トヨタ自動車、初の営業利益3兆円へ。株価は年初来高値、自社株買いも刺激材料

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(画像= La Caprese)

2023年5月10日、東京証券取引所でトヨタ自動車の株価が一時1,964円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年3月20日の安値1,764円からおよそ1カ月半で11.3%の上昇である。

トヨタ自動車は、愛知県豊田市に本社を置く自動車メーカーの最大手である。トヨタ自動車の2022年の自動車販売台数は、グループ全体(ダイハツ工業と日野自動車を含む)で1,048万台余りと、3年連続で世界トップとなった。また、ロンドンに本拠を置くブランディング専門会社のインターブランドが発表した国際的なブランド価値評価ランキング「Best Global Brands 2022」では、トヨタ自動車の企業ブランド力は全世界で第6位と評価されている。

後段で述べる通り、トヨタ自動車が5月10日に発表した2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績は最終利益が4期ぶりの減益となったものの、①2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想で増収増益の見通しが示されたこと、②発行済株式の0.88%にあたる1億2,000万株・1,500億円を上限とする自社株買いを発表したこと、③未定としていた2023年3月期の期末配当を35円(年間配当は60円)実施するとしたこと(2024年3月期の年間配当は未定)……などが株価に刺激材料となった。

今回はトヨタ自動車の話題をお届けしよう。

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トヨタ自動車、最終利益が4期ぶりの減益

5月10日、トヨタ自動車は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。売上高に当たる営業収益は前期比18.4%増の37兆1542億円、本業の利益を示す営業利益は同9.0%減の2兆7,250億円、税引前利益は同8.1%減の3兆6,687億円、最終利益は同14.0%減の2兆4,513億円となった。

同期は、為替市場で円安が進行したことなどを背景に営業収益が2期連続で過去最高を更新する一方で、エネルギーや原材料価格の高騰がマイナス要因となって最終利益が4期ぶりの減益となる増収減益となった。

セグメント別および所在地別の状況は以下の通りである。

セグメント別:自動車事業が増収減益

自動車事業のセグメントは、営業収益が前期比18.2%増の33兆8,200億円、営業利益は同4.5%減の2兆1,806億円と増収減益となった。前述の通り、為替の円安進行などが営業収益に追い風となる一方で、原燃料価格の高騰といったコスト増が営業利益を圧迫した。

金融事業のセグメントは、営業収益が前期比20.9%増の2兆8,096億円、営業利益は同33.4%減の4,375億円となった。同期は、米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が計上されたことなどにより営業利益が大幅に減少した。

その他の事業のセグメントは、営業収益が前期比8.4%増の1兆2,249億円、営業利益は同144.6%増の1,034億円となった。

所在地別:北米と欧州が苦戦

日本における営業収益は前期比10.0%増の17兆5,831億円、営業利益は同33.6%増の1兆9,014億円と大幅な増収増益となった。日本の営業利益が急増したのは、為替変動の影響などによるものである。

北米における営業収益は前期比24.0%増の13兆8,439億円、営業損益は747億円の損失となった。同期は、資材高騰の影響および米国の販売金融子会社において、金利スワップ取引などの時価評価による評価損が計上されたことなどから営業損失となった。

欧州における営業収益は前期比10.5%増の4兆2,737億円、営業利益は同64.7%減の574億円と増収減益となった。同期は、ロシアでの生産事業終了による損失計上の影響などで営業利益が大幅な減益となった。

アジアにおける営業収益は前期比23.2%増の8兆449億円、営業利益は同6.3%増の7,144億円と増収増益となった。同期は、為替変動の影響ならびに生産および販売台数の増加などから営業利益が増益となった。

その他の地域 (中南米、オセアニア、アフリカ、中東)における営業収益は前期比18.6%増の3兆4,721億円、営業利益は同2.9%減の2,313億円と増収減益となった。同期は、資材高騰の影響などで営業利益が減益となった。

今期は日本企業初の営業利益3兆円へ

5月10日、トヨタ自動車は2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高に当たる営業収益で前期比2.3%増の38兆円、本業の利益を示す営業利益で同10.1%増の3兆円、税引前利益で同0.6%増の3兆6,900億円、最終利益で5.3%増の2兆5,800億円となる見通しを示した。達成すれば営業収益で3期連続の過去最高となるほか、営業利益は2年ぶりの最高益となる。ちなみに、営業利益の3兆円台は、日本企業としても初めてのこととなる。

なお、冒頭で述べた通り、トヨタ自動車は同日、発行済株式の0.88%にあたる1億2,000万株・1,500億円を上限とする自社株買いを発表した。取得期間は2023年5月18日から2023年10月31日。あわせて、未定としていた2023年3月期の期末配当を35円(年間配当は60円)実施することも明らかにした。なお、2024年3月期の年間配当は未定としている。

引き続き、トヨタ自動車の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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