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トヨタ紡織、今期はV字回復へ。株価は年初来高値を更新、BEVの普及など自動車市場の変化が加速

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※画像はイメージです。(画像= Canva、La Caprese)

2023年5月25日、東京証券取引所でトヨタ紡織の株価が一時2,329円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月4日の安値1,730円から4カ月半で34.6%の上昇である。

トヨタ紡織は、創業112年の歴史を誇る自動車部品メーカーの老舗(しにせ)である。トヨタ自動車を中核とした「トヨタグループ」の主要企業であり、自動車向けのシート事業や内外装事業、ユニット部品事業などが収益の柱となっている。ちなみに、トヨタ紡織の関連会社は日本国内で21社、米州で20社、欧州・アフリカで10社、中国で18社、アジア・オセアニアで23社を擁し、「世界のトヨタ」を支える重要な役割を果たしている。

後段で述べる通り、トヨタ紡織が4月27日に発表した2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績は最終利益で前期比62.6%減と大幅な減益となったものの、2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想については、最終利益で同49.9%増とV字回復の見通しが示されたことが株価にも追い風となった。

今回はトヨタ紡織の話題をお届けしよう。

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トヨタ紡織、2023年3月期は最終利益で62.6%減

4月27日、トヨタ紡織は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上収益は前期比12.8%増の1兆6,040億円、本業の利益を示す営業利益は20.9%減の476億円、最終利益は同62.6%減の146億円と増収減益となった。

同期はグローバルでの需要回復による増産効果や為替の影響などにより前期比で2ケタの増収となる一方、部品供給問題などによる車種構成の変化や、ロシア事業の終了に伴う費用計上などにより大幅な減益となった。

セグメント別の状況は以下の通りである。

日本は増収増益

日本においては、増産効果などにより売上収益は前期比4.6%増の7,329億円となった。一方、利益面では部品供給問題などによる車種構成の変化や諸経費の増加がみられたものの、移転価格税制調整金の影響などにより、営業利益で同21.3%増の116億円となった。

北中南米は11億円の営業損失

北中南米においては、生産台数の増加や為替の影響などにより、売上収益は前期比22.3%増の3,887億円となった。利益面では増産効果の一方で、モデルチェンジや新車種立上げに伴う諸経費の増加により、11億円の営業損失(前期は29億円の営業利益)となった。

中国の営業利益は34.7%増

中国においては、昨年度下期の新車投入などによる生産台数の増加や為替の影響などにより、売上収益は前期比15.3%増の2,446億円となった。利益面では、増産効果や新製品効果に加え、為替の影響などにより、営業利益で同34.7%増の212億円となった。

アジア・オセアニアは増収減益

アジア・オセアニアにおいては、生産台数の増加や為替の影響などにより、売上収益は前期比31.1%増の2,496億円となった。利益面では増産効果や為替の影響はあったものの、移転価格税制調整金の影響などにより、営業利益で同47.5%減の140億円となった。

欧州・アフリカは、ロシア事業の終了が響く

欧州・アフリカにおいては、生産台数の増加や為替の影響などにより、売上収益は12.5%増の1,082億円となった。利益面では増産効果や為替の影響はあったものの、ロシア事業の終了に伴う費用計上などにより、営業利益で同63.8%減の19億円となった。

今期は最終利益で49.9%増となる見通し

4月27日、トヨタ紡織は2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比4.7%増の1兆6,800億円、本業の利益を示す営業利益で同11.2%増の530億円、最終利益で同49.9%増の220億円となる見通しを示した。

トヨタ紡織は、2024年3月期の経営環境について、新型コロナウイルス感染症の影響は収束する一方、インフレの高止まりや欧米での金融部門の混乱に加え、欧州での地政学的緊張の長期化など、先行きは依然として不透明な状況が続くとの認識を示した。そのうえで、自動車用の部品供給不足による減産リスクを依然として抱える中、BEV(電気自動車)が急速に普及するなど、自動車市場の変化がさらに加速するとの見通しを示した。

ちなみに、5月10日には「トヨタグループ」の中核であるトヨタ自動車が2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、営業利益で日本企業として初めて3兆円を達成する見通しを示している。「トヨタグループ」で自動車部品等を手がけるトヨタ紡織の業績や株価にも影響するだけに、あわせて注目しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

特集:世界のトヨタ「自動車帝国」の反撃
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