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スノーピーク、純利益は72%減。株価は年初来安値、卸先の在庫調整進まず

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※画像はイメージです。(画像= 39Photo / 写真AC、La Caprese)

2023年10月4日、東京証券取引所でスノーピークの株価が一時1,071円まで売られ、年初来の安値を更新した。今年1月10日の高値2,433円から9カ月足らずで56.0%の下落である。

スノーピークは、アウトドア製品の開発・製造・販売およびアウトドア事業等を手がける企業である。その源流は1958年に新潟県燕三条地域で創業した金物問屋「山井幸雄商店」にまでさかのぼる。創業者の山井幸雄氏は登山家でもあったが、当時の登山道具に満足できず、金物職人の技術を活かしてオリジナルの登山用品を開発した。使いやすくクオリティの高い登山用品は、次第に山好きの注目を集め、1963年にはスノーピークブランドを立ち上げ登山やアウトドア用品分野に本格的に進出した。現在は、アパレル製品の開発・製造・販売のほか、アーバンアウトドア事業、キャンピングオフィス事業、地方創生事業、グランピング事業などを展開している。

後段で述べる通り、スノーピークが発表した、①2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績が大幅な減収減益となったことに加え、②2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想が下方修正されたことなどが株価の地合い悪化を招いているようだ。

今回はスノーピークの話題をお届けしよう。

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スノーピーク、純利益は72%減

8月10日、スノーピークは2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比16.3%減の131億4,000万円、本業の利益を示す営業利益は同80.5%減の4億9,800万円、経常利益は同69.1%減の7億9,800万円、純利益は同72.0%減の4億8,000万円と減収減益となった。

同期は、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが5類に引き下げられたことにより、ショッピング等の外出や旅行・出張など人々の移動が活発になり、経済活動の正常化が進んだ。しかし、その一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化や、米国における金融機関の破綻、さらに世界的な金融引き締めなど、世界的には不透明な状況が継続した。

こうした中、スノーピークの直営店における来店客数は前年同期比で増加したほか、同じく新規会員数も増加するなど、スノーピークブランドに対する認知の高さ・需要の高さに変化は見られなかった。しかし、その一方で、スポーツ量販店などの卸売先においては、アウトドア関連商材の在庫が多くあり、その在庫消化に向けた動きが継続している。その結果、同期の売上高は主に国内卸売チャネルでの納品が進まなかったことにより減収となった。一方、営業利益は販管費を予算より削減したものの、売上減少の影響が大きく減益となった。

国内、直営店の来店客数は増加しているが…

国内事業では、先に述べた通り、直営店の来店客数は増加しており、売上も堅調に推移した。また、6月に開催した雪峰祭では、多くの消費者が来店した。しかし、その一方で、卸売では、昨年仕入れた他社ブランドの在庫が引き続き過大な状況であり、結果として、スノーピークブランドの納入(セルイン)が進まず、売上高は前年同月を下回る状況が続いた。また、海外事業は、新型コロナウイルスの収束によるアウトドア・キャンプ以外の旅行などの多様なレジャー需要が増加していることに加えて、資源価格や金利上昇によるインフレが進展し景気悪化懸念が根底にあることなどから、全地域において前年同期を下回った。

米国の販路拡大施策を推進

地域別では、まず、韓国については新型コロナウイルス禍の急激な成長からは過熱感の落ち着きが見られ始め、売上高は減少した。台湾も韓国同様、新型コロナウイルス禍での急激な成長は落ち着きを示しており、また、前年の実績が高いことから、売上高については前年同期比で減少した。中国は、昨年設立した合弁会社を中心に、韓国からのECアカウント移管終了や、北京等でのSIS出店など、ビジネスは徐々に動き出している。

米国については、インフレ進行や西海岸における金融機関破綻などの影響を受け、主要卸売先での在庫調整が続いており、売上高は前年同期を下回った。しかしながら、米国では、アウトドアは非常に人気があり、その市場は極めて大きいことから、今年度下半期に開設予定の直営キャンプフィールドの準備を進めながら、米国における卸売先の新規開拓など販路拡大施策を進める計画である。また、英国でもインフレや金利上昇による景気後退が懸念されるものの、引き続き新規取引先の拡大を進める方針である。

通期予想を大幅に下方修正。卸先の在庫調整が課題に

8月10日、スノーピークは2023年12月期・通期(2023 年1月1日~2023 年 12 月 31 日)の連結業績予想について、売上高で前期比9.5%減の278億5,000万円、本業の利益を示す営業利益で同70.3%減の10億9,100万円、経常利益で同61.9%減の13億7,500万円、純利益で同68.4%減の6億1,500万円となる見通しを示した。これは従来予想(2月13日公表)に比べて、売上高でマイナス22.6%、営業利益でマイナス78.2%、経常利益でマイナス72.1%、純利益でマイナス78.4%の大幅な下方修正である。

スノーピークは下方修正の理由について、売上高については、国内において、前回予想時に今年の実需の状況を見誤ったことが、大きな要因としている。具体的には、❶前回予想作成時点では、市場全体として強い需要が引き続き存在すると考え、その考えに基づき納品を行い、一時的に卸先に在庫が増えたものの、春先には解消すると想定していた。❷しかしながら、春先以降も在庫調整が解消せず、結果としてスノーピークブランド製品の納品は進まなかった。❸足元では、スノーピークブランド製品の在庫は、主要な卸先において正常化していることが確認されているものの、同業他社においては、滞留在庫を解消すべく値引き販売も行っている状況であり、卸売全体として、徐々に回復の兆しが見え始めているものの、回復にはもうしばらく時間を要すると考えている……としている。また、利益面についても、❹売上高の減少が原因で、前回予想を下回る見込みとの考えを明らかにした。

上記の通り、スノーピークの業績改善には、卸先の在庫調整が大きな課題となる。引き続き、同社の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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