記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

花王、V字回復の可能性は? 株価は年初来高値、アクティビストが経営改善を要求

花王,株価,上昇,理由
(画像= La Caprese)

2024年4月8日、東京証券取引所で花王の株価が一時6,300円まで買われ、年初来高値を更新した。今年2月15日の安値5,458円から2カ月足らずで15.4%の上昇である。

花王は、東京都中央区に本社を置く日用品メーカーである。その源流は、1887年に創業した洋小間物商の「長瀬商店」にまでさかのぼる。1890年には買い求めやすい価格の高級化粧石けん「花王石鹸」を発売。当時は、化粧石けんが「顔洗い」と呼ばれていたことから「カオ(顔)石鹸」と名づけ、「花王」という文字をあて、これが社名の由来となった。一つの石けんの品質へのこだわりから誕生した花王は、その後、「美」や「健康」の分野へと事業領域を広げ、洗顔料や生理用品、基礎化粧品、入浴剤、紙おむつ、全身洗浄料、衣料用洗剤など、日常生活に欠かすことのできない数々のロングセラーを世に送り出してきた。

そんな花王が株式市場で注目されたのは、先週4月4日のことだった。花王の株主でアクティビストとして知られる投資ファンド「オアシス・マネジメント」が経営改善を要求したことが明らかとなり、市場関係者の思惑が広がった(詳細は後述)。今回は花王の話題をお届けしよう。

スポンサーリンク

「花王の株価は1万円を超え、現在の株価水準から76%以上上昇する」?

「花王はすばらしいブランドをもっているがそのポテンシャルを発揮できていない。リソースをベストな商品とブランドに集中させることで大きく成長できる」――。4月8日、オアシス・マネジメントのセス・H・フィッシャーCIO(最高投資責任者)は記者会見でそうコメントし、花王に一段の改革を求めた。香港に本社を置くオアシス・マネジメントは、株式を取得した上場企業に対して積極的に株主提案を行う「アクティビスト(物言う株主)」として知られ、花王の株式の3%以上を保有している。

オアシス・マネジメントは先週4月4日、花王にマーケティングの改善を求め、主要な化粧品とスキンケアブランドの国際的な成長に重点を置くよう要求していた。花王が主要化粧品などの成長に重点を置いてマーケティングを改善した場合、「花王の株価は1万円を超え、現在の株価水準から76%以上上昇する」との試算を示した上で、❶国際的な経験を持つマーケティング責任者を起用すること、❷ブランド価値を高めるマーケティング経験のある社外取締役を任命すること、❸低採算のブランドと在庫を削減すること、❹情報開示の透明性を向上させること……を要求していた。

オアシス・マネジメントの要求に対して、花王は「(オアシス・マネジメントは)当社が示した構造改革などが残念ながら十分に理解されていない。中期経営計画において主力ブランドへの投資によるグローバルな成長を追求している」等の見解を4月4日に示している。

スポンサーリンク

構造改革を推進、V字回復の可能性は?

業績を見てみよう。花王が2月7日に公表した、2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績は、売上高が前期比1.2%減の1兆5,326億円、本業の利益を示す営業利益は同45.5%減の600億円、税引前利益は同44.9%減の638億円、最終利益は同49.0%減の439億円と減収減益となった。

同期は構造改革費用を計上したことにより、各段階利益(営業利益・税引前利益・最終利益)がほぼ半減した。ただし、構造改革による影響(事業撤退・縮小や資産の除売却から生じる損益等)を除いたコア営業利益は前期比4.2%増の1,147億円、コア税引前利益は同2.3%増の1,185億円、コア最終利益は同0.1%減の860億円であり、前期に比べほぼ横ばいの推移となっている。

花王は今後の経営環境について、新型コロナウイルスは世界的に収束したものの、地政学リスクの高まりや中国経済の減速等、依然として先行き不透明で厳しい状況が継続するとの認識を示した。その上で、①中期経営計画のもと、ROIC(投下資本利益率)の全社導入を進め、構造改革を断行するとともに、②顧客の重大なニーズにエッジの効いたソリューションで世界No.1の貢献をする「グローバル・シャープトップ戦略」を新たに推進する……意向を示した。

花王は上記を踏まえ、2024年12月期・通期(2024年1月1日~2024年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比3.1%増の1兆5,800億円、本業の利益を示す営業利益は116.5%増の1,300億円、税引前利益は105.2%増の1,310億円、最終利益は123.4%増の980億円となる見通しを示した。花王の見立て通りとなれば各段階利益はV字回復を示すことになる。

気になるのは、前述のオアシス・マネジメントの要求に対して、花王がどう対応するかである。その対応によっては、上記の業績予想が大幅に修正される可能性も否定できない。オアシス・マネジメントは、花王が主要化粧品などの成長に重点を置いてマーケティングを改善した場合、「花王の株価は1万円を超え、現在の株価水準から76%以上上昇する」との試算を示しているだけに、目が離せない情勢が続きそうだ。■

(La Caprese 編集部)

タイトルとURLをコピーしました