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エッセイ:気象病に負けないコンディションづくりに必要なこと

気象病,対策
(画像= acworks / 写真AC、La Caprese)

2023年5月18日、気象庁は「沖縄地方と奄美地方が梅雨入りしたと見られる」と発表した。今年、全国で初めての梅雨入りである。沖縄は平年より8日、奄美は6日遅い梅雨入りとなる。

梅雨は大雨による災害の発生しやすい時期であるが、同時に農業用の水などを蓄える大切な時期でもある。この時期の雨量が少ないと、梅雨明け後の盛夏期に必要な水が不足して農作物の生産に影響を及ぼし、ひいては価格高騰を招くことにもなりかねない。一方で、じめじめと湿気が多い梅雨は、人々の健康面にもさまざまな影響を与えることが知られている。近年は「気象病」あるいは「天気痛」といった言葉も広く知られるようになった。

ちなみに、第一三共ヘルスケア(本社:東京都中央区)が2022年9月2日に発表した「気象病(天気痛)」に関する実態調査では、気象病経験者は全国平均で6割以上に達することが明らかになった。同調査は、全国の男女2,350人(性・都道府県別均等割付)を対象に行われた。

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その頭痛は「気象病」かも?

同調査では、まず、気候や気圧の変化による体の変化や不調を感じたことの有無について聞いたところ、全国平均で64.6%が「ある(とてもある+たまにある)」と回答した。都道府県別では「島根県」が第1位で80.0%、2位が「新潟県」の76.0%と日本海に面している県が上位を占めた。一方で、気象病経験者が最も少ない都道府県は、梅雨がないとされる「北海道」(44.0%)であった。「島根県」は「北海道」の約2倍に上る結果となり、地域によって大きな差が浮き彫りとなった《図表1》。

気象病,対策

《図表1》 出典:第一三共ヘルスケア
※図表の構成比(%)は小数点第2位以下を四捨五入している。

「気象病による症状」について聞いてみると、第1位は「頭痛」の67.1%、2位は「だるさ」で50.8%、3位は「気分の落ち込み」の23.6%となった。なお、第1位の「頭痛」の発症経験率を都道府県別に見ると、第1位は「京都府」で86.1%だった。一方、最も低いのは「大阪府」の41.9%で、隣接する2つの府で対照的な結果となった。

気象病の原因は? 内科医の正木初美先生が解説

ちなみに、内科医で正木クリニック院長の正木初美先生は「頭痛、めまい、眠気、動悸などの気象病の症状は、その多くが自律神経のバランスが悪いことと関係しています」と指摘している。

自律神経のバランスが悪くなる要因は2つある。その一つは「気圧の変化を感じるセンサーがある“内耳”との関係です」と正木先生は指摘する。内耳には気圧の変化を感じるセンサーがあるといわれており、そこで感知した刺激を脳に伝えたとき、脳にある自律神経のバランスを司る部分が過敏に反応してしまうことで自律神経のバランスが崩れ、そのバランスがうまく調整できなかったときに気象病を起こすと考えられている。

もう一つの要因は「女性ホルモンやストレスとの関係」である。正木先生によると、女性ホルモンのバランスが乱れているときや過度なストレスを感じているときは、通常よりも気圧や温度・湿度など気象の変化に敏感になるため、自律神経のバランスが崩れやすく、気象病が起こりやすくなるという。

気象病は頭痛やめまいだけではなく、「気分の落ち込み」といったメンタルにも影響する。正木先生によると、これも自律神経のバランスが関係しているという。すなわち、リラックスに働く「副交感神経」が過剰に働くと気分の落ち込みやだるさ、眠気を引き起こし、逆に「交感神経」のほうが強くなりすぎるとイライラしたり、興奮したり、動悸や汗が出るなどの症状が現れる。気圧や温度・湿度など気象の変化によって、自律神経の「交感神経」と「副交感神経」のバランスが乱れ、メンタルに大きな影響を及ぼすという。

気象病の対策は? 症状別の2つの方法

気象病の対策について、正木先生は症状別に2つの方法を紹介している。

まず「頭痛やめまい、動悸などの症状を感じている人は『よく寝ること』が大切です」と指摘。「眠っている間に『副交感神経』が優位になり、自律神経の乱れも整えてくれます。また、お風呂にゆっくり入って身体を温めたり、好きな音楽や映画に触れてリラックスしたりするなど、『副交感神経』の働きを促すように身体も心も休めてあげましょう」とアドバイスしている。

一方、「『副交感神経』が過剰に働き、気分の落ち込みや眠気の症状を感じている人は、寝ているだけではなかなか症状が良くなりません」とも指摘する。したがって、「他に病気やつらい症状がない場合は、思い切って外に出ることが効果的です。外に出ることで『交感神経』が優位に働き、家にいるときよりも気分が晴れるケースが多くあります」としている。

これから梅雨本番を迎えるが、気象病に負けないコンディションづくりを心がけたい。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

特集:気象病(天気痛)/天気と体調
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