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エッセイ:子どもたちの命を守れ!「車内置き去り」を防ぐために必要なこと

子供,車内置き去り,対策 朝散歩で一人会議
(画像= Canva、La Caprese)

2023年7月6日、東京都では最高気温で34.5度を記録するなど、暑い一日となった。この日、30度以上の「真夏日」となったのは全国の約6割、540地点に達したほか、19地点で35度以上の「猛暑日」を記録した。また、翌7日には、各地で熱中症の危険性が極めて高くなるとして、気象庁と環境省から「熱中症警戒アラート」が発表された。

それにしても――。この時期、筆者が気がかりなのは「子どもの車内置き去り」事故である。2022年9月には、静岡県牧之原市静波の認定こども園「川崎幼稚園」で、3歳の女の子が送迎バスの車内に約5時間にわたって取り残され、熱中症で死亡するという事故が発生した。2021年7月には福岡県中間市の保育園でも同様の事故が発生し、国が安全管理の徹底を全国の施設に求めていたが、教訓は生かされなかった。

繰り返される痛ましい事故。
幼稚園や保育園などの現場で働く担当者は、どう感じているのだろうか?

注目されるのは、三洋貿易(本社:東京都千代田区)が子どもの車内置き去り事故を防止する取り組みの一つとして、7月5日に発表した『子どもの車内置き去り実態調査2023』である。三洋貿易は車用子ども置き去り検知システムなどの安全装置を提供する企業で、調査は幼稚園や保育園で送迎を担当する267名と、全国の小学生以下の子どもを乗せて車を運転するドライバー3,377名を対象に車内置き去りの実態や、危険性の認識、行動の変化などの実態を把握するために行われた。

以下は、幼稚園・保育園の送迎バス担当者の回答結果の要旨である。

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園児の車内置き去りに対する認識と実態

まず、幼稚園・保育園の送迎バス担当者で、「園児の車内放置による熱中症が毎年のように発生している」ことを知っているとした人は95.9%に達した(昨年度は95.5%)。また、過去1年間に「子どもだけを送迎バスに残して車を離れたことがある」と回答したのは1.5%で、昨年度の5.6%から減少し、施設側の意識の高まりが感じられる結果となった。

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(図1) 出典:三洋貿易『子どもの車内置き去り実態調査2023』

一方、「車内に園児だけが残されることは、今後も発生すると思いますか」という質問に対しては、54.3%が「今後も発生する」(今後さらに増加+少しは増加+今と変わらないくらい発生)と回答し、「減る」(少しずつ減る+今後減っていく)の45.7%を上回る結果となった。

また、「車内に園児だけ残されることは、なぜ起こると思いますか」という質問に対しては、「送迎担当者や職員の意識が低いから」が昨年度から10.1ポイント減少し56.6%となった。半面、「人手不足だから」「業務過多だから」「登園確認等のルールが形骸化しているから」は昨年度からそれほど大きな変化がなく、それぞれ49.1%、42.3%、41.9%となった。

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(図2)出典:三洋貿易『子どもの車内置き去り実態調査2023』

さらに「あなたの勤務する園で、無意識のうちに車内に園児が取り残されることが発生すると思いますか」との質問に対しては、「発生しないと思う」が76.0%、「発生すると思う」は24.0%にとどまり、自分の園では大丈夫と認識している人が大半を占めることが明らかになった。

危機感と当事者意識のギャップが浮き彫りに

今回の調査では、幼稚園・保育園の送迎担当者の95.9%が、車内置き去りにより、毎年のように子どもの熱中症事故が発生していることを認識し、今後も園児が取り残される事故は発生すると思うとの回答は54.3%に達した。

しかし、その一方で76.0%が自分の園では「発生しないと思う」と回答するなど、危機感と当事者意識のギャップも浮き彫りとなった。

「子どもの車内置き去り」事故のリスクについては、広く認知されているにもかかわらず、幼稚園・保育園の送迎担当者の多くが「自分だけは大丈夫」と考えていると読み取れるような結果になったことには、正直不安を禁じ得ない。

NPO法人Safe Kids Japan理事長の山中龍宏先生は、今回の調査結果について「『自分だけは大丈夫』という考え方は、車内置き去りのみならず、あらゆる事故において共通しています」と指摘。その上で「人の不注意や無責任を非難することに終始せず『人は誰でも間違う』という考え方に基づいて、社会や企業が基準づくりや製品開発を行い、事故が起きないように仕組み化することが重要です。子どもの車内置き去りによる熱中症に関しては、送迎バスへの安全装置設置に続いて、圧倒的に台数が多い自家用車における対策強化も望まれます」とコメントしている。

筆者も山中先生の意見に賛成である。
「車内置き去り」を防ぎ、子どもたちの命を守るために必要なこと。
それは、何よりもまず、幼稚園・保育園の送迎バス担当者が当事者意識を持つことである。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

編集長エッセイ
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