2023年10月2日、森永乳業(本社:東京都港区)は九州福祉保健大学と実施した臨床試験において、乳タンパク質の混合物であるラクトフェリンを健常成人が摂取することにより、免疫細胞の一種であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)の活性が維持され、呼吸器および全身の健康状態が維持されることを確認したと発表した。
ラクトフェリンは、牛乳から発見された鉄と結合する性質を示す糖タンパク質で、多彩な機能性を有している。森永乳業は60年以上にわたりラクトフェリンの研究に取り組んでおり、これまでの細胞実験から、ラクトフェリンがウイルスに対する免疫応答でリーダーの役割を果たすプラズマサイトイド樹状細胞(以下、pDC)を活性化することを確認している。そこで今回、健常成人がラクトフェリンを摂取することにより、pDCの活性が維持され、呼吸器および全身の健康状態が維持されるかを臨床試験で検討した。
本研究の概要は以下の通りである。
森永乳業のラクトフェリン研究
本研究では、まず、健常成人157名を無作為に2つのグループに分け、ラクトフェリンを含む食品(200mg/日)またはラクトフェリンを含まない食品(プラセボ)のいずれかを12週間摂取していただいた。摂取期間中は、呼吸器症状(のどの不快感、声がれ、たん、くしゃみ、鼻水、鼻づまり)および全身症状(熱っぽさ、倦怠感)のスコアを日誌に記録していただいた。また、摂取前後で採血し、血液中の pDC の活性指標であるCD86 および HLA-DR の発現強度を測定した。
研究結果①ラクトフェリンの摂取により呼吸器および全身の健康状態が維持された
摂取期間中の呼吸器症状および全身症状のスコアは、ラクトフェリン群でプラセボ群と比較して有意に低い値を示した(図1)。
研究結果②ラクトフェリンの摂取によりpDCの活性が維持された
摂取後のpDCの活性指標であるCD86およびHLA-DRの発現強度は、ラクトフェリン群でプラセボ群と比較して有意に高い値を示した(図2)。
以上の結果から、健常成人がラクトフェリンを摂取することにより、pDCの活性が維持され、呼吸器および全身の健康状態が維持されることが示された。森永乳業は、ラクトフェリンがpDCを介してどのように免疫を調節するのか、引き続き研究を進める方針である。
なお、本研究成果は、2023年9月13日に科学雑誌「Nutrients」に掲載された。
森永乳業のさらなる研究成果を期待したい。■
(La Caprese 編集部)