小林製薬（本社：大阪府大阪市）が機能性表示食品として販売していた紅麹サプリメントの問題で、同社から原料として紅麹を仕入加工・販売した企業で製品回収などの影響が広がっている。帝国データバンクは、厚生労働省が2024年3月28日に公表した、小林製薬が直接紅麹原料を卸している企業、または同社製の紅麹原料が供給された企業の延べ225事業者（企業、重複等含む）から仕入・販売などを行った国内企業について、二次販売先までを対象に調査を実施した。
上記（図1）に示す通り、225事業者から直接商品等の仕入・販売等の取引関係を有する「一次販売企業」は873社、原料等として仕入等の取引関係を有し、流通・加工を行う「中間流通・製造等（一次仕入加工）」の企業が3,878社に上ることが判明した。さらに、一次加工企業から商品の仕入・販売等といった取引関係を有する「二次仕入・販売企業」は2万8,775社に達し、直接的・間接的に紅麹製品を消費者へ販売・提供している可能性のある取引企業は2万9,648社に上った。その結果、製造・販売を含めた企業の合計は約3.3万社（3万3,526社）となった。
小林製薬、「紅麹」関連の製造・販売を含めた企業は3万3,526社
業種別にみると、一次加工企業では「製造業」が2,423社で最も多く、全体の49.6％を占めた。なかでも「飲食料品製造」が1,778社に上り、製造業全体の約7割を占めた。
ちなみに、飲食料品製造の内訳を見ると、納豆などのほか調理パン・弁当などの製造（「その他食料品製造業」）が最も多く267社となった。次いで、塩辛や佃煮、削節などの製造（「その他水産食料品製造業」）が190社、かまぼこなどの「水産練り製品製造」が175社と、水産品に関連する業種が上位を占めた。また、和菓子など「生菓子製造」（128社）のほか、「醤油・アミノ酸製造」（79社）、「野菜漬物製造」（71社）など発酵食品に関連する業種も多くみられた。
他方、二次仕入・販売を含めた関連約3.3万社では、食品スーパーなどを含めた「飲食料品小売」が5,582社に上り、全体の16.6％を占めた。「飲食店」（3,115社）や「飲食料品製造」（1,778社）など、食料品に関連する業種が上位を占めた。このほか、医薬品や化粧品などの販売（「その他小売業」）が5,171社、病院などの「医療業」が3,884社だった。
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製品流通の範囲特定は困難、販売企業の混乱が長期化する恐れも
小林製薬が製造した紅麹原料を生産・流通した食品メーカーは商品の回収を急いでいる。厚生労働省は、小林製薬の紅麹原料が供給された173事業者に対し、健康被害の有無について報告を求める方針であると報じられている。ただ、小林製薬以外の紅麹原料を用いた製品を製造販売する企業でも風評被害を懸念した動きがみられるなど、紅麹製品をめぐり混乱が生じている。
紅麹は発酵食品としての原材料以外にも着色料などで使用されることも多く、2次加工や3次加工では使用有無の確認に時間を要するとみられる。また、健康被害を生じさせた原因物質の特定にも時間を要するとみられ、加工食品などの最終製品を含めると、流通先の特定は長期にわたり難航する可能性が高く、「販売企業などでは事態の収拾まで対応の長期化が想定される」（帝国データバンク）と指摘している。■
（La Caprese 編集部）
