依然として予断を許さない情勢が継続した。建設業界では、政府建設投資および民間建設投資ともに増加傾向にあるが、建設資材の価格高騰や人手不足による人件費上昇の影響により、注視が必要な状況が続いた。
こうした経営環境下、西松建設の売上高は国内土木工事および不動産事業等が減少する一方で、主に国内建築工事が伸長したことから、前年同期に比べて20.3%増となった。利益面では、営業利益で国内土木工事の完成工事総利益および不動産事業等総利益が減少したものの、国内建築工事および海外工事の完成工事総利益が増加したことにより、同24.5%増と大幅に伸長した。その結果、経常利益は同25.3%増、純利益は17.3%増となった。
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通期予想を上方修正、期末配当予想の増額修正も好材料
4月26日、西松建設は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比18.2%増の4,016億円、本業の利益を示す営業利益で同49.0%増の188億円、経常利益で同48.0%増の195億円、純利益で同27.5%増の123億円と大幅な増収増益となる見通しを示した。これは従来予想(2024年2月6日公表)に比べて、売上高でプラス3.6%、営業利益でプラス13.9%、経常利益でプラス14.7%、純利益でプラス7.9%の上方修正である。
西松建設は上方修正の理由について、①売上面で主に国内建築工事が想定以上に進捗したこと、②利益面では、主に国内土木工事における設計変更の獲得等による完成工事総利益の上振れや、不動産事業等総利益の上振れ等により、各段階利益(営業利益・経常利益・純利益)が想定を上回る見込みとなった……ことを挙げている。
なお、冒頭でも述べた通り、西松建設は期末配当予想について従来計画の93円から140円に増額修正(年間配予想は220円)することを明らかにした。西松建設は永続的な発展に向けた経営基盤の強化のため、内部留保の充実を図りつつ、経営環境や業績を総合的に勘案しながら、安定的かつ継続的に利益還元していくことを基本方針とし、「中期経営計画 2025」において連結配当性向70%を目標として株主還元を実施することとしている。今回の増額修正は、これらの基本方針等に基づくものとしている。
引き続き、西松建設の業績や株価を注視しておきたい。■
(La Caprese 編集部)