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トヨタ自動車、株価は上場来高値。今期は最終利益で初の4兆円台へ、TSMC日本子会社や米EV工場に積極投資

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(画像= La Caprese)

2024年2月8日、東京証券取引所でトヨタ自動車の株価が一時3,409円まで買われ、上場来高値を更新した。2023年3月20日の安値1,764円から11カ月足らずで93.3%の上昇である。

トヨタ自動車は、愛知県豊田市に本社を置く自動車メーカーの最大手である。その源流は、1933年9月に豊田自動織機製作所(現在の豊田自動織機)内に新設された自動車製作部門にまでさかのぼる。1937年にはトヨタ自動車工業(現在のトヨタ自動車)を設立し、豊田自動織機から自動車製造事業を譲り受けている。創業以来、「自動車を通じて豊かな社会づくり」を目指して事業活動に取り組んできたトヨタ自動車は、2023年の世界販売台数で1,123万3,039台(グループ全体=ダイハツ工業と日野自動車を含む)と過去最高を更新、4年連続で世界トップに君臨するなど、文字通り「世界のトヨタ」と呼ぶに相応しい実績を示している。

後段で述べる通り、トヨタ自動車が公表した❶2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が大幅な増収増益となり、V字回復を鮮明にしたこと、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想を上方修正し、最終利益で初の4兆円突破の見通しが示されたこと、❸半導体世界大手のTSMC(台湾積体電路製造)の日本工場運営子会社にトヨタ自動車が出資すると発表したこと、❹さらに、トヨタ自動車は米ケンタッキー州のEV(電気自動車)工場に追加投資すると発表したこと……などが株価にも刺激材料となったようだ。

今回はトヨタ自動車の話題をお届けしよう。

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トヨタ自動車、TSMC日本子会社や米EV工場に積極投資

2月6日、TSMCは熊本工場の運営子会社JASMにトヨタ自動車が出資すると発表した。対象となるのは日本で2番目となる工場(熊本第2工場)で、トヨタ自動車の出資比率は2.0%としている。熊本第2工場は、国内最先端となる回路線幅6ナノメートル等の半導体生産(ナノは10億分の1)を予定しており、第1工場と合わせた月間生産能力は10万枚以上を計画、2027年末までの稼働を目指す。

トヨタ自動車は、新型コロナウイルス禍で自動車向けなどの半導体不足に陥り、生産が滞る事態を経験している。今回の出資は半導体の安定調達を見据え、供給体制を拡充するのが目的としている。

さらに、トヨタ自動車は同日、米ケンタッキー州のEV工場に追加投資することも明らかにした。2025年に米国でSUV(スポーツタイプ多目的車)のEV生産を開始する準備として、13億ドル(約1,920億円)を追加投資する。この追加投資はトヨタ自動車が初めて米国で生産するEVと、まだ特定していない他のバッテリー駆動モデルのためのもので、バッテリーパックの組み立てラインを設置するための資金も含まれるとしている。

TSMCの日本工場運営子会社への出資や、米国のEV工場への投資等を積極的に進めるトヨタ自動車の姿勢は、株式市場にも刺激材料となったようだ。

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V字回復が鮮明、最終利益は107.9%増

業績を見てみよう。2月6日、トヨタ自動車が公表した2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績は、営業収益が前年同期比23.9%増の34兆227億円、本業の利益を示す営業利益は同102.1%増の4兆2,402億円、税引前四半期利益は同86.7%増の5兆3,570億円、最終利益は同107.9%増の3兆9,472億円と大幅な増収増益となった。

同期の連結販売台数は前年同期比12.4%増の729万5,000台、トヨタ・レクサス販売台数は同9.7%増の790万8,000台となり、全ての地域で販売台数が増加した。特に電動車はハイブリッド車を中心に伸長し、トヨタ・レクサス販売台数に占める割合は35.9%(前年同期は27.8%)に拡大した。

営業利益の増減要因は、まず為替変動の影響により3,800億円の増益となった。原価改善の努力については、資材高騰の影響により650億円の減益となった。営業面の努力では、ハイブリッド車を中心とした販売台数の増加や高収益車種の好調な販売による構成の改善、北米・欧州を中心とした価格改定により1兆9,900億円の増益となった。諸経費の増減・低減努力は、労務費やデジタル化などへの投資が増加し3,000億円の減益となったほか、その他ではアルゼンチンのインフレ会計の影響を受けたものの、スワップ評価損益などにより1,371億円の増益となった。この結果、為替変動・スワップ評価損益などの影響を除いた営業利益は1兆6,250億円の増益となった。

所在地別では、日本や北米、欧州、アジアで増益となった。日本は販売台数の増加、北米や欧州、アジアは商品力に応じた価格改定が増益の主な要因である。

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今期は最終利益で初の4兆円台へ

2月6日、トヨタ自動車は2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、営業収益で前期比17.1%増の43兆5,000億円、本業の利益を示す営業利益で同79.8%増の4兆9,000億円、税引前利益で同69.0%増の6兆2,000億円、最終利益で同83.6%増の4兆5,000億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年11月1日公表)に比べて営業収益でプラス5,000億円、営業利益でプラス4,000億円、税引前利益でプラス6,500億円、最終利益でプラス5,500億円の上方修正である。見立て通りとなれば、最終利益で初の4兆円突破となり、2年ぶりに最高益を更新することとなる。

トヨタ自動車は、前期と比較した営業利益の増減要因について、まず為替変動の影響により5,400億円の増益となるほか、原価改善の努力として1,000億円の増益、営業面の努力では販売台数の増加や構成の改善・価格改定により1兆9,350億円の増益、諸経費の増減・低減努力については4,450億円の減益を見込んでいるとしている。

なお、トヨタ自動車は今回の連結業績予想について、ダイハツ工業および豊田自動織機の出荷停止を受け、現時点で把握できる影響を織り込んだとしている。依然として流動的な要因があることに留意しつつ、業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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