「その通りですね。寝ていました」
「寝れば寝るだけいいかなと。質はその次」
「まずは量を確保する。どれだけ寝れたかが一番」
2023年5月3日(日本時間5月4日)、ロサンゼルス・エンゼルスの大谷翔平選手はセントルイス・カージナルス戦後の会見でそうコメントした。前日に侍ジャパンで同僚だったカージナルスのラーズ・ヌートバー選手から食事に誘われたものの、睡眠を理由に断ったことが話題になった。上記は試合後にその話題をふられた際のコメントである。
二刀流としてメジャーリーグの最前線で活躍する大谷選手が、「睡眠」を大切にしていることは周知の事実であるが、ヌートバー選手から食事に誘われたその日(休養日)も10時間以上は寝ていたことが明かされている。
レギュラーシーズンは162試合と長丁場。常にベストパフォーマンスを発揮するため、睡眠に対して大きなこだわりを持つ大谷選手であるが、もちろん、眠れない日もある。2022年3月1日に大手寝具メーカーの西川(本社:東京都中央区)と睡眠コンディショニングサポート契約を締結した際に、大谷選手は「眠れない日はありますね。でも僕、負けた日や打てなかった日が寝れないということがあまりなく、むしろすぐ寝れるタイプです。どちらかというと、勝った試合やいい試合のほうが身体が興奮している状態で眠れない時があります」と語っている。
大谷選手は北海道日本ハムファイターズ時代から西川のコンディショニングギア『エアー』を愛用しており、今年3月にWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準決勝と決勝の地である米フロリダ州マイアミに出発する際にも、自身のインスタグラムに『エアー』を持ってチャーター機に乗り込む画像を投稿している。
睡眠は自己肯定感を高め、夢を叶える近道!
ちなみに、2022年12月15日に味の素(本社:東京都中央区)が公表した『睡眠と日中の活動、自分らしさに関する意識調査』では、睡眠と日中のパフォーマンスの関係について興味深い結果が示されている。
同調査は全国の20~60代の男女1,000名を対象に実施したもので、「日頃、ぐっすり眠れている」ことを実感している人の70.7%が『自身の日中のパフォーマンスの高さ』に満足と回答している。一方、「日頃、ぐっすり眠れていない」と回答した人の中で、『自身の日中のパフォーマンスの高さ』に満足と回答したのはわずか20.4%で、両者で実に50.3ポイントの差がつく結果となった。(図1)
(図1) 出典:味の素
さらに、「日頃、ぐっすり眠れている」と回答した人と、「日頃、ぐっすり眠れていない」と回答した人、それぞれに『自分らしく生きることができていると思うか?』に関する複数の質問をしたところ、「日頃、ぐっすり眠れている」人からはポジティブな回答が多く寄せられ、「日頃、ぐっすり眠れていない」人に比べて各項目で大きく上回る傾向が認められた。(図2)
(図2) 出典:味の素
同調査を監修した、「睡眠負債」のメカニズムや睡眠法などの著書を手掛ける、脳神経科学者の枝川義邦氏は上記の結果について、「ぐっすり眠れないと前頭前野の働きが低下するので、意欲がなくなり、あきらめやすくなります。睡眠は自己肯定感を高め、夢を叶える近道です」と睡眠の重要性を訴えている。
それにしても……もう何年前になるだろか。大谷選手の「二刀流」に関して、当初はプロ野球OBや内外の専門家からさまざまな意見があった。中には「二刀流」を全否定する辛辣な意見も散見されたものである。メジャーに移籍してからも、右肘の内側側副靱帯損傷など大きな試練が待ち受けていた。大谷選手が、これまでどれだけの重圧にさらされてきたのか筆者には想像もつかないが、「二刀流」の夢に挑む強靭なメンタルを養ううえで、自己肯定感を高める「睡眠」が重要な役割を果たしているのかもしれない。■
(La Caprese 編集長 Yukio)