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東北新社、アクティビストに揺れる市場。株価は年初来高値、3Dが保有目的に「重要提案行為の可能性」追加

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(画像= Canva、La Caprese)

2023年5月2日、東京証券取引所で東北新社の株価が一時835円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年1月20日の安値657円から3カ月半で27.1%の上昇である。

東北新社は、総合映像プロダクションである。テレビ番組や映画の制作・配給のほか、海外テレビ映画の輸入配給や字幕吹替の翻訳、CM制作、衛星放送事業など映像に関するあらゆる事業を展開している。

後段で述べる通り、投資会社の3Dインベストメント・パートナーズが2023年5月1日に財務省に提出した変更報告書で、株式を保有する東北新社の保有目的について、「投資一任契約に基づく純投資」のみから「純投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」に変更したことが株価にも刺激材料となった。

今回は東北新社の話題をお届けしよう。

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3Dインベストメント・パートナーズ、日本特化型のバリュー投資を展開

3Dインベストメント・パートナーズは、シンガポールを拠点に日本特化型のバリュー投資を展開する独立系資産運用会社である。

3Dインベストメント・パートナーズの特徴の一つに、「複利的な資本成長を通じた中長期的な価値創造及び長期的なリターンを実現するという共通の目的を共有できる経営陣と協働することが重要である」という投資哲学がある。いわゆるアクティビスト・ファンド(物言う株主)であり、過去には2020年7月に東芝の定時株主総会で、同社の車谷暢昭代表執行役社長と藤森義明社外取締役の取締役選任について、反対の議決権を行使するなど攻防を繰り広げたほか、2023年3月14日にはサッポロホールディングスが不動産事業への傾斜で、コア事業の酒類事業の業績不振を覆い隠しているなどと批判する書簡を公表して話題を呼んでいる。

それはさておき、東北新社については、3Dインベストメント・パートナーズが2023年3月20日に財務省に提出した大量保有報告書(5%ルール報告書)で東北新社株の保有比率が9.55%となり、新たに5%を超えたことが判明していた。この時点での保有目的は「投資一任契約に基づく純投資」のみであった。その後、2023年5月1日に提出した変更報告書では保有目的が「純投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為等を行うこと」に変更したことが明らかになった。この保有目的の変更が市場関係者の間で憶測を呼び、翌5月2日の東北新社株は一時835円まで買われ、年初来の高値を更新。今年1月20日の安値657円から3カ月半で27.1%の上昇を記録した。

東北新社の業績は?

業績を見てみよう。東北新社の2023年3月期・第3四半期(2022年4月1日~2022年12月31日)の連結業績は、売上高が前年同期比4.3%増の382億9,900万円、本業の利益を示す営業利益は同5.2%増の25億7,200万円、経常利益は同16.2%減の30億4,800万円、純利益は同18.0%減の18億3,000万円である。

セグメント別では、「広告プロダクション」が2021年12月に子会社化したENJINの業績を取り込んだことにより増収となったが、一方でCM制作部門において子会社のオフィス移転費用の発生や映像制作における新たなワークフロー等(メタバースプロダクション)の技術開発費用などのコスト増で減益となった。「コンテンツプロダクション」では音響字幕制作部門が好調だったほか、デジタルプロダクション部門におけるコスト削減なども寄与し増益となった。

一方、「メディア」のセグメントは減収増益となった。同期は、関連チャンネル子会社だったザ・シネマが連結除外(2022年10月に株式を譲渡)となったため減収となった。しかし、その一方で、スター・チャンネルにおいて、前年同期の放映権の契約見直しに伴う費用処理が今回はなかったことなどから増益となった。「プロパティ」は、テレビ放映権の販売や配給および出資作品の収入が前年同期より上回ったことや、コスト面でテレビ放映権の償却費が減少したこともあり、増収増益となった。「物販」は、スーパー部門において、新型コロナウイルス禍の巣ごもり消費減少が影響し、減収減益となった。

気になる3Dインベストメント・パートナーズの動き

2月10日、東北新社は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比9.0増の575億1,400万円、本業の利益を示す営業利益で同1.4減の40億7,600万円、経常利益で同18.6%減の44億8,200万円、純利益で同8.0%減の28億2,300万円と従来予想(2022年8月10日発表)を据え置いている。

ちなみに、東北新社は来週5月19日に2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績の発表を予定している。ここで、①上記の予想に対して、どのような業績が示されるのか②2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、どのような展望が示されるのか③そして、3Dインベストメント・パートナーズが新たにどのようなアクションを起こすのか……注目されるところである。■

(La Caprese 編集部)

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