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ANAホールディングス、航空事業がV字回復。株価は年初来高値、需要回復を見据え運航規模を拡大

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※画像はイメージです。(画像= Canva、La Caprese)

2023年6月16日、東京証券取引所でANAホールディングスの株価が一時3,253円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年3月16日の安値2,681円から3カ月で21.3%の上昇である。

ANAホールディングスは、航空事業および航空関連事業等を収益の柱とする企業グループの持株会社である。航空業界を取り巻く環境は、国内線で新型コロナウイルス禍の行動制限が大幅に緩和され、国際線においても各国の入国制限緩和が進んだことにより、急速に改善している。ANAホールディングスも例外ではなく、4月27日に発表した2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績で黒字転換を果たすなどV字回復を鮮明にしており、株価にも追い風となっている。

今回はANAホールディングスの話題をお届けしよう。

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ANAホールディングス、航空事業がV字回復

4月27日、ANAホールディングスは2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比67.3%増の1兆7,074億円、本業の利益を示す営業利益は1,200億円(前期は1,731億円の営業損失)、経常利益は1,118億円(前期は1,849億円の経常損失)、純利益は894億円(前期は1,436億円の純損失)となった。

冒頭で述べた通り、航空業界を取り巻く環境は、国内線では行動制限が緩和され、国際線においても各国の入国制限緩和が進んだことにより、急速に改善している。ANAホールディングスの経営環境も好転しており、前述の通り、売上高で前期を大幅に上回ったほか、営業損益・経常損益・純損益で黒字に転換した。

主なセグメント別の状況は以下の通りである。

航空事業の売上高は73.9%増、営業黒字に転換

航空事業のセグメントは、売上高が前期比73.9%増の1兆5,394億円、営業利益で1,241億円(前期は1,629億円の営業損失)となった。

同期は、日本国内の移動自粛等の行動制限緩和や各国の入国に関する規制緩和を受けて、回復する旅客需要を取り込んだほか、貨物については需要が弱含む中でも高水準の単価を維持した結果、売上高で前期を大幅に上回ることとなった。また、利益面では、事業規模拡大に伴う運航関連費用が増加したものの、コストマネジメント等を通じた費用抑制に努めたことで、営業損益で黒字に転換することとなった。

なお、同期はウクライナ情勢の影響を受けて、欧州路線はロシア上空を迂回した運航を余儀なくされたが、一方で好調な北米路線を中心に運航規模を拡大したこと等により、収入への影響は限定的なものとなった。

ちなみに、同期は英SKYTRAXの『World Airline Awards 2022』において「機内客室の清潔さ」をはじめ3部門で最も優秀な航空会社に選ばれたほか、世界の航空データを分析 ・評価するCIRIUMの『The On-Time Performance Awards』のネットワーク部門にて、2022年の定時到着率が世界1位に認定された。

航空関連事業は増収増益

航空関連事業のセグメントは、売上高が前期比19.5%増の2,471億円、営業利益は23億円(前期は6億円の営業損失)となった。

同期は、日本国内の水際対策緩和や旅客需要の回復に伴い、搭乗受付や手荷物搭載等の空港地上支援業務の受託や機内食関連業務が増加したこと等を背景に、売上高で2ケタの伸びを示したほか、営業損益も黒字に転換することとなった。

旅行事業は営業損失が大幅に改善

旅行事業のセグメントは、売上高で前期比59.5%増の738億円、営業損失は2億円(前期は21億円の営業損失)となった。

国内旅行については、旅客需要が着実に回復し、下期から開始された全国旅行支援の影響を受けて、ダイナミックパッケージ商品の取扱いが増加したほか、支払いにマイルを利用できる「ANAトラベラーズホテル」商品も好調に推移した。加えて、2022年9月にはゴルフ場のWeb予約サービス「ANAトラベラーズゴルフ」を開始するなど、新たなサービスの拡充に努めた。また、海外旅行については4月にハワイ方面のツアー催行を約2年ぶりに再開しした。その結果、売上高は前期を大幅に上回ったほか、営業損失も大幅に改善した。

なお、2022年10月に「ANAマイレージクラブアプリ」を日常生活におけるANAグループの各種サービスへの入り口となるゲートアプリへリニューアルしたほか、2023年1月にはマイルが貯まる・使える新たなECモールとして「ANA Mall」を開店した。

商社事業は営業利益が539.5%増

商社事業のセグメントは、売上高が前期比26.4%増の1,032億円、営業利益は同539.5%増の35億円となった。

同期は、航空需要の回復に伴い、空港物販店「ANA FESTA」や免税店「ANA DUTY FREE SHOP」等が好調だったほか、半導体市場の需要拡大を受けて、電子事業の取扱高が増加したこと等により、大幅な増収増益となった。

その他は減収減益

その他のセグメントは、売上高が前期比0.2%減の380億円、営業利益は同56.8%減の5億円となった。

同期は、ラウンジ業務や検疫関連審査業務等の受託が増加した一方で、前期に大型物件の売却があった反動等により不動産関連事業の取扱高が減少したこと等から、減収減益となった。

航空事業、需要回復を見据え運航規模を拡大

4月27日、ANAホールディングスは2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比15.4%増の1兆9,700億円、本業の利益を示す営業利益で同16.6%増の1,400億円、経常利益で同2.9%増の1,150億円、純利益で同10.6%減の800億円となる見通しを示した。

ANAホールディングスは、今後の経済見通しについて、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和と社会経済活動の正常化を背景に、日本経済は緩やかに持ち直していくことが期待されるとの認識を示した。一方、世界的なエネルギー価格の高騰や欧米各国の金融引き締め等、不安定な国際情勢による経済への影響も想定されるとしている。そうした中、航空業界を取り巻く環境は、国内線ではレジャーを中心に需要が回復し、国際線では訪日需要やビジネス需要の回復傾向を想定、その一方でウクライナ情勢等の地政学リスクの動向に注視が必要との認識を示した。

航空事業のセグメントでは、安心・安全を基盤とし、需要回復を見据えて運航規模を拡大し、ANA、Peach、AirJapanの3ブランドの展開により、世界の需要を幅広く取り込む方針である。なお、AirJapanについては2024年2月に東南アジアへの就航を予定している。

一方、航空関連事業のセグメントでは、旅客需要の回復に合わせて運航規模の拡大が見込まれること等から、空港における旅客、貨物の空港地上支援業務等の受託拡大を通じて、グループ収益への貢献を目指す方針を示した。また、旅行事業のセグメントでは、国内旅行は「ANAトラベラーズ」のダイナミックパッケージ商品の企画、販売を一層強化することに加え、宿泊施設やレンタカー等の商材の販売拡大を目指す。同時に、海外旅行はハワイをはじめ、各方面のマーケティングを強化し、収益の最大化につなげる計画である。さらに、商社事業のセグメントでは、航空需要に連動し、空港物販店「ANA FESTA」等のリテール事業における増収に加え、半導体・電子部品に関連したサービス提供等においても、収益の拡大を図る計画である。

引き続き、ANAホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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