記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

古野電気、営業利益は368.2%増。株価は年初来高値、舶用事業が絶好調

古野電気,株価,上昇,理由

2023年10月26日、東京証券取引所で古野電気の株価が一時1,711円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月19日の安値897円から9カ月余りで90.7%の上昇である。

古野電気は、船舶用電子機器等の舶用事業を収益の柱とする企業である。1948年に世界で初めて魚群探知機の実用化に成功して以来、多様な航海機器、通信機器の開発を手がけ、現在では大型商船をはじめ、漁船や小型ワークボートなどさまざまな船舶に、安全・安心で効率化を支える機器・サービスを提供している。また、船舶用電子機器で培った技術を、医療や情報通信分野へも展開し、事業領域の拡大を図っている。

後段で述べる通り、古野電気が10月16日に発表した、❶2024年2月期・第2四半期(2023年3月1日~2023年8月31日)の連結業績が大幅な増収増益となったことに加え、❷2024年2月期・通期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想を上方修正したこと、❸さらに、2024年2月期・通期の年間配当を従来予想の25円から45円に増額修正したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回は古野電気の話題をお届けしよう。

スポンサーリンク

古野電気、営業利益は368.2%増

10月16日、古野電気は2024年2月期・第2四半期(2023年3月1日~2023年8月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比22.1%増の530億2,200万円、本業の利益を示す営業利益は同368.2%増の37億2,900万円、経常利益は同162.7%増の45億2,500万円、純利益は同113.4%増の32億8,000万円となった。

同期の舶用分野では、商船向け市場で鋼材価格や人件費の高騰を受けた船価の高止まりにより、新造船の受注環境は軟調ながらも、手持ち工事量は高い水準を維持した。漁業向け市場では、欧州を中心に需要が堅調に推移した。プレジャーボート向け市場では、北米および欧州において需要が好調だった。このほか、産業用事業では国内における新車および中古車販売台数は堅調に推移し、5Gエリア拡大に伴う携帯電話向け基地局の設置も国内外で進展した。また、ヘルスケア市場におけるIVD(体外診断用医療機器)等の機器設置需要も堅調だった。他方、国内の教育ICT市場においては、ICT整備に関する大型案件が減少し、低調に推移した。

このような状況下、古野電気は部材調達環境の回復を背景に、高水準の受注残の解消と納期の正常化に向けた増産を進めた。また、工場の生産効率の改善に向け、生産ラインにおける画像認識・AI(人工知能)解析によるリアルタイムモニタリングの高度化等のスマート化にも取り組んだ。同時に、部材価格高騰によるコスト上昇に対しては、販売価格への転嫁等の価格マネジメントを各地域において推進し、利益の適正化に努めた。

その結果、同期は前述の通り、大幅な増収増益となった。

セグメント別の概況は以下の通りである。

舶用事業

舶用事業の売上高は前年同期比25.7%増の451億7,500万円、セグメント利益は同326.5%増の41億7,300万円と大幅な増収増益となった。

舶用事業は、部材の調達環境が正常化しつつあり、旺盛な需要環境の中、円安傾向が継続したことも追い風となって、海外売上高が好調に推移した。北米では、主にプレジャーボート向け機器の販売が増加した。欧州では、商船向け、漁業向け、プレジャーボート向けのいずれの市場においても販売が拡大したほか、保守サービスの売上も順調だった。アジアでは、商船向け市場において新造船の案件が大きく増加した。一方、日本では商船向けの新造船案件が好調に推移したものの、官公庁向け機器の販売が減少した。

産業用事業

産業用事業の売上高は前年同期に比べて16.9%増の60億2,700万円、セグメント利益は防衛装備品事業における製造原価の上昇等により4,300万円(前年同期は3,900万円のセグメント損失)となった。

産業用事業では、OEM受託製品の販売が減少したが、ETC車載器やGNSS時刻同期製品、ヘルスケア事業における生化学分析装置の販売が増加したほか、防衛装備品事業の販売も大きく増加したことから増収となった。

無線LAN・ハンディターミナル事業

無線LAN・ハンディターミナル事業の売上高は前年同期比22.2%減の16億6,800万円、セグメント損失は100万円(前年同期は2億9,200万円のセグメント利益)となった。

無線LAN・ハンディターミナル事業では、主に文教向けの無線LANアクセスポイントの販売が減少したことから減収となった。また、利益面では売上高の減少に加え、研究開発費の増加によりセグメント損失となった。

その他

その他の売上高は前年同期比16.6%減の1億5,100万円、セグメント損失は5,600万円(前年同期は1億5,100万円のセグメント損失)となった。

今期の営業利益予想を66.7%上方修正、配当も増額修正

10月16日、古野電気は2024年2月期・通期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、売上高で前期比15.0%増の1,050億円、本業の利益を示す営業利益で同228.1%増の50億円、経常利益で同131.3%増の60億円、純利益で同233.8%増の45億円となる見通しを示した。これは従来予想(7月14 日公表)に比べて、売上高でプラス5.0%、営業利益でプラス66.7%増、経常利益でプラス50.0%増、純利益でプラス80.0%の上方修正である。

古野電気は上方修正の理由について、①収益性改善の取り組みや為替の円安進行により2024年2月期・第2四半期の連結業績が想定を上回ったこと、②今後の事業環境についても、舶用事業の需要が底堅く推移するとみていること……を挙げている。ちなみに、業績予想の前提となる第2四半期以降の為替レートについては、1ドル=140円(前回公表は130 円)、1ユーロ=150 円(前回公表は135 円)を想定していることを明らかにした。

なお、冒頭でも述べた通り、古野電気は2024年2月期・通期の年間配当を従来予想の25円から45円に増額修正することも明らかにしている。古野電気の利益配分については、中期経営計画(2024年2月期~2026年2月期)で連結配当性向30%以上を安定的に実現できる経営基盤の構築を目標に掲げており、今回の増額修正はこの目標に基づくものである。

引き続き、古野電気の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

タイトルとURLをコピーしました