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日本マクドナルド、株価は昨年来高値。中期経営計画の推進で、2023年12月期は増収増益を想定

日本マクドナルド,株価,なぜ,上昇
(画像= La Caprese)

2023年2月13日、東京証券取引所で日本マクドナルドホールディングス(以下、日本マクドナルド)の株価が一時5,350円まで買われ、昨年来の高値を更新した。2022年3月14日の安値4,860円から11カ月で10.1%の上昇である。

後段で述べる通り、2022年12月期(2022年1月1日~2022年12月31日)の連結業績は原燃料価格の高騰や人件コストの上昇を受けて増収減益となったものの、2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想については、中期経営計画を推進し、増収増益を達成する見通しを示しており、株価の底堅い地合いにつながっているようだ。

今回は日本マクドナルドの話題をお届けしよう。

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日本マクドナルド、2022年12月期は増収減益

先週2月8日、日本マクドナルドは2022年12月期(2022年1月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比10.9%増加の3,523億円、本業の利益を示す営業利益は同2.1%減の338億700万円、経常利益は同2.4%減の328億1,300万円、純利益は同16.7%減の199億3,700万円と増収減益となった。

同期は既存店売上高が8.9%の増加となり、1店舗当たりの平均月商は上場以来最高を更新した。直営売上原価率は、主に急激な為替変動や原材料価格の高騰により原材料費が4.2ポイント増加したこと等により3.3ポイントの増加となった。また、フランチャイズ収入原価率は主に売上高の増加に伴いフランチャイズ収入が増加したこと等により1.6ポイントの減少となった。一方、販売費および一般管理費は、売上高の増加や新型コロナウイルス禍の状況に応じた一般管理費の最適化等により、0.4ポイント減少した。

しかし、売上高は前期比で10.9%増と2ケタの伸びを示したものの、急激な為替変動や原材料価格の高騰等が利益を圧迫することとなった。その結果、上記の通り、営業利益は2.1%減、経常利益は2.4%減とそれぞれ前期を下回った。また、純利益は経常利益を計上したことや、主に特別損失で減損損失および固定資産除却損で16億7,600万円、法人税等合計で112億3,900万円計上したこと等により、前期に比べて16.7%減少した。

日本マクドナルド、中期経営計画の3本柱

ちなみに、日本マクドナルドは2022年2月に中期経営計画(2022年度から2024年度)を公表している。これは持続的成長と収益性向上、企業価値の継続的な拡大を目指すもので、「ブランド」「メニュー・バリュー」「店舗・デジタル・ピープル」の3本柱に注力し、3年間で全店売上高の年平均成長率で5%前後、営業利益の年平均成長率で3~5%、営業利益率10%以上、ROE(自己資本利益率)で10%以上を目指すというもの。具体的には以下の通りである。

ブランド

地域社会の一員として、サステナビリティを積極的に取り組むべき重要課題と位置づけ、「安全でおいしいお食事を」「地球環境のために」「地域の仲間にサポートを」「働きがいをすべての人に」を重点的に取り組む4つの領域と定め、2022年3月にサステナビリティレポート2021としてマクドナルドの考え方と取り組みをウェブサイトで公開した。

「安全でおいしいお食事を」

食を提供する企業として「食の安全」確保を最優先課題とし、消費者に安全なお食事をお召し上がりいただけるよう食品管理システムの正確な運用に取り組む。関連法令・規制の遵守とともに、グローバル食品安全イニシアチブ(GFSI)にも準拠し、さらにマクドナルド独自の基準を加えて構成された、厳しい品質管理システムを構築。また、商品に対する消費者の信頼を高めるため、最終加工国、主要原材料の主要原産国の情報公開や、対象サプライヤーに対する監査の実施など、徹底した品質管理体制の構築と強化を図る。

「地球環境のために」

海のエコラベル(MSC)や森林認証制度(FSC)といった持続可能な原材料であるとの認証を取得した素材の使用、ハッピーセットのおもちゃリサイクル、紙ストローや木製カトラリーの導入によるプラスチック素材の削減、店舗の省エネ機器やデリバリーの電動三輪バイクの導入による温室効果ガス排出の削減に取り組む。

「地域の仲間にサポートを」

公益財団法人ドナルド・マクドナルド・ハウス・チャリティーズ・ジャパンへの支援や、スポーツ支援、教育支援、安全笛の提供等を通じて地域社会への貢献に努める。

「働きがいをすべての人に」

全国で19万人のクルーを雇用する雇用主として、性別や年齢、国籍といった様々な個性や背景を持った多様な人材が、それぞれの強みを発揮して働きがいを感じてもらえる職場環境を作る。

メニュー・バリュー

消費者の期待に応えるために、それぞれの時間帯に合わせたメニューラインアップを強化、バリュー・フォー・マネーにおいて消費者にお得感を感じていただける様々な取り組みを実施。具体的には、期間限定商品として「てりたま」や「月見バーガー」「グラコロ®」等を販売した。また、平日のランチタイムのお得なセットメニューを、お得な価格はそのままに、より親しみやすい「ひるまック」として名称をリニューアルしたほか、手軽に様々な商品を選択できる「ちょいマック」を継続するなど、消費者に「おいしさ」「お得さ」「手軽さ」を通じて、マクドナルドのバリューを実感できる商品を提供した。

店舗・デジタル・ピープル

「店舗」

今後の成長に向けて、移転を含む新規出店や改装、リビルドに積極的に投資を行っていくことで、より消費者や地域のニーズに合った店舗ポートフォリオへの進化を目指す。キッチンの製造能力強化やドライブスルーレーンの増設、デリバリーサービスの最適化など、より便利で快適な利用環境の提供を目指す。

ちなみに、2022年12月期は新規出店78店舗、閉店53店舗となり、期末の店舗数は2,967店舗となった。また、キャパシティの増強については、製造能力を強化したキッチンシステム、商品の受け渡し口を増強した店舗の導入を推進。経営資源を効果的に活用するために、新規出店と改装、リビルドへの投資配分を柔軟に行いながら、消費者の満足度と業績を向上するための投資を継続する。

「デジタル」

デジタルとピープルの融合により、より良いサービスを提供する「未来型店舗体験」の一つとして、「モバイルオーダー」を導入。2022年の新たな取り組みとして、公式アプリにモバイルオーダーやデリバリーのアプリを統合し、消費者にシームレスなサービスを提供している。また、消費者のニーズに応え続けるために、決済方法の拡充をはじめとした機能強化を通してさらに利便性を高め、利用者数の伸長を目指す。

デリバリーは、今後も大きく成長が期待されるポテンシャルの高いマーケットである。マクドナルドのクルーがお届けするマックデリバリーサービス(MDS)と、Uber Eats、出前館等との提携により、デリバリーサービスを展開している。ちなみに、2022年12月末時点で、デリバリー実施店舗数はそれぞれMDS967店舗、Uber Eats1,905店舗、出前館1,932店舗等を合わせて、合計で全国2,200店舗である。今後もデリバリーサービスを提供できる店舗を拡大し、消費者の利便性向上を目指す。

ドライブスルーについては、キャパシティの増強に加え、「モバイルオーダー」で注文いただいた商品を、車に乗ったまま店舗の駐車場で受け取れるサービス「パーク&ゴー」をより多くの店舗に拡大しており、2022年12月末時点で全国1,104店舗で展開している。また、マクドナルド公式アプリのモバイルオーダーに、ドライブスルーでの受け取りが可能になる「ドライブスルー モバイルオーダー」機能を追加し、全国のドライブスルー店舗(一部店舗を除く)でスタートしている。

「ピープル」

新型コロナウイルス感染症による環境変化が激しい中で、消費者の期待に応えることができたのは、約19万人のクルーや店舗社員をはじめとしたピープル、つまり人材があってこそである。消費者に最高の店舗体験をしていただくため、優秀な人材の採用と育成に積極的な投資を継続する。デジタル端末を使ったトレーニング教材である「デジタルCDP」は現在日本語以外に5カ国語に対応、クルーの理解度の向上、トレーニング時間の短縮につながっている。

また、ハンバーガー大学ではオンラインによる授業を継続し、同期においては1万9,000名以上が受講した。さらに、多様な人材の多様なライフスタイルに応じた社員としてのキャリアパスを提供するため、地域社員制度を導入した。今後も、性別、国籍、年齢などの属性に関わらず、多様な個性や背景を持った人材がそれぞれの強みを生かして自分らしく働き、成長できる環境を提供し、人材育成とリテンションにつなげる方針である。

2023年12月期は増収増益となる見通し

日本マクドナルドは、上記の中期経営計画(2022年度から2024年度)に基づき、2023年12月期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.2%増加の3,740億円、本業の利益を示す営業利益で同3.5%増の350億円、経常利益で同2.1%増の335億円、純利益で5.3%増の210億円と増収増益となる見通しを示している。

引き続き、日本マクドナルドの業績、株価に注目しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:外食産業「復活」への期待
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