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コメ兵ホールディングス、今期の営業利益は過去最高の58億円へ。株価は年初来高値、ブランド・ファッション事業が絶好調

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※画像はイメージです。(画像= La Caprese)

2023年5月19日、東京証券取引所でコメ兵ホールディングスの株価が一時3,825円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年2月13日の安値2,191円から3カ月で74.6%の上昇である。

コメ兵ホールディングスは、リユースショップの運営会社等を傘下に置く持株会社である。その源流は、戦後まもなく、創業者の石原大二氏が愛知県半田市で始めた衣類の行商にまでさかのぼる。当時は衣食住ともに不足していた時代であった。石原氏は「リヤカー、自転車で家々を回り、古着を売ってもらっては行商で販売」していたと同社のホームページで紹介されている。1947年には、名古屋市に古着屋「米兵商店」を出店。その後、高度経済成長期で人々の生活水準の向上とともに、衣類のほか、宝石や貴金属、時計、バッグ、カメラ、楽器など取扱品目を増やした。店舗数も愛知県内を中心に拡大し、1990年代以降は関東をはじめとする他の地区や、海外への進出を果たしている。

後段で述べる通り、コメ兵ホールディングスが5月15日に発表した①2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績で営業利益、経常利益、純利益で過去最高を更新したことに加え、②2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想でも増収増益の見通しが示されたこと、③2024年3月期の年間配当は前期比16円増の76円に増配する方針を示したこと……などが刺激材料となった。

今回はコメ兵ホールディングスの話題をお届けしたい。

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コメ兵ホールディングス、2023年3月期は過去最高益

5月15日、コメ兵ホールディングスは2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比21.0%増の861億1,300万円、本業の利益を示す営業利益は同39.1%増の51億6,800万円、経常利益は43.3%増の54億600万円、純利益は64.1%増の37億600万円と大幅な増収増益となった。

同期のリユース業界は、社会的なSDGs(持続可能な開発目標)機運の高まりに加え、光熱費や生活必需品などの価格上昇も影響して中古品の需要が拡大した。こうした中、グループ企業のコメ兵では、リアルとデジタルを組み合わせた、消費者とのコミュニケーション強化やサービス提供に加え、中古品の価値向上と新しい消費者との接点として店舗外でのイベントを実施した。また、個人買取の強化において、「安心できる“いつもの”“近くの”場所での買取」をコンセプトに、イベント買取や買取専門店の新規出店も積極的に推進した。同時に、業務の効率化を推進するとともに、オンラインストアの利用促進や、法人向けオンラインオークションによる法人販売の強化に注力するなど、新型コロナウイルス禍でも収益を確保できる体制を整備した。

その結果、同期は営業利益、経常利益、純利益で過去最高を記録した。

なお、セグメント別の状況は以下の通りである。

ブランド・ファッション事業が絶好調

ブランド・ファッション事業のセグメントは、売上高が前期比21.8%増の812億3,400万円、営業利益は同49.2%増の48億5,600万円と大幅な増収増益となった。

国内のグループ企業では、コメ兵の販売店舗であるKOMEHYO GINZAの移転に加え、買取専門店を28店舗、イヴコーポレーションで販売店舗を1店舗、K-ブランドオフで販売店舗である銀座本店の移転に加え、買取専門店(FC加盟店舗)を14店舗出店した。このほか、セルビーのグループ会社化により2店舗増加した。

海外のグループ企業では、販売店舗をSAHA KOMEHYOCOMPANY LIMITED(タイ)で2店舗、米濱上海商貿有限公司(中国)では1店舗を出店した。

ちなみに、中古品仕入高については、コメ兵でイベント買取や新規出店を中心に個人からの買取を強化したほか、AI(人工知能)での真贋・型番判定を全買取センターに導入し、消費者とのコミュニケーションを重視した、安心して利用できる買取サービスの促進に努めた。

販売については、コメ兵のコンタクトセンターの拡充、訪日外国人を含めた来店者数の増加に対応するための店舗在庫の充実、消費者との関係性を深める施策を積極的に実施した。また、個人買取が好調に推移したことにより、小売り向け商品を充実させたうえで法人販売を強化するとともに、KOMEHYOオークションとK-ブランドオフそれぞれが運営する法人向けオークションを強化した。

なお、前述の通り、同期は2022年8月にセルビーをグループ会社化した。これはブランド・ファッション事業において、宝石部門の拡大を目的としたものである。また、2022年12月には海外での個人買取および販売の拡大を目的として、KOMEHYO SINGAPORE PTE. LTD.(シンガポール)を設立した。

タイヤ・ホイール事業の営業利益は66.7%増

タイヤ・ホイール事業のセグメントは、売上高が前期比10.3%増の48億3,300万円、営業利益は同66.7%増の2億4,500万円と大幅な増収増益となった。

同期はグループ企業のクラフトおよびオートパーツジャパンにおいて、ホイールやカスタム用パーツの販売が順調に推移した。在庫コントロールと降雪の影響等から2022年11月以降の冬用タイヤの販売が好調だったほか、メーカー値上げ前の2023年3月の駆け込み需要により夏タイヤ等の販売も好調に推移した。また、クラフトでのコールセンターによる接客強化、SNS等によるコミュニケーション強化に加え、オートパーツジャパンでの通信販売の効率化を推進した。なお、同期はフォーバイフォーエンジニアリングサービスで開発した新作ホイールを販売した。

不動産賃貸事業は減収減益

不動産賃貸事業のセグメントは、売上高が前期比14.4%減の2億8,600万円、営業利益は同16.0%減の8,400万円と減収減益となった。

今期も営業利益、経常利益、純利益で最高益を予想

5月15日、コメ兵ホールディングスは2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比16.1%増の1,000億円、本業の利益を示す営業利益で同12.2%増の58億円、経常利益で同7.3%増の58億円、純利益で同7.9%増の40億円となる見通しを示した。見立て通りとなれば、営業利益、経常利益、純利益で再び過去最高を更新することになる。

コメ兵ホールディングスは2024年3月期について、引き続き買取専門店の新規出店や催事および提携事業を通じて、個人からの中古品の買取を強化するとともに、小売やWebサイトおよびオークションを活用した販売の強化を図る方針を示した。一方、利益面では出店等による販売費および一般管理費の増加が見込まれるものの、中古品の買取強化、適正な買取および販売価格の設定への注力に加え、法人向けオークションを強化すること等により、グループ各社の収益力向上を図る計画である。

なお、冒頭で述べた通り、コメ兵ホールディングスは2024年3月期の年間配当について、前期比16円増の76円に増配する方針を示した。

引き続き、コメ兵ホールディングスの業績や株価が注目されるところである。■

(La Caprese 編集部)

特集:生活防衛銘柄
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