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はごろもフーズ、営業利益は33.1%増。株価は年初来高値、消費者ニーズに応える健康志向等に注力

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(画像= La Caprese)

2023年9月20日、東京証券取引所ではごろもフーズの株価が一時3,110円まで買われ、年初来高値を更新した。はごろもフーズ株の3,100円台は2022年10月24日以来のことである。

はごろもフーズは、各種食品の製造・販売を手がける企業である。缶詰やレトルト食品、パスタ、パスタソース、包装米飯のほか、ペットフードやフィッシュエキスなどの製造・販売も行っている。特に缶詰では1958年に商標登録した「シーチキン」がロングセラーとなり、現在も売上全体の46.1%(2024年3月期・第1四半期)を占める主力商品となっている。

後段で述べる通り、はごろもフーズが公表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績で営業利益が前年同期比33.1%増となるなど回復傾向を鮮明にしたことが、株価にもサポート要因となっているようだ。

今回は、はごろもフーズの話題をお届けしよう。

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はごろもフーズ、消費者ニーズに応える健康志向等に注力

8月10日、はごろもフーズは2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前年同期比5.2%増の186億8,700万円、本業の利益を示す営業利益は同33.1%増の4億8,800万円、経常利益は同28.1%増の6億6,800万円、純利益は同28.5%増の4億5,900万円となった。

同期は、新型コロナウイルスの第5類移行による人流の増加等により緩やかながら経済活動に回復の動きが見られる一方で、原材料およびエネルギー価格の上昇や、為替相場の変動等により先行き不透明な状態が継続した。食品業界では、昨年度より続く上述の要因等による製品の価格改定が続いたため、消費者の生活防衛意識が高まり消費が停滞する等、引き続き厳しい経営環境となった。

このような状況下、はごろもフーズは中期経営計画の優先課題である信頼感・安心感のある「はごろも」ブランドの確立に取り組み、❶消費者ニーズに応える健康志向や、❷簡便性・利便性といった機能を追求した製品の販売に注力した。あわせて、❸販売促進活動の一つである「シーチキン食堂」のテレビコマーシャルと連携した「朝たん(=朝にたんぱく質を摂る)」等のメニュー提案により、さらなる製品の需要喚起とブランド価値の訴求に努めた。一方で、❹まぐろ・かつお等の主原料や食用油等の副材料、空缶・パウチ等の容器包装資材、さらにエネルギー価格・物流費等の上昇により売上原価が大幅に増加したことから、多くの製品において価格改定を実施した。

その結果、家庭用製品にて、健康志向や機能性を追求した製品や、明確な製品コンセプトを訴求した製品の販売が伸長した。また業務用製品では、各種給食やコンビニエンスストア向けの需要が回復したこともプラス要因となって売上増加に寄与した。

一方、利益面では、各種原材料価格や燃料費の上昇にともない売上原価率は上昇したものの、価格改定の浸透および販売奨励金や運賃・保管料等の減少により営業利益が大幅に伸長したほか、受取配当金および海外関連会社の持分法による投資利益が増加したこと等により、経常利益および純利益も大幅な増益となった。

なお、同期の製品群別の状況は以下の通りである。

ツナ等

「ツナ等」は、主力の油漬缶詰「シーチキンマイルド」が堅調に推移した。さらに高たんぱく・低脂質・低糖質という健康面を訴求した「オイル不使用シーチキン」シリーズや、開けやすく後片付けが簡単なパウチタイプの「シーチキンSmile」シリーズも好調だった。

デザート

「デザート」は、ぜんざい類が好調に推移したほか、中身が見えて取り扱いが簡単なフルーツパウチも堅調だった。しかし、その一方で、主力の「朝からフルーツ」シリーズが低調だったことから、「デザート」全体の売上高は伸び悩んだ。

パスタ&ソース

「パスタ&ソース」は、パッケージリニューアルを実施した主力の結束タイプのスパゲッティ「ポポロスパ7分」や「ポポロスパやんわか8分」、100g小容量の「ポポロマカ4分」が好調だった。ソースは2月に発売した電子レンジ対応パウチを使用した「パパッとレンジミートソース」が伸長し、さらに和の素材を使った和えるパスタソース「和える七香」シリーズも好調だった。

総菜

「総菜」は、主力の「シャキッとコーン」シリーズが堅調だったほか、今年2月にリニューアルした「ホームクッキング」シリーズも伸長し業績に寄与した。

削りぶし・のり・ふりかけ類

「削りぶし・のり・ふりかけ類」は、かつおパックや削りぶしが低調だったものの、きざみのりや「天下無添」シリーズ等のふりかけが好調に推移したほか、今年2月に発売した「のり弁慶」も伸長した。

ギフト・その他食品

「ギフト・その他食品」は、贈答品市場の回復と地方自治体との取り組みによりギフトが伸長し、さらに電子レンジで簡単に調理可能な包装米飯「パパッとライス」も好調に推移した。

業務用食品

「業務用食品」は、各種給食やコンビニエンスストア向けの需要回復を背景に堅調に推移した。

ペットフード・バイオ他

「ペットフード・バイオ他」は、新製品を投入し品揃えをさらに拡充した「無一物」シリーズが好調に推移する一方で、ミールエキスの販売が縮小した。その結果、「ペットフード・バイオ他」全体の売上高は伸び悩んだ。

営業利益の進捗率は69.7%、上方修正の可能性は?

8月10日、はごろもフーズは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比0.1%増の705億円、本業の利益を示す営業利益で7億円(前期は11億3,300万円の営業損失)、経常利益は11億円(前期は7億9,100万円の経常損失)、純利益は8億円(前期は13億2,000万円の純損失)と従来予想(5月12日公表)を据え置いた。

はごろもフーズは、通期の連結業績予想を据え置いた理由について、原材料やエネルギー価格および為替相場の動向が不透明なことを挙げている。ちなみに、通期の連結業績予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高で26.5%、営業利益で69.7%、経常利益で60.7%、純利益で57.4%となっている。特に各利益の進捗率が非常に高く、今後、はごろもフーズが上方修正に動くのか気になるところである。■

(La Caprese 編集部)

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