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コナミグループの株価が昨年来高値に上昇した理由

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※画像はイメージです。(画像= acworks / 写真AC、La Caprese)

2024年2月16日、東京証券取引所でコナミグループの株価が一時1万0,055円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年1月16日の安値5,580円から13カ月で80.2%の上昇である。

コナミグループは、エンタテインメントおよびスポーツ事業を展開する企業を傘下に置く持株会社である。❶モバイルゲームや家庭用ゲーム等を展開する「デジタルエンタテインメント事業」のほか、❷アミューズメントマシンの制作・製造・販売や、ゲームのオンライン接続サービスを展開する「アミューズメント事業」、❸スロットマシンやカジノマネジメントシステムの開発から製造・販売・サービスを手がける「ゲーミング&システム事業」、❹スポーツクラブ(フィットネス、運動スクール)や公共スポーツ施設の運営、およびスポーツ・健康関連のコンテンツ並びに商品の企画・開発・販売などを行う「スポーツ事業」が収益の柱となっている。

後段で述べる通り、コナミグループが公表した、①2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が大幅な増収増益となり、売上高および利益が四半期ベースとして過去最高を更新したこと、②加えて、2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回はコナミグループの話題をお届けしよう。

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コナミグループ、過去最高の業績

2月1日、コナミグループは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の売上高は前年同期比11.6%増の2,530億9,600万円、事業利益は同53.0%増の628億2,100万円、営業利益は同58.9%増の596億800万円、税引前四半期利益は同60.3%増の615億100万円、最終利益は同61.4%増の444億9,500万円となった。

同期は、国内の雇用・所得環境の改善などによる緩やかな回復が期待される一方で、エネルギーコストや原材料価格の高騰、各国の金融政策による景気への影響、中国経済の見通しへの懸念、地政学的リスクの高まりなどにより先行き不透明な状況が継続した。このような経営環境下、コナミグループは主にデジタルエンタテインメント事業において主力コンテンツの利益率の向上や新規タイトルの投入などにより業績が堅調に推移し、第3四半期の売上高および利益が四半期ベースとして過去最高を更新した。また、アミューズメント事業、ゲーミング&システム事業、スポーツ事業の各セグメントも堅調に推移した。

セグメント別の概況は以下の通りである。

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デジタルエンタテインメント事業が絶好調

デジタルエンタテインメント事業の売上高は前年同期比10.8%増の1,733億6,900万円、事業利益は同49.4%増の559億200万円と大幅な増収増益となった。

エンタテインメント市場は、モバイル端末や家庭用ゲーム機器など各種デバイスの高性能化、次世代通信システムの普及を背景に、ゲームコンテンツのさらなる発展が期待される。また、近年はゲームをスポーツ競技として捉えるeスポーツやゲームプレー動画などが着目されファン層が拡大するなど、コンテンツの楽しみ方そのものも多様化している。

「桃太郎電鉄」最新作が100万本突破

こうした状況下、コナミグループは新たな取り組みとして、家庭用ゲームにおいて、35周年を迎えたボードゲームシリーズ「桃太郎電鉄」の最新作「桃太郎電鉄ワールド ~地球は希望でまわってる!~」を発売し、累計出荷本数で100万本を突破した。本作は、シリーズ初の球体マップで再現された地球を舞台に世界中を旅することができるもので、多くの消費者の好評を得た。

また、「メタルギア」シリーズの集大成となるコレクションの第1弾「METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1(メタルギア ソリッド: マスターコレクション Vol.1)」、リズム&パズルアクションアドベンチャーの新作「Super Crazy Rhythm Castle(スーパークレイジーリズムキャッスル)」を発売した。さらに、ストーリーはそのままに、HD版・高音質となり、Nintendo Switch™向けにアップデートされた女性向け学園恋愛シミュレーションゲーム「ときめきメモリアルGirl’s Side 1st Love for Nintendo Switch」「ときめきメモリアル Girl’s Side 2nd Season for NintendoSwitch」「ときめきメモリアル Girl’s Side 3rd Story for Nintendo Switch」のダウンロード版3作品を2月に発売することも発表した。その他、新作ブラウザゲームでは、世界で1枚だけのカードを作ることを楽しめるデジタルトレーディングカードゲーム「ORE’N(オレン)」を2024年に配信予定であることを発表した。

「遊戯王 マスターデュエル」でデュエリストカップを開催

同時に、継続した取り組みとして家庭用・PC・モバイルで配信中の「eFootball™ 2024」のアップデートを実施した。今回のアップデートでは協力プレー「Co-op(コープ)」が遊びやすくなり、新モード「マイ リーグ」が追加したことで、引き続き好調に推移している。また、2023年10月に配信開始8周年を迎えた「プロ野球スピリッツA(エース)」でダルビッシュ有選手とのコラボを実施し、登録ユーザー1,100万人を突破した「パワフルプロ野球 栄冠ナイン クロスロード」ではイチローさんとのコラボを実施した。

さらに、「遊戯王 マスターデュエル」では世界1位を決定するデュエリストカップを開催した。各タイトルで消費者に楽しんでもらえる施策を展開し、好評を得た。カードゲームでは、遊戯王カードゲーム25周年記念プロジェクトを引き続き展開した。加えて、2月に東京ドームで開催されるスペシャルイベント「遊戯王デュエルモンスターズ 決闘者伝説 QUARTER CENTURY(ザ レジェンド オブ デュエリスト クォーターセンチュリー)」に先立ってイベント限定商品も販売した。

NPBとの共同開催による「eBASEBALLプロスピA(エース)リーグ」2023シーズンを開催

また、近年ファン層が拡大しているeスポーツでは2023年11月に開催された「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2023 KAGOSHIMA」にて、「eFootball™」シリーズ部門のチャンピオンが決定した。また、一般社団法人日本野球機構(NPB)との共同開催による「eBASEBALLプロスピA(エース)リーグ」2023シーズンが同11月に開幕し、eクライマックスシリーズを勝ち抜いたセ・リーグ代表とパ・リーグ代表が、12月のe日本シリーズにて日本一を懸けて熱い戦いを繰り広げた。

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アミューズメント事業は大幅な増収増益

アミューズメント事業の売上高は前年同期比54.6%増の163億2,000万円、事業利益は同109.3%増の22億2,200万円と大幅な増収増益となった。

国内外のアミューズメント市場は緩やかな回復傾向を示した。また、規制緩和により新たな成長機会も生まれている。このような状況下、コナミグループのアミューズメント施設向けビデオゲームでは、DJシミュレーションゲーム「beatmania IIDX」シリーズの最新作で、近未来都市を舞台にした世界観が展開され、新筐体のイエローライトが特徴的な「beatmania IIDX 31 EPOLIS(ビートマニア ツーディーエックス サンジュウイチ エポリス)」が稼働を開始した。メダルゲームにおいては、「FORTUNE TRINITY(フォーチュントリニティ)」シリーズの最新作で、筐体のテーマをダイヤモンドに統一し、搭載されたLEDによって輝く煌びやかな演出でプレーを盛り上げる「FORTUNE TRINITY 時空のダイヤモンド」や、オリジナルのダンジョンを他のプレーヤーに公開できるモードや、初心者のプレーヤーのためにゲーム性が分かりやすくなったモードの追加によって遊びの幅が広がった「エルドラクラウン」シリーズの最新作「エルドラクラウン 悠久のラビリンス」が稼働を開始した。

「KONAMI Arcade Championship(2023)」の決勝ラウンドを3年ぶりの有観客で開催

一方、ぱちんこ・パチスロにおいては「マジカルハロウィン5」を完全再現したスマスロ「マジカルハロウィン8」が稼働を開始した。今期市場に投入されたタイトルの中でも高稼働を維持するなど業績に寄与した。

eスポーツでは、実に3年ぶりに有観客での開催となった「KONAMI Arcade Championship(2023)」の決勝ラウンドを、国内最大のアミューズメント・エンターテインメント産業の展示会「アミューズメント エキスポ in 東京ビッグサイト」の会場で実施した。予選ラウンドを勝ち上がったプレーヤーによる全14タイトルの熱戦の模様は全国の視聴者にライブ配信され、大変な盛り上がりとなった。

また、音楽とeスポーツを融合させたプロリーグ「BEMANI PRO LEAGUE -SEASON 3-」においては、競技タイトル「beatmania IIDX」のファイナルが行われ、優勝チームが決定した。ファイナルの会場では今回限定のDJライブも開催され、白熱した大会を盛り上げた。

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ゲーミング&システム事業は、北米および豪州が堅調

ゲーミング&システム事業の売上高は前年同期比6.3%増の296億600万円、事業利益は同25.7%増の48億7,800万円と増収増益となった。

同期のゲーミング市場は、北米市場および豪州市場が引き続き堅調に推移した。ゲーミング機器メーカーより続々と新しい製品が投入され、市場は活性化している。このような状況下、コナミグループのスロットマシンでは、北米市場、豪州市場において、複数の賞を受賞している「DIMENSION(ディメンション)」シリーズの展開を進めた。スロットマシン販売においては、「DIMENSION 27™(ディメンション トゥエンティーセブン)」「DIMENSION 49™(ディメンション フォーティーナイン)」を中心に販売した。また、パーティシペーション(レベニューシェア)では、75インチの湾曲したモニターが特徴の「DIMENSION 75C™(ディメンション セブンティーファイブ シー)」を展開した。

「All Aboard™」が業界トップクラスの稼働を記録

さらに、43インチモニターを3台組み合わせた「DIMENSION 43×3™(ディメンション フォーティースリーバイスリー)」を市場に投入し、高い評価を得た。ゲーミングコンテンツでは、「All Aboard™(オール アボード)」が引き続き業界トップクラスの稼働を記録した。また、色とりどりのドラゴンによる演出を楽しむことができる「Dragon’s Law™(ドラゴンズ ロー)」や、複数筐体で演出がシームレスに流れる「StuffedCoins™(スタッフド コインズ)」などのタイトルも高稼働を維持した。豪州市場においては、「BullRushTM(ブルラッシュ)」シリーズが好調に推移した。

カジノマネジメントシステムの導入拡大

一方、カジノマネジメントシステムでは「SYNKROSⓇ(シンクロス)」がラスベガスで12月に開業した大型IR施設「Fontainebleau Las Vegas」に導入された。この他にも導入施設数が順調に拡大している。また、キャッシュレスカジノを実現する「Money Klip™(マネー クリップ)」なども、消費者から好評を得た。

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スポーツ事業、利益は153.5%増

スポーツ事業の売上高は前年同期比5.5%増の355億7,100万円、事業利益は同153.5%増の20億7,900万円となった。

スポーツ市場はエネルギー価格の高騰による経営環境への影響が続いているが、国内の社会経済活動の正常化が進んだことで、スポーツや健康増進の需要が高まっている。このような状況下、コナミグループのスポーツクラブ運営においては、引き続き施設内のサービスを充実させるとともに、「コナミスポーツ オンラインフィットネス」にて「スポーツの日」に合わせて特別プログラムを実施するなど、施設外でもより多くのメンバーに運動機会を提供した。また、2023年11月より全国のコナミスポーツクラブにて、大規模スタジオプログラムイベント「UNITED FEEL」を順次開催している。本イベントは「団結した」「協力した」という意味を持つ「UNITED」をイベント名称に用い、「コミュニケーションが減ってきている今こそ、世代を超えて音楽を感じ、身体を動かし、一体感を高めることを継続させたい」というコンセプトのもと、多くのメンバーが楽しめるプログラムを実施した。

映像とAIを活用して練習効果を向上させる「デジタルノート成人水泳教室」をスタート

一方、子ども向け運動スクール「運動塾」では、スポーツを通して体の成長を促すべく、スイミング・体操・ダンスなど子どもに合った様々な種目を展開している。同期は、スイミングスクールを新たに11施設で開講したほか、近年盛り上がりを見せているバスケットボールスクールをトライアル導入した。さらに、運動塾に通う子どもが日頃の練習の成果を発揮する場として、大会やイベントを開催した。会場では、日本代表やプロ選手によるワンポイントレッスンなど、子どものモチベーションと技術の向上をサポートする取り組みを実施した。加えて、映像とAI(人工知能)を活用して練習効果を向上させる「運動塾デジタルノート」を大人向けのプログラムにカスタマイズした「デジタルノート成人水泳教室」を全国のコナミスポーツクラブ38施設でスタートした。

「Pilates Mirror」を計21店舗に拡大

また、同期は天井にミラーを設置したピラティススタジオ「Pilates Mirror(ピラティスミラー)」を東京都の阿佐ヶ谷、笹塚、大森、武蔵境、および神奈川県のセンター南、青葉台、鷺沼の7店舗を新規オープンし、合計21店舗に拡大した。「Pilates Mirror」は入会待ちになる施設があるなど、引き続き、多くの消費者から好評を得ている。

自治体のスポーツ施設の運営受託を開始

このほか、コナミグループがスポーツ事業で培った運営・指導のノウハウや実績を活かして、青森県つがる市、埼玉県さいたま市、千葉県旭市、東京都豊島区、東京都中央区、岐阜県岐阜市のスポーツ施設の運営受託も開始している。学校水泳授業の受託においても、学校側のニーズがますます高まっており、日本全国で多くの小中学校に水泳指導業務を提供し、好評を得ている。

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大谷翔平選手がKONAMI野球ゲームのアンバサダーに就任

2月1日、コナミグループは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比9.1%増の3,430億円、事業利益で同38.7%増の785億円、営業利益で同55.9%増の720億円、税引前利益で同52.8%増の720億円、最終利益で同46.2%増の510億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年5月11日公表)に比べて、売上高でプラス4.6%、事業利益でプラス24.6%、営業利益でプラス20.0%、税引前利益でプラス22.0%、最終利益でプラス24.4%の上方修正である。

コナミグループは上方修正の理由について、主にデジタルエンタテインメント事業において主力タイトルの収益が計画を上回る推移となっていることを挙げている。ちなみに、コナミグループはデジタルエンタテインメント事業の新たな取り組みとして、「パワフルプロ野球」シリーズ30周年並びに「プロ野球スピリッツ」シリーズ20周年を記念したKONAMI野球ゲームのアンバサダーに米ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手が就任したことを発表したほか、野球振興の取り組みとして、世界野球ソフトボール連盟(WBSC)とのパートナーシップを拡大し、「WBSC世界ランキング」のネーミングライツも取得している。

いわゆる「大谷効果」が、コナミグループの業績や株価にどのような影響を及ぼすのか、引き続き注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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