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幸楽苑HD、最終赤字が拡大。株価は年初来安値、原点回帰でV字回復目指すが…

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(画像= La Caprese)

2023年8月18日、東京証券取引所で幸楽苑ホールディングスの株価が一時976円まで売られ、年初来の安値を更新した。今年5月18日の高値1,110円から3カ月で12.1%の下落である。

幸楽苑ホールディングスは、福島県郡山市に本社を置く、ラーメン店をチェーン展開する企業の持株会社である。その源流は、1954年に福島県会津若松市に6坪の店舗、3人の従業員で開店した「味よし食堂」にまでさかのぼる。当時のメニューはうどん(20円)、天ぷらうどん(25円)、らーめん(35円)であった。1967年には「味よし食堂」を「幸楽苑」に改称、1970年には資本金200万円で株式会社幸楽苑に改組している。そして、1980年にはフランチャイズ事業に進出した。2023年6月30日現在の国内外のグループ店舗数は424店舗となっている。

「味よし食堂」の開店から69年の歴史を誇る幸楽苑ホールディングスであるが、直近の業績は苦戦を強いられている。後段で述べる通り、幸楽苑ホールディングスが8月10日に発表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績は最終赤字が大幅に拡大しており、株式市場でも弱気を助長する要因となっているようだ。

今回は幸楽苑ホールディングスの話題をお届けしよう。

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幸楽苑ホールディングス、最終赤字が大幅に拡大

8月10日、幸楽苑ホールディングスは2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比0.4%減の61億8,900万円、営業赤字は4億6,000万円(前年同期は3億4,000万円の営業赤字)、経常赤字は4億6,500万円(前年同期は6,100万円の経常赤字)、最終赤字は4億9,400万円(前年同期は1,300万円の最終赤字)と赤字幅を拡大する結果となった。

同期は新型コロナウイルス禍の行動制限緩和に加えて、感染法上の分類が5類に引き下げられたことから、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られたものの、一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化による原材料およびエネルギー価格の上昇、世界的なインフレ率の上昇、日米金利差拡大による円安の進行等が継続するなど、依然として先行き不透明な状況となった。この影響から、外食産業は人手不足による人件費関連コストの上昇に加え、原材料費、光熱費、物流費などの店舗運営コストが大幅に上昇するなど、厳しい経営環境が続いた。

このような経済環境の中、幸楽苑ホールディングスは経営方針として原点回帰を掲げ、業績のV字回復を達成するために、❶外食の原点である魅力のある商品作りとメニューの絞り込み、❷人手不足の解消による営業時間の正常化、❸全店舗のQSCの立て直しと安全安心な食事環境の提供、❹コスト削減、❺不採算店舗の撤退・FC化の進展等の重点課題・施策に取り組んできた。

主要セグメントの概況は以下の通りである。

ラーメン事業

ラーメン事業の売上高は前年同期比0.6%減の55億3,600万円となった。

同期のラーメン事業では、「中華そば」「中華そばプレミアム」「餃子極」などの定番メニューへの絞り込みを進めるとともに、「ねぎ玉中華そば」「野菜ごまダレねぎ玉中華そば」「激辛マーラーつけめん」「背脂牛肉つけめん」「冷やし中華」等の期間限定商品を随時投入した。

店舗展開では、新規出店は行わず、不採算店舗の撤退を行なった。その結果、店舗数は直営店で前年同期比16店舗減の379店舗となった。業態別では「幸楽苑 since1954+幸楽苑のからあげ家」が6店舗、「幸楽苑」が373店舗となった。

その他の事業

その他の事業の売上高は前年同期比0.9%増の6億5,200万円となった。その他の事業では、フランチャイズ事業(ラーメン業態のフランチャイズ展開)、その他外食事業(洋和食業態の店舗展開)を行っている。

同期のフランチャイズ事業は、店舗数で19店舗(国内12店舗、海外7店舗)となった。一方、その他外食事業は「焼肉ライク」の直営店が11店舗、「焼肉食堂まんぷく」の直営店が1店舗、「からやま」の直営店が7店舗、「赤から」の直営店が4店舗、「餃子の味よし」が2店舗、「VANSAN」が1店舗となった。

原点回帰で業績のV字回復を目指すが…

8月10日、幸楽苑ホールディングスは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比2.1%増の260億円、本業の利益を示す営業利益で2億円(前期は16億8,700万円の営業赤字)、経常利益で1億2,000万円(前期は15億2,800万円の経常赤字)、最終利益で2,000万円(前期は28億5,800万円の最終赤字)と従来予想(5月15日公表)を据え置いた。

ちなみに、幸楽苑ホールディングスが8月8日に発表した2023年7月の売上推移速報によると、同月の直営店既存店売上高(国内)は前年同月比で7.2%増と2カ月連続のプラスとなった。一方、直営店既存店の客数(国内)は前年同月比で4.7%減、同じく客単価は同12.4%増となった。

前述の通り、幸楽苑ホールディングスは経営方針として原点回帰を掲げ、❶〜❺の重点課題・施策に取り組んでいるところである。果たして、同社の業績はV字回復を果たせるのだろうか? 引き続き、株価の動きとともに注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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