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イオン、今期は営業利益で過去最高益へ。株価は昨年来高値、物価高の中でプライベートブランド好調

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(画像= La Caprese)

2024年1月16日、東京証券取引所でイオンの株価が一時3,485円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年3月16日の安値2,468円から10カ月で41.2%の上昇である。

イオンは、GMS(総合スーパー)事業のほか、SM(スーパーマーケット)事業、DS(ディスカウントストア)事業、ヘルス&ウエルネス事業、総合金融事業、ディベロッパー事業などを展開する企業群を傘下に置く純粋持株会社である。約300社で構成するグループ企業を統括する同社は、中期経営計画(2021~2025年度)として、①デジタルシフトの加速と進化、②サプライチェーン発想での独自価値の創造、③新たな時代に対応したヘルス&ウエルネスの進化、④イオン生活圏の創造、⑤アジアシフトの更なる加速……の5つの変革を推進している。

後段で述べる通り、1月12日にイオンが発表した、❶2024年2月期・第3四半期(2023年3月1日~2023年11月30日)の連結業績で、営業収益・営業利益・経常利益がいずれも同期として過去最高を更新したほか、❷2024年2月期・通期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想を上方修正し、営業利益で通期として最高益を更新する見通しを示した……ことが株価にも刺激材料となった。

今回はイオンの話題をお届けしよう。

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イオン、第3四半期は純損益で5期ぶりの黒字転換

2024年1月12日、イオンは2024年2月期・第3四半期(2023年3月1日~2023年11月30日)の連結業績を発表した。同期の営業収益は前年同期比4.5%増の7兆258億5,500万円、本業の利益を示す営業利益は同26.8%増の1,428億2,300万円、経常利益は同23.8%増の1,331億1,500万円となり、いずれも同期として過去最高を更新した。一方、純利益は183億5,900万円(前年同期は36億8,200万円の純損失)と5期ぶりの黒字に転換した。

同期は、原材料価格の高騰やロシアのウクライナ侵攻、為替の円安進行等に起因した物価上昇が継続し、高付加価値商品と値ごろ感のある商品への「消費の二極化」が顕著となった。そうした状況下で、全報告セグメントで増収を記録した。

本業の利益を示す営業利益については、収益性の高いPB(プライベートブランド)の拡販に加えて、デジタルを活用した生産性の向上、使用電力の削減などのコストコントロールにより、主力の小売事業であるGMS事業の業績が改善したほか、SM事業、DS事業は増益となった。また、ディベロッパー事業、サービス・専門店事業も、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和で客足の回復が進んだことから、増益となった。一方で、営業債権残高に合わせて貸倒引当金繰入額が増加した総合金融事業のほか、各国でGDP成長率予測の下方修正が相次ぐなどマクロ経済環境悪化の影響が顕著である国際事業と、コロナ対策関連商品の需要減の影響を受けたヘルス&ウエルネス事業は減益となった。

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全報告セグメントで増収を記録

ちなみに、セグメント別の概況は以下の通りである。

GMS事業

GMS事業は、営業収益が前年同期比4.1%増の2兆4,901億6,000万円、営業損失は12億9,100 万円(前年同期より135億1,500万円の改善)となった。

同期は、衣料・食品・H&BCの荒利率向上やDX(デジタルトランスフォーメーション)推進等による業務効率化で営業利益率が改善した。同期は収益の柱であるイオン九州が統合シナジーを発揮し、営業収益・各段階利益ともに過去最高を更新した。また、イオンリテールでは、DXによる生産性改善と店舗・本社の販管費削減で売上総利益率、販管費率が改善した。

SM事業

SM事業は、営業収益が前年同期比3.4%増の2兆261億5,700万円、営業利益は218億7,000万円(前年同期より144億2,900万円の増益)となった。

同期は、DXによる店舗オペレーションの効率化と水道光熱費の削減で大幅な増益を実現したほか、トップバリュの価格優位性を活かした集客も功を奏した。なお、同期はいなげやを連結子会社化し首都圏のドミナント強化を推進した。

DS事業

DS事業は、営業収益が前年同期比4.9%増の2,997億6,100万円、営業利益は60億9,800万円(前年同期より48億4,100万円の増益)となった。

同期は、DS専用PBの拡販で利益率が上昇した。加えて、マテリアル・ハンドリング(マテハン)やDXによる業務効率化も大幅な増益に寄与した。引き続き、ローコストオペレーションを確立した本格的なDSフォーマットの構築を目指す方針である。なお、イオンビッグは2024年3月にマックスバリュ南東北との合併を予定している。

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ヘルス&ウエルネス事業

ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益が前年同期比7.6%増の9,145億9,300万円、営業利益は304億6,400万円(前年同期より4億2,200万円の減益)となった。

同期は、検査キットなどコロナ関連需要の反動減の影響を受けた。販売管理費の増加は想定内にコントロールできたものの、営業総利益は想定に届かなかった。

総合金融事業

総合金融事業は、営業収益が前年同期比6.6%増の3,551億5,800万円、営業利益は272億4,900万円(前年同期より147億2,300万円の減益)となった。

総合金融事業は、国内・海外で貸倒関連費用や上期顧客基盤拡充費用の増加により減益となった。同期は、個人向けローンを提供するベトナムの現地企業の完全子会社化や、マレーシアにおけるデジタルバンクの来年度開業など、新規事業による業容拡大と収益力の強化に向けて金融包摂の取り組みを推進した。

ディベロッパー事業

ディベロッパー事業は、営業収益が前年同期比5.8%増の3,472億6,800万円、営業利益は345億9,000万円(前年同期より12億1,300万円の増益)となった。

同期は、国内においてモール、都市型SCともに専門店売上が前年同期比プラスで推移し増収増益となった。一方、中国では江蘇省、湖北省が好調に推移し、前年の特別損失の影響を除くと実質16億円の増益となった。また、アセアンでは最重点エリアのベトナムや行動規制が緩和されたインドネシアが増益を記録した。

サービス・専門店事業

サービス・専門店事業は、営業収益が前年同期比4.7%増の5,935億5,600万円、営業利益は120億7,500万円(前年同期より60億4,200万円の増益)となった。

同期は、ジーフットやイオンファンタジーが増益を牽引した。ジーフットではMD構造改革が順調に推移したほか、イオンファンタジーではアセアンが過去最高益を記録した。また、同期は商品調達先変更による原価低減、什器・備品のグループ共同仕入れなどでコスト低減を実現した。

国際事業

国際事業は、営業収益が前年同期比2.7%増の3,803億1,700万円、営業利益は70億3,800万円(前年同期より18億9,500万円の減益)となった。

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業績予想を上方修正。2024年2月期・通期は営業利益で過去最高へ

2024年1月12日、イオンは2024年2月期・通期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想について、営業収益で前期比4.2%増の9兆5,000億円、本業の利益を示す営業利益で同14.4%増の2,400億円、経常利益で同12.9%増の2,300億円、純利益で同54.3%増の330億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年4月12日公表)に比べて営業収益でプラス1.1%、営業利益でプラス9.1%、経常利益でプラス9.5%、純利益でプラス32.0%の上方修正である。見立て通りとなれば、営業利益で過去最高益を更新することとなる。

イオンは上方修正の理由について、第3四半期累計期間において、営業収益・営業利益・経常利益が同期として過去最高を更新し、純利益も当初想定を大幅に上回り5期ぶりの黒字となったことを挙げている。イオンは引き続き中期経営計画で掲げた5つの成長戦略に基づき、DXの加速やサプライチェーン改革などを着実に進めるとともに、さまざまな構造改革を推進する方針である。

引き続き、イオンの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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