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筋トレによる「血中成分の変化」が美肌効果をもたらす可能性――ポーラ化成工業と立命館大学の共同研究

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(画像= yama12345 / 写真AC、La Caprese)

2023年7月14日、ポーラ化成工業は立命館大学との共同研究で、①有酸素性運動と筋力トレーニング(以下、筋トレ)の両方が皮膚の弾力性と真皮構造を改善させること、②特に筋トレは真皮の厚みを増加させ、美肌効果など若々しい外見に貢献する可能性があること……を解明したと発表した。

研究グループは、本研究成果の社会的な意義について、「筋トレが健康だけでなく美肌にとっても良い作用があることが科学的に示されたことで、運動を始めるきっかけや継続するモチベーションとして役立つことが期待されます」としている。なお、本研究成果は2023年6月23日に、米科学雑誌「Scientific Reports」にて掲載された。

本研究の概要は以下の通りである。

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筋トレは、皮膚の老化を改善する

本研究のポイント

▼有酸素性運動と筋トレ(レジスタンス運動)は、どちらも皮膚老化を改善
▼特に、筋力トレーニングは加齢によって薄くなり見た目の若々しさに関連する真皮の厚み(※1)まで改善
▼その機序として、運動による血中成分の変化と、それによる真皮の細胞外基質(※ 2)(ECM; Extracellular Matrix)の増加が関与していることを解明

(※1) 顔のシミ、シワ、たるみ、見た目の若々しさに関連 
(※2) コラーゲン、ヒアルロン酸、プロテオグリカンなどを含む

年齢を重ねても健康で美しく、彩りある人生を歩むために

本研究では、有酸素性運動と筋トレは、どちらも皮膚老化の指標である皮膚弾力性と真皮構造を改善し、その機序として運動による「血中成分の変化」が皮膚の重要な層である真皮の細胞外基質を増加させることが明らかになった。さらに、筋トレは加齢によって薄くなっていく真皮の厚みも改善することも解明した。その機序として筋トレによって血中の炎症性ケモカイン(CCL28とCXCL4)が減り、その影響で真皮の細胞外基質の一種バイグリカン(※3)が増えるためであることも突き止めた。

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(図1) 出典:ポーラ化成工業

研究者の一人(筆頭著者)でポーラ化成工業のフロンティアリサーチセンターの副主任研究員/立命館大学 スポーツ健康科学部の錦織秀氏は、「本研究から、運動のメリットがまた一つ明らかになりました。本研究成果をきっかけに運動をする人が増え、年齢を重ねても健康で美しく、彩りある人生を歩む人が一人でも多く増えることを願っています」とコメントしている。

注釈

(※3) プロテオグリカンの一種。バイグリカンを持たないマウスは真皮が薄くなるとの報告あり

【補足資料】 論文情報および研究の背景・意義

▼論文名:
Resistance training rejuvenates aging skin by reducing circulating inflammatory factors and enhancing dermal extracellular matrices
(レジスタンス運動は、血中の炎症因子を減少させ真皮の細胞外基質を増加させることにより 皮膚の老化を改善する)

▼著者:
Shu Nishikori1,2, Jun Yasuda1, Kao Murata1, Junya Takegaki1, Yasuko Harada2, Yuki Shirai2, Satoshi Fujita1
1 立命館大学 スポーツ健康科学部
2 ポーラ化成工業株式会社 フロンティアリサーチセンター

▼発表雑誌: Scientific Reports
掲載日: 2023 年 6 月 23 日(金) 22 時(日本時間)
DOI: 10.1038/s41598-023-37207-9
URL: https://www.nature.com/articles/s41598-023-37207-9

研究の背景

運動は脳や筋肉の老化に対してアンチエイジング効果を示しますが、皮膚に対してどのような効果を有するかについてはよく分かっていませんでした。特に、筋力トレーニングの皮膚に対する効果について は世界的にも先行研究がなく、そのメカニズムも不明でした。

研究の内容

40〜50代の女性61名を有酸素性運動の群と筋力トレーニングの群に分け、4カ月間にわたり週2回の運動(※4)を行っていただきました。

試験期間の前後で皮膚計測、採血、体組成測定、運動パフォーマスの評価などを実施し、運動介入による変化を解析しました。また、運動前後に採取した血液の成分解析や、血液サンプル(血漿)が真皮線維芽細胞の真皮 ECM の遺伝子発現量に与える影響を解析することで、運動による皮膚老化改善メカニズムの解明を試みました。

なお、本研究の一部は、2020年の第 31 回国際化粧品技術者会連盟(IFSCC)世界大会でも発表されました。

(※4) 1回の運動量:筋力トレーニングでは、上半身から下半身にわたるさまざまな部位の筋トレ6種類についてその人のあげられる最大重量を算出し、最初50%から徐々に負荷量を増やし最終的に75〜80%の負荷量で10回×3セット。有酸素性運動では、その人の最大心拍数の65〜70%で30分。

社会的な意義

本研究により、筋力トレーニングが健康だけでなく美肌にとっても良い作用があることが科学的に示されたことで、運動を始めるきっかけや継続するモチベーションとして役立つことが期待されます。

特集:美肌を科学する
美肌,科学的根拠
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