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マクニカHD、株価は上場来高値。生成AIブームで人気沸騰、2031年3月期は売上高で2兆円以上を目指す

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(画像= TY_Photo / 写真AC、La Caprese)

2023年12月12日、東京証券取引所でマクニカホールディングスの株価が一時7,878円まで買われ、上場来高値を更新した。今年1月5日の安値3,055円から約11カ月で157.9%の上昇である。

マクニカホールディングスは、半導体や集積回路等の電子部品の輸出入および販売等を手がける企業の持株会社である。ちなみに、同社は米国の半導体大手のエヌビディアの国内正規代理でもある。エヌビディアはAI(人工知能)向けの半導体で世界全体の約8割のシェアを占めており、2022年11月にOpenAIが公開したチャットGPTを皮切りに生成AIブームに火がついたことから業績期待が広がった。この影響からマクニカホールディングスも「生成AI関連銘柄」の一角として注目されている。

後段で述べる通り、マクニカホールディングスは、❶今年9月25日に長期経営目標を上方修正し、2031年3月期・通期(2030年4月1日~2031年3月31日)の売上高を2兆円以上(従来目標は1兆3,000億円以上)、営業利益を1,500億円以上(従来目標は1,000億円以上)とすると発表したほか、❷10月30日に公表した2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績が大幅な増収増益となったこと、❸さらに2024年3月期の年間配当予想を従来予想の150円から160円に増額修正したこと(前期は140円)……などが株価のサポート要因となっている。

今回はマクニカホールディングスの話題をお届けしよう。

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マクニカホールディングス、純利益は53.8%増

10月30日、マクニカホールディングスは2024年3月期・第2四半期(2023年4月1日~2023年9月30日)の連結業績を公表した。同期の売上高は前年同期比11.0%増の5,469億6,100万円、本業の利益を示す営業利益は同41.8%増の380億円、経常利益は同54.7%増の366億6,700万円、純利益は同53.8%増の258億6,400万円と大幅な増収増益となった。

同期は、半導体製品の供給ひっ迫状況がピークを過ぎリードタイムが平常時に戻るなか、スマートフォンやパソコン向けが主になる最先端製品であるメモリーなど一部製品の需要減速が認められた。その一方で、将来の半導体確保に向け世界各国の政府主導による半導体工場への投資が行われ、半導体製造装置等のニーズの高まりが見られた。さらに、製造業DX(デジタルトランスフォーメーション)向けのFA・工作機械等への設備投資も堅調に推移した。

また、車載市場ではADAS(先進運転支援システム)をはじめとした安全性の向上・自動化に向けた高度な制御システム、脱炭素化に向けたEV(電気自動車)化の動きが加速し、車1台当たりの半導体搭載量が増加するなか、半導体供給不足も解消しはじめ生産数も回復を示した。このほか、IT産業では、企業のIT投資環境が引き続き拡大傾向を示した。

なお、今後のエレクトロニクス産業全体の課題となるのがセキュリティ面である。同期は、サプライチェーンの弱点を悪用したインシデントが複数発生しており、サイバー攻撃リスクが再認識されている。また、EUサイバーレジリエンス法等の海外政府の法整備に合わせ、デジタル要素を備えた製品のソフトウェア部品表(SBOM)や脆弱性対応への関心も高まっている。

ちなみに、セグメント別の概況は以下の通りである。

集積回路及び電子デバイスその他事業

集積回路及び電子デバイスその他事業の売上高は前年同期比10.4%増の4,925億4,400万円、営業利益は同45.1%増の345億5,600万円となった。

同期は、一部製品を除き半導体の供給不足はある程度改善されてきた。こうした中、マクニカホールディングスの注力市場である産業機器市場では、生産の高度化・自動化を目的としたFA機器や工業用ロボット、半導体需要の高まりに応じた各種半導体製造装置への設備投資が継続した。また、計測・分析装置など各種測定機器や高度な医療向けの医療機器など、幅広い分野が堅調に推移した。車載市場では、世界的な脱炭素化の流れによるEV化やより高度な自動化・電動化が進み、半導体搭載量も増加していることから、その他標準ICを中心に伸長した。通信インフラ市場、コンピュータ市場では、生成AI向け製品の需要が増加する一方で、サーバー需要が落ち込んだ影響を受けメモリー等の需要が減少した。

ネットワーク事業

ネットワーク事業の売上高は前年同期比17.7%増の544億3,500万円、営業利益は同15.4%増の34億4,300万円となった。

同期は、働き方改革やリモートワークの普及によりクライアント端末へのセキュリティ対策の重要性認識が浸透したことにより、エンドポイントセキュリティ関連商品が大幅に伸長した。また、企業や官公庁のクラウド技術やデータ活用の広がりを背景に、クラウドアプリケーションとデータ分析基盤関連商品も伸長した。加えて、東南アジア地域を中心とした海外ネットワーク事業も大幅に伸長した。

2031年3月期は売上高で2兆円以上、営業利益で1,500億円以上を目指す

10月30日、マクニカホールディングスは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比6.9%増の1兆1,000億円、本業の利益を示す営業利益は同7.1%増の660億円、経常利益は同10.5%増の628億円、純利益は同2.9%増の422億円と従来予想(7月31日公表)を据え置いた。

ちなみに、冒頭でも述べた通り、マクニカホールディングスは9月25日に長期経営目標を上方修正し、2031年3月期・通期(2030年4月1日~2031年3月31日)の売上高を2兆円以上(従来目標は1兆3,000億円以上)、営業利益を1,500億円以上(従来目標は1,000億円以上)とすると発表している。

マクニカホールディングスは長期経営目標の上方修正の理由について、❶2023年3月期は、旺盛な半導体需要と為替が円安水準で推移したことなどから、集積回路および電子デバイスその他事業において想定を上回る成長を実現し、中期経営計画(2022~2024年度)の経営数値目標を2年前倒しで達成したこと、❷足元の事業環境を勘案し、中期経営計画の経営数値目標を2023年5月8日に修正したこと、❸その上で、当初計画を立案した時点からの変化点をもとに再度検討を行った結果、長期経営目標の数値を一部修正することを決定した……としている。なお、2031年3月期の営業利益率の目標値は7.5%以上、ROE(自己資本利益率)は15%以上と従来目標を据え置いた。

引き続き、マクニカホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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