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山崎製パン、株価は上場来高値。主力の食品事業が好調、第3四半期の純利益は89.7%増

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(画像= La Caprese)

2023年11月1日、東京証券取引所で山崎製パンの株価が一時3,270円まで買われ、上場来高値を更新した。今年1月12日の安値1,471円から9カ月半で122.3%の上昇である。

山崎製パンは、東京都千代田区に本社を置く製パン企業の最大手である。パンのほかにも、洋菓子や和菓子、ジャムなど幅広い製品を製造・販売する一方で、ベーカリーやコンビニエンスストア等の小売事業も展開している。傘下には不二家や東ハト、ヴィ・ド・フランス、ヤマザキビスケットなど多数のグループ企業を擁し、海外の事業展開にも積極的だ。

後段で述べる通り、山崎製パンが10月25日に公表した2023年12月期・第3四半期(2023年1月1日~2023年9月30日)の連結業績が大幅な増益となったことが、株価にも刺激材料となった。

今回は山崎製パンの話題をお届けしよう。

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山崎製パン、純利益は89.7%増

10月25日、山崎製パンは2023年12月期・第3四半期(2023年1月1日~2023年9月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比6.8%増の8,462億2,500万円、本業の利益を示す営業利益は同73.9%増の278億6,800万円、経常利益は同55.3%増の308億2,600万円、純利益は同89.7%増の188億6,800万円と増収増益となった。

同期は、物価上昇で消費者の生活防衛意識が高まる中で節約志向や低価格志向が一段と強まり販売競争が激化するとともに、主原料の小麦粉や卵、油脂など原材料価格の上昇もあり、製パン業界全般に厳しい経営環境となった。他方、コンビニエンスストアやフレッシュベーカリー等の小売事業は人流回復を背景に、おにぎりやサンドイッチ、焼き立てパンなどの需要が伸長したものの、光熱費などの店舗コストが増加するなど、こちらも厳しい経営環境となった。

このような情勢下、山崎製パンは主力製品の品質向上を図るとともに、低価格帯製品や値頃感のある製品の品揃えを充実し、高付加価値製品の開発に取り組むなど、消費者ニーズの変化に対応してきた。加えて、7月1日には主原料の小麦粉を中心とした原材料価格の上昇に対処するため、一部の食パン、菓子パンの価格改定を実施したが、これを下支えする低価格帯製品や値頃感のある製品を充実強化したこともあり、業績は好調に推移した。

一方、デイリーヤマザキやヴィ・ド・フランスなどの小売事業では、小売事業業績改善プロジェクトにより日次管理・週次管理の経営手法を徹底し、日々の仕事の精度向上に努めるとともに、小売事業本部内の戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、魅力ある商品の開発を推進するなど業績回復に取り組んだ。

その結果、上記の通り増収増益となった。

なお、主要セグメントの概況は以下の通りである。

食品事業

食品事業の売上高は前年同期比6.7%増の7,860億3,800万円、営業利益は同66.1%増の269億1,900万円となった。主要製品の売上状況は以下の通り。

食パン部門

食パン部門の売上高は前年同期比3.7%増の789億4,800万円となった。

同期は、主力の「ロイヤルブレッド」が好調に推移するとともに、「モーニングスター」や「スイートブレッド」などの低価格帯食パンも伸長した。また、食べきりサイズのハーフサイズ食パンやサンドイッチ用食パンの伸長もあり、前年同期の売上を上回った。

菓子パン部門

菓子パン部門の売上高は前年同期比9.1%増の3,045億8,200万円となった。

同期は「コッペパン」や「まるごとソーセージ」など主力菓子パンに加え、ミニパンの薄皮シリーズ、低価格帯のヤマザキ菓子パンや「ドーナツステーション」などが伸長した。さらに、コンビニエンスストアチェーン対応製品も伸長し、前年同期の売上を上回った。

和菓子部門

和菓子部門の売上高は前年同期比1.6%増の522億5,300万円となった。

同期は主力の串団子やホットケーキが好調に推移するとともに、チルド製品の「クリームたっぷり生どら焼」や和洋折衷の新製品「やわらか生大福」の寄与もあり前年同期の売上を上回った。

洋菓子部門

洋菓子部門の売上高は前年同期比4.9%増の1,077億1,100万円となった。

同期は主力の2個入り生ケーキや「大きなツインシュー」などのシュークリームが順調に推移するとともに、「5つに切ったロールケーキ」やチルド製品の「生クリームロール」の寄与もありスイスロールが好調に推移し、前年同期の売上を上回った。

調理パン・米飯類部門

調理パン・米飯類部門の売上高は前年同期比6.1%増の1,163億5,700万円となった。同期はおにぎりが伸長するとともに、サンドイッチや調理麺も好調に推移し、売上に寄与した。

製菓・米菓・その他商品類部門

製菓・米菓・その他商品類部門の売上高は前年同期比7.1%増の1,261億8,500万円となった。同期は不二家の「ホームパイ」や東ハトの「ポテコ」、ヤマザキビスケットの「チップスター」が好調に推移し、売上に寄与した。

流通事業

流通事業の売上高は前年同期比9.5%増の499億500万円、営業損失は13億6,000万円(前年同期は23億2,200万円の営業損失)となった。

同期は、デイリーヤマザキのコンビニエンスストア事業において戦略製品・戦略商品開発推進チームと連携し、「ランチパック 大盛り」シリーズやデイリーホットなど、ヤマザキの技術を最大限活用した魅力ある商品の開発を推進し、消費者に喜ばれるヤマザキ独自のコンビニエンスストアチェーンを目指した。また、松戸・杉並ドミナントプロジェクトによりデイリーホットを中心に品質の向上と収益改善に取り組むとともに、既存店舗の改装を推進し、ヤマザキらしいお店づくりと競争力の強化を図った。

その他事業

その他事業の売上高は前年同期比6.9%増の102億8,100万円、営業利益は同7.7%増の19億1,000万円となった。

第4四半期の滑り出しは好調、物価上昇など警戒要因も

10月25日、山崎製パンは2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.2%増の1兆1,330億円、本業の利益を示す営業利益は同54.3%増の340億円、経常利益は同45.4%増の380億円、純利益は同61.7%増の200億円と従来予想(8月1日公表)を据え置いた。

山崎製パンは今後の経営環境について、消費の持ち直しが持続し、緩やかな景気回復が続くことが期待される一方で、物価上昇を背景に消費者の節約志向が一層強まる中で、卵や糖類、包材などの原材料価格の高止まりが予測され、製パン業界全般に厳しい経営環境が続くとの見解を示した。第4四半期は山崎製パンの菓子パンを中心に好調なスタートを切っているものの、通期の連結業績予想については8月1日公表の従来予想を据え置くとしている。

引き続き、山崎製パンの業績や株価を注視しておきたい。■

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