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アダストリア、株価は年初来高値。中期経営計画を推進、2026年2月期にROE15%以上を目指す

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(画像= La Caprese)

2023年5月31日、東京証券取引所でアダストリアの株価が一時2,827円まで買われ、年初来の高値を更新した。2022年3月9日の安値1,555円から1年2カ月ほどで81.8%の上昇である。

アダストリアは、カジュアル衣料品や雑貨を中心としたSPAブランドを展開する企業である。渋谷ヒカリエに本社を置き、LOWRYS FARM(ローリーズファーム)やLEPSIM(レプシィム)、LE FOYER(ルフォワイエ)、GLOBAL WORK(グローバルワーク)、niko and…(ニコアンド)、studio CLIP(スタディオクリップ)など多数のブランドを展開している。

ちなみに、社名のアダストリアはラテン語の格言「Per aspera ad astra(困難を克服して栄光を獲得する)」を語源とする造語である。その格言を体現するように、アダストリアは新型コロナウイルス禍の難局を克服して、業績を順調に伸ばしており、株価にも刺激材料となっている。

今回はアダストリアの話題をお届けしよう。

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アダストリア、2023年2月期の営業利益は75.4%増

4月4日、アダストリアは2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比20.3%増の2,425億5,200万円、本業の利益を示す営業利益は同75.4%増の115億1,500万円、経常利益は同47.3%増の120億2,600万円、純利益は同53.3%増の75億4,000万円と大幅な増収増益となった。

同期は、アパレル・雑貨関連事業が好調だった。国内では、前期と比較して新型コロナウイルス禍の店舗の営業制限が緩和されたことや、春夏シーズンの天候が良かったことなどの外的要因に加え、外出需要を捉えた商品展開やヒット商品の育成、テレビCMやポイント還元等のプロモーションなども奏功し、業績に寄与した。また、その他事業においても、成長戦略に沿って飲食事業を展開するゼットンを連結子会社化したことで前期に比べて14.5%の増収となった。

デジタル戦略では、自社ECの「ドットエスティ」の認知度向上を目的としたテレビCMなど集客の取組みを実施したほか、他社商材の取り扱いなど品揃えの拡充を進めた。その結果、「ドットエスティ」の会員数は前期末と比較して190万人増の1,550万人に伸長した。リアル店舗の復調によりEC売上高の成長率は前期と比較して緩やかになったものの、それでも前期比で8.9%増となった。また、同期はEC専業子会社のBUZZWITが子供服ECのオープンアンドナチュラルを連結子会社化したことも、EC売上高の伸長に寄与した。

一方、海外では、米国が堅調な消費動向や品質改善による卸売事業の拡大、EC売上高の伸長により53.5%の増収となった。台湾では、新型コロナウイルス禍の影響が低下したことや、新規ブランドの展開が奏功し45.6%の増収となった。香港では第1四半期に新型コロナウイルスの影響があったものの、第2四半期以降の回復と新規出店、政府の電子商品券配布などが寄与し、19.6%の増収となった。中国大陸では、グローカル戦略に沿って新規出店を進めたが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、前期比で6.3%の増収にとどまった。その結果、海外事業全体では35.6%の増収となった。

2026年2月期に売上高2,800億円、営業利益率8%、ROE15%以上へ

ちなみに、アダストリアは2026年2月期を最終年度とする中期経営計画を策定し、成長と収益性向上の実現を目指す方針を示している。

中期経営計画の骨子は、①国内アパレル事業においては、多数の独自ブランドを擁する自社のマルチブランドポートフォリオを「独立型ブランド」「成長型ブランド」「収益型ブランド」に分類し、それぞれのステージに合わせて投資戦略や事業戦略を採ることで、規模拡大と収益向上の両立を図る。②デジタル戦略では、EC市場の拡大を見据え自社ECの認知度や機能向上に投資するとともに、取扱いカテゴリーの拡大やスタッフと顧客の関係性の強化により、購買客数と購買回数の増加を目指す。③海外戦略では、進出地域の特性に合わせた「グローカル」戦略に基づき、中国大陸での事業規模拡大を継続するとともに、東南アジアなど新たな市場の開拓を進める。また、海外ECの拡充も図る。④新規事業分野では、顧客のライフスタイルの多様化や消費行動の変化に対応すべく、飲食事業など新規事業のラインナップ拡充・収益化を図る。また、BtoB事業の開拓によりファッションの新たな可能性を広げ、業態の壁を超えた新たなビジネスモデルの事業化に取り組む……としている。アダストリアは、同計画のもと2026年2月期に売上高で2,800億円、営業利益率8%、ROE15%以上を目指す方針だ。

なお、アダストリアは4月4日に2024年2月期(2023年3月1日~2024年2月29日)の連結業績予想も示している。それによると、2024年2月期は売上高で前期比7.2%増の2,600億円、本業の利益を示す営業利益で同21.6%増の140億円、経常利益で同16.4%増の140億円、純利益で同24.7%増の94億円と大幅な増益となる見通しである。

引き続き、アダストリアの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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