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リクルートHD、株価は昨年来安値。米求人の成長鈍化の懸念が広がる

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年2月22日、東京証券取引所でリクルートホールディングスの株価が一時3,661円まで売られ、昨年来の安値を更新した。2022年1月5日の高値7,136円から13カ月あまりで48.7%の下落である。

リクルートホールディングスは、主に求人広告や人材紹介、人材派遣、販売促進、ITソリューションなどのサービスを手掛けるグループ企業の持株会社である。リクルートホールディングスの組織は「HRテクノロジー事業」「マッチング&ソリューション事業」「人材派遣事業」の3つのセグメント(戦略ビジネスユニット)で構成しており、それぞれのセグメントには事業統括会社がある。

後段で述べる通り、先週2月13日発表の2023年3月期・第3四半期累計(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は、売上収益が増加する一方で、営業利益と純利益が減益となった。特にHRテクノロジー事業の成長鈍化の懸念が広がったことが株価の重荷となっているようだ。

今回はリクルートホールディングスの話題をお届けしよう。

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リクルートHD、営業利益と純利益が減益

先週2月13日、リクルートホールディングスは2023年3月期・第3四半期累計(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績を発表した。同期の売上収益は前年同期に比べて23.2%増加の2兆6,017億6,800万円、本業の利益を示す営業利益は同2.6%減の3,248億3,800万円、純利益で同0.3%減の2,476億3,400万円となった。

セグメント(戦略ビジネスユニット)別の状況は以下の通りである。

HRテクノロジー事業、売上収益の7割を占める米国で成長鈍化

「HRテクノロジー事業」の第3四半期(2022年10月1日~2022年12月31日)の売上収益は24.2%増と高い伸びを示したものの、米ドルベースでは0.1%減少した。労働市場は依然としてひっ迫しているものの、求職者と企業クライアント間の需給の乖離は引き続き緩和した。有料および無料広告で構成する「インディード」の求人広告数は前年同期と同水準となる一方で、アクセス数や応募数は前年同期から増加した。

「HRテクノロジー事業」の売上収益の7割以上を占める米国では、第3四半期(2022年10月1日~2022年12月31日)の米ドルベースの売上収益が2.0%減と鈍化した。米国では中小企業クライアントや大手企業クライアントによる有料求人広告への需要が前年同期比で減少したことが収益鈍化の原因である。ただ、その一方で米国以外の米ドルベース売上収益は5.3%増と堅調だった。

なお、第3四半期(2022年10月1日~2022年12月31日)の調整後EBITDAマージンは6.7ポイント減の28.1%となった。これは、主に上半期に実施した採用による人件費の増加率が増収率を上回ったことによるものである。

マッチング&ソリューション事業、SaaSのアカウント数拡大に注力

「マッチング&ソリューション事業」の第3四半期(2022年10月1日~2022年12月31日)の売上収益は13.9%増となった。

販促領域の売上収益は13.1%増で、住宅や美容、旅行、結婚、飲食のすべての分野で増収となった。住宅および美容分野は、引き続き合計で販促領域の売上収益の50%以上を占めた。

また、人材領域の売上収益は17.5%増で、求人広告サービスや人材紹介サービスがともに増収となった。飲食業や販売業の求人広告割合が高いアルバイトやパート向けの求人広告サービスにおいて、採用需要が回復した。人材紹介サービスでは、一部の企業クライアントでは採用に慎重になっている傾向が見られ始めたものの、幅広い業種で採用需要の増加は継続した。

なお、第3四半期(2022年10月1日~2022年12月31日)の調整後EBITDAマージンは5.2ポイント減の16.5%となった。これは、広告宣伝費を中心としたマーケティング費用の増加率が増収率を上回ったことによるものである。

ちなみに、「マッチング&ソリューション事業」では、販促領域と人材領域で展開するマッチングプラットフォームやAir ビジネスツールズを中心としたSaaSによるエコシステムを通して、 企業クライアントの業績および生産性向上に取り組み、 現時点ではSaaSのアカウント数拡大に注力している。2022年12月末時点のSaaSサービス別アカウント数、Airペイのアカウント数、AirペイとAirビジネスツールズの他のソリューションを併用しているアカウント数は、いずれも前年同期比で増加した。

人材派遣事業、調整後EBITDAマージンは低下

「人材派遣事業」の第3四半期(2022年10月1日~2022年12月31日)の売上収益は16.2%増となった。為替によるプラス影響(314億円)を控除した当第3四半期の売上収益は7.4%増である。また、調整後EBITDAマージンは0.8ポイント減の7.2%となった。

地域別でみると、日本では、人材派遣需要が引き続き増加したことで稼働人数が増加し、売上収益は12.1%増となった。一方で、調整後EBITDAマージンは0.5ポイント減の9.1%と低下した。

欧州、米国および豪州の売上収益の合計は19.4%増となった。同期は欧州地域の一部において2022年3月期に存在した新型コロナウイルス感染症関連の需要が縮小したものの、人材派遣需要は引き続き増加した。また、為替によるプラス影響(314億円)を控除した売上収益は3.8%増であった。調整後EBITDAマージンは1.0ポイント減の5.8%となった。これはインフレの影響や従業員の増加に伴う費用の増加率が増収率を上回ったことによるものである。

リクルートHD、気になる米国の成長鈍化

リクルートホールディングスは、2023年3月期(通期)の連結業績予想について、売上収益で前期比19.3%増の3兆4,250億円、調整後EBITDAで同2.6%増の5,250億円、調整後EPSで同4.7%減の180円となる見通しを示した。売上収益は従来予想の3兆3,000億円から小幅に上方修正したほか、同じく調整後EBITDAを5,200億円から5,250億円、調整後EPSを170円65銭から180円に上方修正した。

「HRテクノロジー事業」を牽引する米国の成長鈍化が非常に気になるところであるが、引き続きリクルートホールディングスの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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