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ニチレイの株価が上場来高値に上昇した理由

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(画像= La Caprese)

2024年3月27日、東京証券取引所でニチレイの株価が一時4,204円まで買われ、上場来高値を更新した。2023年2月3日の安値2,599円から14カ月足らずで61.8%の上昇である。

ニチレイは、加工食品や水産・畜産・低温物流等を展開する企業を傘下に置く持株会社である。その源流は1942年に設立した「帝国水産統制」にまでさかのぼる。帝国水産統制は、日本政府が戦時下に必要な食料を管理する一環として、当時の水産会社を集めて設立した国策会社であった。その後、1945年の敗戦を機に国策会社から民間企業の「日本冷蔵」に改組することとなる。戦後の食料不足の状況下での再スタートであった。さらに、高度経済成長を経て、バブル期の1985年には新しい企業コンセプト「心の満足」というキーワードのもと、社名を現在の「ニチレイ」に変更。2005年には各事業領域において意思決定や環境適応の迅速化を図るため、持株会社体制へ移行した。

後段で述べる通り、ニチレイが公表した、❶2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想の上方修正……など好調な業績が株価のサポート要因となっているようだ。

今回はニチレイの話題をお届けしよう。

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ニチレイ、純利益は19.4%増

2月6日、ニチレイは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比2.7%増の5,144億900万円、本業の利益を示す営業利益は同17.8%増の297億8,600万円、経常利益は同20.1%増の309億5,100万円、純利益は同19.4%増の200億8,400万円と増収増益となった。

同期は、加工食品事業で販売数量が回復したほか、低温物流事業も海外で好調に推移した。一方、利益面では、為替の円安進行や原材料・仕入価格などのコスト高に対応し、価格改定や収益改善の施策を進めたことなどにより、各段階の利益が軒並み2ケタの伸長となった。

主要セグメントの概況は以下の通りである。

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加工食品事業

加工食品事業の売上高は前年同期比6.0%増の2,191億400万円、営業利益は同27.4%増の132億9,500万円と増収増益となった。同期は、価格改定の浸透に加え、主力商品や新たな付加価値商品を拡販したことや、海外の売上好調も増収に寄与した。一方、営業利益は原材料・仕入価格などのコストアップが続くなか、価格改定効果などにより増益となった。

『家庭用調理品』は卵原料の供給回復により炒飯を中心とした米飯類の販売数量が回復したほか、「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」や「三ツ星プレート」シリーズなど新商品の販売が好調に推移した。また、TVCMなどのプロモーション効果により、今川焼を中心としたスナック類の販売も大きく伸長した。

一方、『業務用調理品』は卵原料の供給不足の影響があったものの、収益性の改善を進めたチキン加工品の販売が回復したことや大手ユーザー向けの米飯類やコロッケ類の販売が好調に推移した。『農産加工品』は調達コスト上昇に対して価格改定を進めたほか、品質面や利便性などの顧客ニーズに対応したことにより、「そのまま使える」シリーズや秋に発売した家庭用アッセンブル商品「ささみブロッコリー」などの販売が好調に推移し、家庭用・業務用ともに増収となった。また、『海外』は米子会社のInnovAsian Cuisine Enterprises社において、インフレによる消費減退の影響を受けたが、現地通貨ベースでは前期並みの水準を維持し、海外全体では円安による為替換算影響もあり増収となった。

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水産事業

水産事業の売上高は前年同期比11.0%減の487億4,000万円、営業利益は同37.3%減の5億6,200万円と減収減益となった。同期は、低収益商材の削減を進めたことにより減収となった。また、利益面では高収益商材や認証品の販売に注力するとともに、調達コスト増に対応した販売価格の改定を進めたものの、「魚卵」の収益性が低迷し減益となった。

畜産事業

畜産事業の売上高は前年同期比3.9%減の629億8,100万円、営業利益で同2.8%減の9億100万円となった。同期は、販売価格の改定や外食向けの加工品の販売に努めたものの、主に量販店向けの販売数量が減少し減収減益となった。

低温物流事業

低温物流事業の売上は前年同期比5.0%増の1,930億6,400万円、営業利益で同17.2%増の135億1,800万円となった。同期は国内・海外ともに保管・運送需要を着実に取り込むとともに、コスト高の影響緩和に加えて料金の適正化や業務効率化を進めたことなどにより増収増益となった。

『国内』は大都市圏を中心に保管貨物在庫量が減少するなか、新設拠点の稼働などによりTC(通過型センター)事業が堅調に推移したことや、3PL事業の拡大により増収となった。利益面では、エネルギーコストの影響を電力および燃料サーチャージの収受により軽減するとともに、TC事業の伸長や業務効率化の推進により、増益となった。一方、『海外』は欧州地域において、エネルギーコストの安定化や、料金改定効果が継続したほか、港湾地区での輸入貨物の集荷拡大や、英国における保管・輸送一体提供の推進などにより増収増益となった。

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2024年3月期・通期の業績予想を上方修正

2月6日、ニチレイは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比1.9増の6,750億円、本業の利益を示す営業利益で同10.8%増の365億円、経常利益で同12.1%増の375億円、純利益で同11.3%増の240億円と増収増益となる見通しを示した。これは従来予想(2023年10月31日公表)に比べて、売上高でプラス70億円、営業利益でプラス15億円、経常利益でプラス18億円、純利益でプラス10億円の上方修正である。

引き続き、ニチレイの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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