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江崎グリコ、純利益は65.5%増。海外事業等がけん引、株価は年初来高値

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(画像= La Caprese)

2023年9月20日、東京証券取引所で江崎グリコの株価が一時4,118円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年3月23日の安値3,270円から約6カ月で25.9%の上昇である。

江崎グリコは、大阪府大阪市に本社を置く総合食品メーカーである。同社の源流は、創業者の江崎利一氏が牡蠣の煮汁に含まれる栄養素「グリコーゲン」を確認した1919年にまでさかのぼる。いまから100年以上も前、人々がまだ栄養不良・不足の状態であった時代に、江崎氏はその「グリコーゲン」を摂取することで病気予防に役立ててもらいたいと考え、栄養菓子「グリコ」を創製した。21世紀の現在も創業者の精神は受け継がれており、菓子や冷菓、食品、牛乳・乳製品など幅広い商品の製造・販売を手がける総合食品メーカーとして事業を展開している。

後段で述べる通り、江崎グリコが8月3日に発表した2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績は大幅な増収増益を示しており、株価にも追い風となっているようだ。

今回は江崎グリコの話題をお届けしよう。

江崎グリコ、純利益は65.5%増。海外事業等がけん引

8月3日、江崎グリコは2023年12月期・第2四半期(2023年1月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比10.1%増の1,531億3,500万円、本業の利益を示す営業利益は同17.6%増の80億8,600万円、経常利益は同28.4%増の102億2,900万円、純利益は同65.5%増の78億1,700万円と大幅な増収増益となった。

同期は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和を背景に、経済活動の正常化に向けた動きが見られる一方で、エネルギーや原材料価格の高騰、急激な為替変動、世界的な金融引締めによる景気の下振れリスクなど先行き不透明な情勢が継続した。こうした中、江崎グリコは存在意義(パーパス)である「すこやかな毎日、ゆたかな人生」の実現に向けた価値創造を強化すべく、❶健康価値の提供・お客様起点のバリューチェーンの構築、❷注力領域への研究投資の集中、❸海外事業の拡大を推進した。

その結果、売上面では全てのセグメントで前年同期を上回った。一方、利益面では売上原価率が海外事業における中国の低下等により前年同期に比べ0.3ポイント低下する一方で、販売費および一般管理費では、広告宣伝費、販売促進費等が増加した。

セグメント別の概況は以下の通りである。

健康・食品事業

健康・食品事業の売上高は前年同期比1.8%増の218億9,200万円、営業利益は同92.2%減の8,600万円となった。

同期は、「DONBURI亭」「SUNAO」等の売上高が前年同期を下回る一方で、「パピコ」や「アーモンド効果」等が前年同期を上回った。一方、利益面では広告宣伝費の増加等により、営業減益となった。

乳業事業

乳業事業の売上高は前年同期比2.4%増の323億4,100万円、営業損益は2億5,000万円の赤字(前年同期は2億7,900万円の営業利益)となった。

同期は、「牧場しぼり」「朝食りんごヨーグルト」等の売上高が前年同期を下回る一方で、「セブンティーンアイス」「ジャイアントコーン」等が前年同期を上回った。一方、利益面は売上原価率の上昇等により営業損失となった。

栄養菓子事業

栄養菓子事業の売上高は前年同期比4.0%増の285億8,400万円、営業利益は同8.4%増の28億3,500万円となった。

同期は、「ビスコ」「神戸ローストショコラ」等の売上高が前年同期を下回る一方で、「ポッキー」や「プリッツ」等が前年同期を上回った。一方、利益面では増収に伴う売上総利益の増加等により、営業増益となった。

食品原料事業

食品原料事業の売上高は前年同期比18.2%増の62億300万円、営業利益は同59.7%増の10億3,100万円となった。

同期は、「小麦たん白」「澱粉」等の売上高が前年同期を上回るなど好調だった。一方、利益面では増収および売上原価率の低下等により、大幅な営業増益となった。

国内その他事業

国内その他事業の売上高は前年同期比6.0%増の303億9,800万円、営業利益は同148.0%増の8億6,600万円となった。

同期は、卸売販売子会社の「オフィスグリコ」等の売上高が好調だった。一方、利益面では増収および売上原価率の低下等により、大幅な営業増益となった。

海外事業

海外事業の売上高は前年同期比36.8%増の337億1,300万円、営業損益は19億500万円の利益(前年同期比は3億2,200万円の営業赤字)となった。

同期は、中国やASEAN、米国等で前年同期を上回るなど好調に推移した。一方、利益面では増収に伴う売上総利益の増加等により、営業黒字に転換した。

海外事業は好調だが、原材料価格の上昇など不透明感も

8月3日、江崎グリコは2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比7.6%増の3,270億円、本業の利益を示す営業利益で同24.6%増の160億円、経常利益で同24.6%増の170億円、純利益で同23.5%増の100億円となる見通しを示した。これは従来予想(2月14日公表)に比べて売上高でプラス3.2%の上方修正である。その一方で各利益については従来予想を据え置いた。

江崎グリコは売上高を上方修正した理由について、海外事業における中国や米国での売上が堅調に推移していること等を挙げている。ただ、利益面では、売上高増加による増益が期待できるものの、原材料価格の上昇や販売促進費、広告費の増加等も見込まれていることを勘案し、営業利益・経常利益・純利益とも従来予想を据え置いたとしている。

引き続き、江崎グリコの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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