記事内に広告が含まれています。
スポンサーリンク

マニー、株価は年初来高値。中期経営計画を推進、今期は営業利益で13.9%増を予想

マニー,株価,上昇,理由
※画像はイメージです。(画像= licausachan / 写真AC、La Caprese)

2023年10月24日、東京証券取引所でマニーの株価が一時2,132円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年7月7日の安値1,602円から3カ月半で33.1%の上昇である。

マニーは、栃木県宇都宮市に本社を置く医療機器メーカーである。1956年に手術用縫合針の製造を開始して以降、針金を素材とする微細加工技術を確立し、医科および歯科の治療機器等を中心に事業を展開している。医科においては、主に手術用縫合針や眼科ナイフ、スキンステイプラー、針付縫合糸等の微小手術機器の製造・販売を手掛けているほか、歯科においては主にファイルなどの根管治療機器やダイヤバー等の切削研削研磨刃機器の製造・販売を行っている。「世界一の品質を世界のすみずみへ」を使命に掲げるマニーの医療機器は、世界各国の厳しい基準をクリアしており、高い信頼を得ている。

後段で述べる通り、マニーが10月12日に公表した、❶2023年8月期・通期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年8月期・通期(2023年9月1日~2024年8月31日)の連結業績予想で営業利益が2ケタの増益となる見通しが示されたこと、❸さらに、2024年8月期の年間配当についても、1株当たり前期比4円増の39円に増配する方針を示したこと……などが株価にもサポート要因となったようだ。

今回はマニーの話題をお届けしよう。

スポンサーリンク

マニー、中期経営計画を推進

10月12日、マニーは2023年8月期・通期(2022年9月1日~2023年8月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比19.9%増の244億8,800万円、本業の利益を示す営業利益は同17.5%増の72億4,300万円、経常利益は同6.0%増の79億9,500万円、純利益は同12.5%増の59億5,300万円となった。

「世界一の品質を世界のすみずみへ」を使命に掲げるマニーは、2022年8月期より更なる成長を見据えた中期経営計画をスタートし、営業・生産・開発の各機能のグローバル化を進めるなどビジネスモデルの変革に取り組んだ。中期経営計画の2年目となる2023年8月期は、重点製品であるNiTiロータリーファイル「JIZAI」(※1)の量産体制構築と売上拡大に向けたマーケティング活動の強化を推進した。

ちなみに、2023年8月には、グローバル生産体制の構築の一環として、ドイツの連結子会社MANI MEDICALGERMANY GmbH(以下MMG)の新本社・工場が完成し、同9月より生産を開始した。MMGは今後、歯科用修復材(※2)の生産能力の増強を図り、欧米およびアジアにおける販売拡大を目指す。一方、国内ではスマートファクトリーの建設準備が終了し、2023年10月より建設を開始した。今回建設するスマートファクトリーは、新製品および新生産プロセスの量産化技術の確立とその後の海外展開を見据えた最初の「パイロット工場」と位置付けており、製品の原価低減を図りながらグローバルでの売上拡大を目指す計画である。

グローバルマーケティングの観点では、デンタル関連製品の更なる市場シェアと売上拡大のため、2023年9月より新たな組織として「デンタル事業本部」を設置し活動を開始した。デンタル関連製品セグメントの競争力強化およびマーケティング機能強化を2024年8月期の重要課題に設定している。

その結果、前述の通り、2023年8月期・通期は主にアジアや欧州を中心とした地域で製品需要が拡大したほか、為替の円安進行もプラス要因となり、売上高は前期比19.9%増と伸長した。

売上原価は、海外子会社における製造原価の上昇等により同15.6%増となったほか、販売費および一般管理費も研究開発費の増加並びに本社の人員体制の強化等の影響により同27.5%増となった。しかしながら、売上高の増加が上記費用増加を大幅に上回ったため、営業利益は同17.5%増と伸長した。経常利益も主に円安による為替差益の計上等により同6.0%増となったほか、純利益も営業利益の増加等により同12.5%増と伸長した。

用語解説

(※1)歯の歯髄と呼ばれる神経の治療法の1つである根管治療において、根管内の感染源除去に用いられる柔軟性の高いニッケルチタン製の歯科治療機器。
(※2)歯の欠損した部分を人工物で埋めることにより歯の形態を回復し、審美性を高める治療(歯冠修復治療、審美歯科治療)に使用される樹脂材料。

今期は営業利益で13.9%増を予想

10月12日、マニーは2024年8月期・通期(2023年9月1日~2024年8月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比12.3%増の275億円、本業の利益を示す営業利益で同13.9%増の82億5,000万円、経常利益で同3.2%増の82億5,000万円、純利益で同0.9%減の59億円となる見通しを示した。

マニーはその理由について、以下の3つのポイントを挙げている。

ポイント①売上高の見通し

デンタル関連製品については、アジアを中心とした新興国市場での拡販活動によりリーマ・ファイル、ダイヤバーおよびNiTiロータリーファイル「JIZAI」の販売増加が予想される。また、歯科用修復材をはじめとしたドイツMMG製品も欧米市場で更に販売が増加する見込みである。アイレス針関連製品については、アジアや欧州、南米を中心とした地域で引き続き販売の増加が想定される。サージカル関連製品については、アジアや欧州を中心に白内障手術で使用される眼科ナイフの売上が増加する見通しである。一方で、中国の景気減速リスクやそれに伴う医療機関への影響などについては引き続き注視が必要である。

ポイント②売上原価、販売費および一般管理費の見通し

売上原価は、原材料・エネルギー価格の高騰および海外生産子会社における人件費の増加による製造コストの増加が見込まれるものの、生産性改善の取り組みの効果により、売上原価率の低下や棚卸資産回転率の改善が見込まれる。販売費および一般管理費については、デンタル関連分野におけるマーケティング活動や研究開発活動の強化により、主にデンタル関連製品セグメントにおける販売費および一般管理費が大幅に増加する見込みである。また、新たに導入した基幹システムの稼働やMMGの新本社・工場に関連する減価償却費も増加する見通しである。

ポイント③営業利益の見通し

上記の通り、売上原価や販売費および一般管理費の増加が見込まれるものの、当該費用の増加を上回る売上高の伸長により、連結営業利益は増益となる見通しである。同期の為替レートは、1ドル=135円、1ユーロ=145円、1元=19円を想定している。

なお、冒頭で述べた通り、マニーは2024年8月期・通期の年間配当について、1株当たり前期比4円増の39円に増配する方針を示した。

引き続き、マニーの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

タイトルとURLをコピーしました