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日本トリム、売上高が過去最高。株価は年初来高値、ROEで10%以上を目指す

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(画像= TY_Photo / 写真AC、La Caprese)

2023年6月30日、東京証券取引所で日本トリムの株価が一時3,470円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月6日の安値2,571円から6カ月ほどで35.0%の上昇である。

日本トリムは、アルカリイオン整水器などのウォーターヘルスケア事業や、電解水透析(※1)などの医療関連事業を展開する企業である。「快適で健康なヒューマンライフの創造に貢献する」を企業理念に掲げ、電解水素水や電解水透析(※1)、再生医療関連等の事業を通じて、人々のウェルビーイングに貢献することを使命としている。

後段で述べる通り、日本トリムが5月11日に発表した①2023年3月期(2022年4月1日〜2023年3月31日)の連結業績で売上高が過去最高を更新したほか、②2024年3月期(2023年4月1日〜2024年3月31日)の連結業績予想についても増収増益となる見通しが示されたこと、③さらに、6月27日に徳洲会グループの湘南鎌倉総合病院が、日本トリムの電解水透析(※1)を行うための多人数用透析水作製装置を採用したことが明らかになった……などが刺激材料となった。

今回は日本トリムの話題をお届けしよう。

用語解説

(※1)電解水透析:透析治療で使われる透析液の希釈水を、日本トリムの技術による電解RO水にすることで、透析液に水素を溶存する特性を持たせた次世代新規治療法。世界で初めて溶媒である水の機能に着目した技術であり、通常透析と比べて治療後の投薬量減少や透析患者の粗死亡率が低いというデータを取得している。

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日本トリム、2023年3月期は売上高で過去最高を記録

5月11日、日本トリムは2023年3月期(2022年4月1日〜2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比10.3%増の179億5,100万円で過去最高を記録したほか、本業の利益を示す営業利益は同19.0%増23億7,800万円、経常利益は同20.2%増の25億1,500万円と大幅に伸長した。

一方、純利益については、前期に中国病院運営事業関連の債権譲渡およぶステムセル研究所の株式売り出しといった特殊要因により、前期比15.2%減の16億4,600万円となった。

セグメント別の状況は以下の通りである。

ウォーターヘルスケア事業

ウォーターヘルスケア事業のセグメントは、売上高が前期比9.0%増の156億6,500万円、セグメント利益は同16.9%増の21億3,000万円と増収増益となった。

同期は、まず国内の整水器販売事業において、整水器の売上高が好調だった。第4四半期において、新型コロナも収束に向かい、さらに感染症法上の位置付けが今年5月に5類に移行する方針が出されたことにより、セミナー数はコロナ禍前の水準近くまで回復傾向を示した。また、コロナ禍以降に注力した健康経営提案による企業設置や、サッカーを始めとしたスポーツ関連での展開も順調に推移した。

一方、卸・OEM部門では、2021年3月期よりスタートしたOEM先が好調で、期末には想定以上の売れ行きから部材調達が間に合わないほどであった。また、ベトナムなど海外向け製品の販売も伸長した。

WEBマーケティング部門も堅調だった。同期は1台当たりの販売コストを維持しつつ、販売台数を伸ばすべく、引き続き自社メディアの育成に注力するとともに、販売プロセスの効率化による購買率向上にも取り組んだ。

また、ストックビジネスである国内カートリッジ販売も堅調に推移した。今年4月の値上げ前の駆け込み需要などがプラス要因となった。

なお、海外では、インドネシアのボトルドウォーター事業を展開するPT.SUPER WAHANA TEHNOの売上高が好調で、過去最高を記録した。コロナ禍の収束によりペットボトルの店頭への販売が回復し、各家庭へのガロン販売も堅実に推移した。

研究開発も積極的に推進

ちなみに、研究開発においては、理化学研究所、東京大学、東北大学、早稲田大学等と、電解水素水の効果とその機序解明とともに新たな事業シーズ探索を目的とした共同研究に取り組んだ。

理化学研究所との共同研究では、昨年10月に科学誌『Nutrients』に「電解水素水の日常的飲用は腸内炎症を抑制し、炎症性腸疾患の症状緩和に効果が期待される」との内容の論文が掲載されたほか、11月には科学誌『Heliyon』に「健常者においても電解水素水の日常的継続飲用により、血中酸化ストレスが低く抑えられている」との内容の論文が掲載された。これらは、「ウォーターヘルスケアという、新習慣。」が生活習慣化しやすい疾病予防策として期待されることを示唆するもので整水器普及の大きな後押しとなるエビデンスである。また、これらの成果をさらに深化させることを目的に、今年4月より神戸大学と、共同研究講座「エッセンシャルヘルスケア科学共同研究講座」を開設した。

医療関連事業

医療関連事業のセグメントは、売上高が前期比19.8%増の22億8,600万円、セグメント利益は同40.0%増の2億4,800万円と大幅な増収増益となった。

同期は、電解水透析(※1)事業において、医療法人鉄蕉会の亀田総合病院や、徳洲会グループの山内病院など5施設、126床への導入があった。

電解水透析の研究開発については、東北大学や聖路加国際病院などとの共同研究によって、安全性はもちろんのこと、透析患者の重度疲労感低減や患者の粗死亡率の低減など、期待される効果についてのエビデンスをさらに積み上げた。

一方、再生医療関連事業では、子会社のステムセル研究所が過去最高の売上高を更新した。また、中国の病院事業では、外来患者数が約300名/日となり、入院用ベッド100床並びに血液透析用ベッド50床が稼働するなど、堅実に来院者数・稼働率ともに増加した。

ROEで10%以上を目標指標に設定。株主価値の持続的向上を目指す

5月11日、日本トリムは2024年3月期(2023年4月1日〜2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比10.3%増の198億円、本業の利益を示す営業利益で同14.4%増の27億2,000万円、経常利益で同13.3%増の28億5,000万円、純利益で同13.6%の18億7,000万円と増収増益となる見通しを示した。

ちなみに、日本トリムは2022年11月8日に、株主価値の持続的向上を目指すため、資本政策の基本方針を改訂し、ROE(自己資本利益率)10%以上を目標指標とし、DOE(株主資本配当率)3%を基準に、業績に多大な影響を及ぼすことがない限り、財務健全性を確保しながら累進的な配当を実施する方針を発表している。その結果、日本トリムのROEは、2023年3月期で8.1%となり、2024年3月期は8.7%を計画していることも明らかにした。

なお、2024年3月期の配当予想については、1株当たり80円から5円増配し、業績予想達成時のDOE 3.0%に相当する85円を予定とする方針を示した。

引き続き、日本トリムの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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