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横浜ゴム、株価は上場来高値。最終利益が過去最高、日米で新車用タイヤなど堅調

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※画像はイメージです。(画像= 自然体 / 写真AC、La Caprese)

2024年2月21日、東京証券取引所で横浜ゴムの株価が一時4,093円まで買われ、上場来高値を更新した。2023年1月16日の安値1,948円から13カ月で110.1%の上昇である。

横浜ゴムは、創業106年の歴史を誇るタイヤ・ゴムメーカーの老舗(しにせ)である。その源流は、1917年に古河財閥の中核企業である橫濱電線製造(現在の古河電気工業)と米企業のBFグッドリッチの合弁会社として設立した「横浜護謨製造」までさかのぼる。1921年の日本初となるコードタイヤ「ハマタウン・コード」の開発を皮切りに、1933年にはパンクに強い「ゴールデンプライタイヤ」を発売、1954年には日本初のスノータイヤ「Y-29」、1955年には日本初のチューブレスタイヤ「ハマセーフティ」「ハマライナー」をそれぞれ発売するなど、日本の自動車産業の発展とともに地歩を築いてきた。

後段で述べる通り、横浜ゴムが公表した、❶2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績が大幅な増収増益となり、最終利益で過去最高益を更新したこと、❷2024年12月期・通期(2024年1月1日~2024年12月31日)の連結業績予想についても増収増益となる見通しが示されたこと、❷さらに、2024年12月期の年間配当予想を前期比9円増の93円に増配する方針を示したこと……などが株価にも刺激材料となった。

今回は横浜ゴムの話題をお届けしよう。

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横浜ゴム、最終利益が過去最高

2月16日、横浜ゴムは2023年12月期・通期(2023年1月1日~2023年12月31日)の連結業績を公表した。同期の経営成績は、売上収益が前期比14.5%増の9,853億3,300万円、事業利益は同41.4%増の991億2,700万円、営業利益は同45.8%増の1,003億5,100万円、最終利益は同46.4%増の672億3,400万円と大幅な増収増益となった。

同期の経営環境は、日本国内では設備投資が緩やかな回復傾向を示したほか、自動車販売も堅調に推移するなど関連性の高い業種で景況感の改善が見られた。また、景気全般においてもインバウンド需要の回復を受けて宿泊・飲食サービスが好調を維持したほか、価格転嫁の進展などから総じて改善傾向を示した。

一方、海外では、米国が良好な雇用・所得環境から堅調な個人消費が持続しているものの、好調な非製造業とは対照的に、ハイテク産業以外の製造業は総じて減産基調で調整局面が長期化した。さらに、中国は春以降一転して、不動産開発の大幅減で投資が全体として伸び悩み、景気は減速傾向となった。欧州は、ウクライナ情勢に改善の兆しがみられない中、需要の減速を背景に製造業・サービス業ともにコスト増を価格に転嫁しづらい局面が継続した。

こうした状況下、横浜ゴムは既存事業における強みの「深化」と、大変革時代のニーズに応える新しい価値の「探索」を同時に推進し、次世代の成長に向けた「変革」を図ることを位置づけた中期経営計画「YokohamaTransformation 2023(YX2023)」を推進した。売上収益の88.8%を占めるタイヤ販売は、新車用が日本や北米で堅調に推移したほか、市販用もアジアなどで伸長した。同時に、物流費・原材料費の低減に努めたほか、為替市場で円安が進行したことも業績に寄与した。その結果、前述の通り、大幅な増収増益となり、最終利益で過去最高益を更新した。

なお、主要セグメントの概況は以下の通りである。

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タイヤ:日本や北米で新車用など堅調

タイヤの売上収益は前期比16.0%増の8,748億6,300万円、事業利益は同37.7%増の920億2,600万円と大幅な増収増益となった。

新車用タイヤの売上収益は、中国で日系自動車メーカーの販売不振による影響が続いたものの、日本や北米では装着車種の販売が好調だったことに加え、新規納入車種が増加したことにより、堅調に推移した。また、市販用タイヤの売上収益は、国内では夏用タイヤの販売が堅調に推移し、海外では中国、インドなどアジア地域で販売を伸ばしたことで前期を上回った。

一方、OHT(オフハイウェイタイヤ)については、YOHT(Yokohama Off-Highway Tires、旧ATG)の販売が欧州地域と北米地域で伸び悩んだものの、2023年5月に買収完了したY-TWS(旧Trelleborg Wheel Systems Holding AB=TWS)の業績が加算されたことで、OHT全体の売上収益は大きく伸長した。

MB(マルチプル・ビジネス):工業資材事業が伸長

MBの売上収益は前期比5.9%増の1,018億8,500万円、事業利益は同80.5%増の71億5,500万円と大幅な増益となった。

同期は、まずホース配管事業の売上収益が前年並みとなった。建設機械向けなどの油圧ホースは需要低迷により販売が振るわなかったものの、北米における自動車向けホースが堅調に推移したことで相殺された。一方、工業資材事業の売上収益は、コンベヤベルトの販売が国内で大きく伸長したほか、海洋商品や民間航空機向け補用品の販売も好調に推移し、業績に寄与した。

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2024年12月期は売上収益で1兆円突破へ

2月16日、横浜ゴムは2024年12月期・通期(2024年1月1日~2024年12月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比7.6%増の1兆600億円、事業利益は同16.0%増の1,150億円、営業利益は同15.1%増の1,155億円、最終利益で同10.8%増の745億円と増収増益の見通しを示した。見立て通りとなれば、最終利益で再び過去最高益を更新することとなる。

横浜ゴムは同期の経営環境について、日本経済は緩やかな回復局面にある一方、海外では製造業の需要減速など景気の下振れ要因もあり、先行き不透明な状況が継続するとの認識を示した。その上で、新たに策定した中期経営計画「Yokohama Transformation 2026(YX2026)」に基づき、「YX2023」から推進してきた戦略をさらに推し進め、経営基盤強化に取り組む考えを明らかにした。同期の想定為替レートは、1ドル=137円、1ユーロ=150円としている。なお、冒頭で述べた通り、横浜ゴムは2024年12月期の年間配当予想を前期比9円増の93円に増配する方針を示した。

引き続き、横浜ゴムの業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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