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雪印メグミルク、純利益は92.9%増。株価は昨年来高値、年間配当予想の増額修正も追い風

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(画像= La Caprese)

2024年3月15日、東京証券取引所で雪印メグミルクの株価が一時2,678円まで買われ、昨年来高値を更新した。2023年2月10日の安値1,700円から13カ月で57.5%の上昇である。

雪印メグミルクは、牛乳や乳製品および食品の製造・販売等を手がける企業である。バターやマーガリン類、チーズを中心とした「乳製品事業」のほか、牛乳・乳飲料およびヨーグルト、清涼飲料、デザートなどを手がける「市乳事業」、粉ミルクや機能性食品を中心した「ニュートリション事業」、酪農生産に関わる「飼料・種苗事業」などを展開している。

後段で述べる通り、雪印メグミルクが公表した❶2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績が増収増益となったことに加え、❷2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想で純利益が大幅に上方修正されたこと、❸さらに、2024年3月期の年間配当予想を従来計画の60円から80円に増額修正したこと……などが株価にも追い風となった。

今回は雪印メグミルクの話題をお届けしよう。

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雪印メグミルク、純利益は92.9%増

2月9日、雪印メグミルクは2024年3月期・第3四半期(2023年4月1日~2023年12月31日)の連結業績を発表した。同期の経営成績は、売上高が前年同期比4.6%増の4,604億7,800万円、本業の利益を示す営業利益は同46.9%増の163億円、経常利益は同61.4%増の177億7,400万円、純利益は同92.9%増の113億9,800万円と増収増益となった。

同期の食品業界は、外食需要がインバウンドの増加等を背景に回復傾向を示した。ただし、原材料の価格高騰の勢いはやわらいだものの、食品をはじめとする商品価格の高止まりは継続しており、消費者の購買行動に与える影響は決して小さくはない。こうした環境下、雪印メグミルクは乳製品セグメント、飲料・デザート類セグメントともに適切な価格改定により売上高で前年を上回った。また、利益面では価格改定の浸透や、マーケティング活動の強化等により、大幅な増益を記録した。

主要セグメントの概況は以下の通りである。

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乳製品

乳製品の売上は前年同期比3.9%増の1,948億4,300万円、営業利益は同1.8%減の79億6,600万円と増収減益となった。ちなみに、乳製品のセグメントは乳製品(チーズ、バター、粉乳等)、油脂、ニュートリション事業(機能性食品、粉ミルク等)等の製造・販売が含まれている。

同期の売上面では、バターが価格改定に加えて市場を上回る需要を獲得できたことにより、前年を上回った。油脂も市場の伸長に加え、販売拡大に積極的に取り組んだことから伸長した。チーズは、主力の「さけるチーズ」で大樹工場の新ライン稼働による増産体制の整備や、新フレーバーのコンソメ味の発売等があり、好調に推移した。機能性食品は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和による人流回復のため、定期購入型通販ビジネスの伸び率が落ち着いたものの、モール型ECサイトでの積極的なマーケティング活動等により堅調に推移した。粉ミルク等は、価格改定の影響もあり前年並みとなったが、ニュートリション事業全体では堅調に推移した。

一方、利益面では各種コストアップに対応した価格改定等を進めたものの、固定経費の負担が増加したことで減益となった。

飲料・デザート類

飲料・デザート類の売上高は前年同期比7.0%増の1,963億3,900万円、営業利益は同356.1%増の55億2,000万円と大幅な増益となった。ちなみに、飲料・デザート類のセグメントには、飲料(牛乳類、果汁飲料等)、ヨーグルト、デザートの製造・販売が含まれている。

同期の売上面では、飲料で「MBPドリンク」シリーズ、「毎日骨太MBP」「すっきりCa鉄」等が好調に推移した。ヨーグルトは「牧場の朝ヨーグルト」や「ナチュレ恵megumi」等のファミリーユース商品が好調だった。一方で機能性ヨーグルトの需要が落ち着いたため、「ガセリ菌ヨーグルト」シリーズは前年をやや下回った。デザートは、主力の「CREAM SWEETS」シリーズや、「アジア茶房」シリーズ等が好調に推移した。

一方、利益面では各種コストアップに対応した価格改定により、大幅な増益となった。

飼料・種苗

飼料・種苗の売上高は前年同期比4.2%減の393億5,300万円、営業利益は同33.6%増の4億8,500万円と減収増益となった。ちなみに、飼料・種苗のセグメントには、牛用飼料、牧草・飼料作物種子、野菜種子の製造・販売、造園事業が含まれている。

同期は、配合飼料の販売単価の下落や、乳牛用の飼料需要の減少等で販売物量が減少したこと等から、セグメント全体で売上高が伸び悩んだ。一方、利益面ではコストダウンを推進したことが功を奏し、増益となった。

その他

その他の売上高は前年同期比6.0%増の299億4,100万円、営業利益は同60.5%増の22億4,800万円と増収増益となった。ちなみに、その他のセグメントには、共同配送センター事業、不動産賃貸事業等が含まれている。

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通期の業績予想で純利益を上方修正、年間配当予想も増額

3月13日、雪印メグミルクは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.4%増の6,160億円、本業の利益を示す営業利益で同39.4%増の182億円、経常利益で同34.7%増の195億円、純利益で同109.2%増の191億円となる見通しを示した。これは従来予想(2023年10月24日公表)に比べて、売上高・営業利益・経常利益は据え置きながら、純利益はプラス56.6%の大幅な上方修正である。

雪印メグミルクは純利益を上方修正した理由について、投資有価証券売却益(特別利益)の発生を挙げている。なお、冒頭でも述べた通り、雪印メグミルクは2024年3月期の年間配当予想を従来計画の60円から80円に増額修正することも明らかにした。雪印メグミルクは配当について、連結業績や財務状況等を総合的に勘案し、配当性向30%以上を目標とした安定的な(配当の)継続に努めており、今回の増額修正もその一環であるとしている。

引き続き、雪印メグミルクの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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