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ソフト99コーポレーション、「安定的な配当の継続」を実施。株価は昨年来高値、順調な業績や自社株買いが追い風

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(画像= La Caprese)

2024年2月26日、東京証券取引所でソフト99コーポレーションの株価が一時1,555円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年1月4日の安値1,114円から14カ月足らずで39.6%の上昇である。

ソフト99コーポレーションは、自動車・家庭用・産業用ケミカル用品の製造販売を展開する企業である。その源流は、1954年に大阪府大阪市で創業した「日東化学」にまでさかのぼる。創業当初は家具や電化製品に使われる木製キャビネットの艶出し材の製造販売を手がけていたが、その後モータリゼーションの到来とともにカーケア業界に参入し、業績を拡大してきた。創業70周年を迎えるカーケア用品の老舗(しにせ)であり、現在は「生活文化創造企業」という経営理念の下、グローバルベースで自動車・家庭用・産業用ケミカル用品の事業を展開している。

後段で述べる通り、ソフト99コーポレーションが公表した❶2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷発行済み株式総数の0.6%に当たる12万株、2億円を上限とする自社株買いを発表したこと……などが株価にも追い風となった。

今回はソフト99コーポレーションの話題をお届けしよう。

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ソフト99コーポレーション、主力のファインケミカル事業が堅調

2月8日、ソフト99コーポレーションは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期は売上高が前年同期比1.5%増の227億9,900万円、本業の利益を示す営業利益は同11.6%増の29億300万円、経常利益は同11.5%増の30億6,500万円、純利益は同8.3%増の20億6,300万円と増収増益となった。

同期は、不安定な国際情勢による原燃料価格の高止まりに加え、為替市場の円安進行による物価高の影響等を背景に景気の先行きは予断を許さない情勢が継続した。しかし、その一方で新型コロナウイルス禍の行動制限緩和でレジャー消費をはじめとした経済活動が回復基調を示すなど、強弱要因が混在する情勢であった。このような経営環境下で、ソフト99コーポレーションは「生活文化創造企業」の経営理念の下、近年新たに発生した社会的ニーズを含めた幅広い社会課題の解決を事業機会と捉え、製品・サービスの開発と事業化を推進した。

その結果、上記の通り、増収増益となった。
なお、セグメント別の概況は以下の通りである。

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ファインケミカル事業

ファインケミカル事業の売上高は前年同期比2.8%増の114億3,000万円、営業利益は同18.9%増の17億600万円と増収増益なった。

同期は、一般消費者向け販売(自動車分野)において、リペア製品やガラスケア製品が低調だったものの、ボディケア製品が好調に推移したことから、前期を上回る成績となった。業務用製品販売(自動車分野・産業分野)では新車販売の回復を背景にソフト99ブランドの業務用コーティング製品及びOEM製品の出荷が好調に推移した。また、中古車販売も好調だったことや得意先での積極的なアプローチにより高付加価値製品を使用した施工機会が増加したことも業績に寄与した。さらに前期より実施している新車向け・中古車向けの価格改定もプラス要因となった。

一方、家庭用製品販売(生活分野)の成績は前期を下回った。主力のメガネケア製品は、売り場において前期並みの規模で感染症対策企画の立ち上げが進んだものの、新型コロナウイルス禍に比べてマスクの着用意識の低下や暖冬の影響から需要が減少したことも影響して、くもり止め製品の販売が低調に推移した。加えて、OEM製品において、くもり止め製品の需要減速の波を受け得意先での受注時期ずれが継続したこともマイナス要因となった。

海外向け販売(自動車分野)は、世界的なインフレ進行により前期を下回るエリアが多かったものの、中国や欧州、南米での出荷が好調だったことや、他社商品の販売増加によって、海外向け販売全体では前期を上回った。TPMS(タイヤ空気圧監視システム)の企画開発販売(自動車分野)は、トラック業界での新車供給の回復を受けて、取付台数が増加したことや既存取付車両への整備・メンテナンスサービスの売上が伸長したことにより、前期を上回った。電子機器・ソフトウエア開発販売(産業分野)は、半導体関連部品の入荷状況が不安定だった前期に比べ各種部材供給が改善しつつあることや、単価の高い案件の製品出荷が進んだことで前期を上回った。

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ポーラスマテリアル事業

ポーラスマテリアル事業の売上高は前年同期比1.4%減の61億2,000万円(同)、営業利益は同7.0%減の7億7,400万円と減収減益となった。

産業資材部門(産業分野)は、国内向け販売で主力の半導体向けが堅調に推移したほか、フィルターやプリンター用途も伸長した。HDD向けは得意先での生産調整が長期化していることで伸び悩んだが、国内向け販売全体では前期を上回った。海外向け販売は、半導体向けにおいて米国への出荷は堅調に推移したものの、台湾や韓国は主要メーカーの減産の影響を受けて伸び悩み、海外向け販売全体では前期を下回った。医療向け販売は総じて堅調だった。その結果、産業資材部門(産業分野)全体としては、国内での半導体向け販売や医療向け販売が好調だったものの、海外における半導体向け販売の落ち込みをカバーするには至らず、前期を下回った。

生活資材部門(自動車分野・生活分野)は、国内向け販売で家庭用製品が低調に推移したものの、新車販売の回復に伴う自動車向けOEM製品の出荷が好調に推移したことや、スポーツ用製品も好調だったことで前期を上回った。海外向け販売は、主力仕向け地である米国がインフレによる消費停滞が継続した影響で前期を下回った。その結果、生活資材部門(自動車分野・生活分野)としては、国内向け販売が海外向け販売の減少をカバーするには至らず、前期を下回った。

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サービス事業

サービス事業の売上高は前年同期比0.6%増の41億2,000万円、営業利益は同16.1%減の1億3,400万円と増収減益となった。

同期は、自動車整備・鈑金事業(自動車分野)が修理単価増加を背景に伸長したほか、自動車教習事業(自動車分野)も好調に推移した。一方、生活用品企画販売事業(生活分野)は一部生協において物価上昇に伴う消費者の買い控えや、外出機会の増加による通販需要の減少で苦戦を強いられることとなった。

不動産関連事業

不動産関連事業の売上高は前年同期比7.8%増の11億2,700万円、営業利益は同67.4%増の2億8,000万円と増収増益となった。

同期は、不動産賃貸事業(生活分野)の保有物件で入居数が増加し稼働率が改善したほか、温浴事業(生活分野)も行動制限の解除に伴い来場者が増加した。また、介護予防支援事業(生活分野)も平均利用者数が増加するなど総じて堅調に推移した。

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株主還元基本方針として「安定的な配当の継続」を実施

2月8日、ソフト99コーポレーションは2024年3月期・通期(2023年 4月 1日~2024年 3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比0.6%減の300億円、本業の利益を示す営業利益で同0.4%増の32億7,000万円、経常利益で同0.3%増の34億5,000万円、純利益で同16.3%増の24億円と従来予想(2023年5月12日公表)を据え置いた。

なお、冒頭でも述べた通り、ソフト99コーポレーションは2月22日に、発行済み株式総数の0.6%に当たる12万株、2億円を上限とする自社株買いを発表している。取得期間は2024年2月26日から2024年9月30日までとしている。ソフト99コーポレーションは「安定的な配当の継続」を株主還元基本方針としており、2024年3月期からスタートした第7次中期経営計画においても、①安定的な配当の継続、②連結営業利益の25%……を株主還元の目安とすることを表明している。今回の自社株買いは、それら株主還元施策に基づくものである。

引き続き、ソフト99コーポレーションの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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