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コーセー、新テレビCM「大谷翔平効果」で業績期待も。株価は2カ月弱で27.3%上昇、マスク着用の任意化も追い風

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年3月9日、東京証券取引所でコーセーの株価が一時1万6,030円まで買われ、今年1月17日の安値1万2,590円からおよそ2カ月弱で27.3%の上昇を記録する場面がみられた。コーセーの株価は、2022年1月28日の安値1万円から2022年10月5日の高値1万6,390円まで63.9%上昇したあと調整ムードが広がっていたが、ここにきて再び水準を切り上げてきた。

コーセーは、先週3月7日にスキンケアブランド『雪肌精』の日焼け止め「UVエッセンスジェル」の新テレビCMに大谷翔平選手を起用すると発表した。折しも、株式市場では野球の世界一を決定するWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の開幕を控え、WBC関連銘柄を物色する動きが広がっていたこともあって、コーセーの「大谷翔平効果」による業績期待が高まったようだ。加えて、一部報道では3月13日からマスク着用が任意になることや、中国のゼロコロナ政策の撤廃を受けたインバウンド(訪日外国人)による化粧品需要への期待感が追い風になっているとも指摘されていた。2023年3月3日付の日経電子版は、『コーセー、5カ月ぶり高値 マスク着用の任意化に期待』のタイトルの記事を伝えている。

今回はコーセーの業績を見てみよう。

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コーセー、調整後前期比で大幅な増収増益

2月13日、コーセーは2022年12月期(2022年1月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表した。なお、2021年12月期が決算期変更(9カ月決算)のため、2022年12月期の各数字の増減率は「前の期の決算期変更の影響を除いた実質ベース(調整後前期比)」で示している。

コーセーの2022年12月期の売上高は調整後前期比で7.5%増の2,891億3,600万円、本業の利益を示す営業利益は同41.1%増の221億2,000万円、経常利益は同28.8%増の283億9,400万円、純利益は同68.6%増の187億7,100万円となった。

同期は中国での断続的なロックダウンの影響に加えて、韓国においても減収となったものの、日本の百貨店・専門店チャネルにおけるハイプレステージ、欧米を中心に展開する「タルト」が業績を牽引した。加えて、原価率の低減および販管費の抑制で営業利益が押し上げられたほか、経常利益では為替差益が大幅に増加、純利益も急増した。その結果、上記の通り、前の期の決算期変更の影響を除いた実質ベースで大幅な増収増益を記録した。

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化粧品事業が好調、「雪肌精」が回復基調に

セグメント別では、主力の「化粧品事業」の売上高が調整後前期比7.9%増の2,349億6,900万円、営業利益が同28.5%増の254億700万円と好調だった。同期はハイプレステージにおいて「デコルテ」や「アルビオン」が日本で引き続き好調に推移する一方で、中国(トラベルリテール事業を除く)や韓国は苦戦した。それ以外のブランドでは「ジルスチュアート」「アディクション」が、日本のメイクアップ市場の需要回復に伴って業績が伸長した。また、欧米で展開する「タルト」はSNSでのプロモーションが功を奏し、主力商品や新商品が売上を伸ばした。さらに、プレステージの主力ブランドである「雪肌精」は下期から回復基調となっている。

「コスメタリー事業」のセグメントは、売上高が調整後前期比6.2%増の522億3,400万円、営業利益は同182.0%増の11億100万円と好調だった。同期はコーセーコスメポートのヘアケアブランド「ビオリス」が苦戦したものの、「クリアターン」や、メイクアップブランドの「ヴィセ」、ヘアケアブランドの「スティーブンノル ニューヨーク」などが好調に推移し、業績に寄与した。

「その他の事業」のセグメントは、売上高が調整後前期比6.3%減の19億3,300万円、営業利益は同36.9%増の10億6,700万円と減収増益となった。同期はホテルやゴルフ場向けアメニティ製品の販売やOEM生産の受注が減少したものの、売上原価率の低下により営業利益は押し上げられることとなった。

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コーセー、2023年12月期は増収減益となる見通し

2月13日、コーセーは2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.5%増の3,050億円、本業の利益を示す営業利益で同5.1%減の210億円、経常利益で同28.5%減の203億円、純利益で同29.1%減の133億円と増収減益となる見通しを示した。

コーセーはその理由について、日本および中国においてコロナ後の景気回復が見込まれるものの、2022年における円安影響の反動が想定されること、米国の景気減速が見込まれること、積極的なマーケティング投資を実施することを挙げている。コーセーは、2023年の世界経済について、物価上昇に対する中央銀行による利上げと、ロシアによるウクライナ侵攻が長引き、経済活動の重しとなることが予想される……との見立てを示しており、業績予想についても慎重にならざるを得ないようだ。

コーセーの慎重な業績予想とは裏腹に、株式市場では「大谷翔平効果」やマスク着用の任意化、インバウンドによる化粧品需要への期待感が広がっているが、今後業績予想の修正があるのかどうか、株価の動きとともに気になるところである。■

(La Caprese 編集部)

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