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コメダHD、4年ぶりの上場来高値 6〜8月期は営業増益、厳しい環境下で業績改善

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(画像= La Caprese)

2022年10月14日、コメダホールディングス(以下、コメダHD)の株価が一時2,514円まで買われ、上場来の高値を更新した。コメダHD の株価が上場来高値を更新するのは2018年10月以来4年ぶりのこと。今年3月8日につけた年初来安値の2,001円からは7カ月で25.6%の上昇である。

後段で詳述する通り、2023年2月期の上半期(2022年3月1日~8月31日)決算は増収減益となったものの、同6〜8月期についてはインフレ下にありながらも増益に転換したことが好材料となったようだ。ちなみに、過去1カ月間の日経平均株価の騰落率がマイナス2.8%なのに対して、コメダHD株はプラス6.7%とアウトパフォームするところとなっている(10月14日終値時点)。

今回はコメダHDの話題をお届けしよう。

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コメダHD、6〜8月期は厳しい環境下で営業増益

10月12日、コメダHDは2023年2月期・上半期(2022年3月1日~8月31日)決算を発表した。売上収益は前年同期に比べて10.5%増の181億1,100万円、本業の利益を示す営業利益は同1.1%減の37億5,600万円と増収減益となった。売上収益は前年同期比で2ケタの伸びを示す一方で、営業利益がマイナスとなったのは原材料価格やエネルギーコストの高騰などが響いたためだ。

もっとも、先に述べた通り、同6〜8月期の営業利益は前年同期に比べ5.6%増の19.0億円と増益に転換するなど改善傾向を鮮明にしており、株式市場にとってもポジティブサプライズとなったようだ。

実際、上半期は3月21日にまん延防止等重点措置が全面解除され、経済社会活動の正常化および景気の持ち直しへの期待が芽生えたものの、7月以降は新型コロナウイルスの感染が拡大するなど不安定な情勢となった。加えて、ロシアのウクライナ侵攻等によるサプライチェーンの混乱や急速な円安の影響で原材料価格やエネルギーコストが高騰するなど、先行き不透明かつ厳しい事業環境を余儀なくされてきた。こうした状況下で、6〜8月期に営業増益を達成できたことが、市場関係者に評価されるポイントになったとみられる。

消費者の店舗体験価値を高めるための施策を推進

上半期のコメダHDの取り組みをみてみよう。まず、同期は新型コロナウイルス禍の運営で、一部の店舗スタッフの感染または濃厚接触等により、一部店舗で時短営業や臨時休業を余儀なくされた。加えて、コーヒー豆や小麦粉などの原材料価格やエネルギーコストの高騰の影響で、4月から店舗ごとに店頭価格の値上げも実施した。ただし、FC加盟店に対する卸売価格は2022年8月末まで据え置いた。

こうした中、同社は店舗での値上げに対して、モーニングサービスに付加価値を加えるなど、消費者の店舗体験価値を高めるためのQSC向上施策を推進した。その結果、同6〜8月期の連結累計期間におけるFC加盟店向け卸売の既存店売上高で前年比104.0%、全店売上高で前年比107.9%を達成した。

ちなみに、コメダ珈琲店については新規に14店舗を出店したほか、新業態としてテイクアウト大判焼き専門店の大餡吉日を出店した結果、同6〜8月期の連結会計期間末の店舗数は965店舗となった。

コメダHD、持続可能な社会の実現に向けて

ところで、コメダHDは事業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献するための重要課題(マテリアリティ)として、「品質とお客様」「人と働きがい」「環境」「地域コミュニティ」の4つのテーマに取り組んでいる。

たとえば、2022年6〜8月の取り組みの一部を紹介すると、「品質とお客様」に関するテーマでは、(1)品質の維持・向上を目的にオペレーションコンテストを開催したほか、(2)エスプレッソソースとチーズドリンクのコクによりリッチな味わいの「ジェリコティラミス」を発売、(3)カリー祭りを開催し、新たに「チーズカリードッグ」を発売、(4)店内商品で人気の「あんバター」シリーズ第3弾「コーヒーあんバター」の販売……などを実施している。

また、「人と働きがい」に関するテーマでは、(1)モバイルオーダー、混雑状況の把握等DX(デジタルトランスフォーメーション)戦略の核となるモバイルPOS導入店舗を拡大、(2)海外子会社において女性代表取締役社長、事業子会社で女性マーケティング本部長が誕生……などに取り組んでいる。

さらに、「環境」に関するテーマでは、(1)コメダ初となる統合報告書においてCO2排出量の削減目標を開示、(2)プラスチック資源循環促進法対応として、マドラーの素材をプラスチックから木製へ変更、(3)コメダの森の間伐材を利用する「捨てない店舗」としてのコメダ珈琲店本店の建て替え……などを推進している。

「地域コミュニティ」に関するテーマについては、(1)老人ホーム・障がい者施設との協同イベントなど、地域貢献活動を強化、(2)名城大学女子駅伝部の活動支援、(3)店舗のない場所にもコメダのくつろぎをお届けする、コメダキッチンカーを展開……などに取り組んでいる。

コメダHDの活動のすべてをここで紹介することはできないが、上記に列挙した施策をみるだけでも持続可能な社会の実現に貢献するための積極姿勢を感じることができるだろう。

コメダHDの業績・株価もさることながら、社会貢献活動にも注目しておきたい。■

(経済ジャーナリスト 世田谷一郎)

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