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エッセイ:株価は経済を映す鏡…なのか?

2024年,日本経済見通し 朝散歩で一人会議
(画像= La Caprese)

2023年11月20日、日経平均株価は一時3万3,853円まで買われ、バブル後の最高値を更新した。1990年以来、およそ33年ぶりの高値水準である。

「2024年日本株、野村やゴールドマン、モルガンS強気-史上最高値接近」――。同日付のブルームバーグのヘッドラインには、そんなタイトルが並んだ。記事では2024年の日本株について、強気な見方が紹介されており、ストラテジストの間では、日経平均株価で1989年12月29日に付けた史上最高値となる3万8,915円(終値)に迫る展開を予想する声もあると伝えていた。デフレからの脱却やコーポレートガバナンス(企業統治)改革などへの期待が引き続き日本株の追い風になるとの見立てのようだ。

それにしても……。日経平均株価が史上最高値を付けた1989年といえば、筆者がユーノス・ロードスターの新車を衝動買いした年でもある。あの頃はモータリゼーションの絶頂期であった。20代の若者でも当たり前のように自動車を購入していた時代である。筆者の周りでは、自動車ローンを組んでBMWやアルファロメオといった高級車を購入する友人もいた。

バブル期のあの時代は、毎年給料が上がるのが当たり前と考えられていた。ボーナスが年2回支給されるのも常識であった。転職市場は「空前の売り手市場」と呼ばれ、どの業界も人手不足であった。日本経済は右肩上がりの成長が続くと信じられていた時代だった。そんな状況なので、20代の若者も安心して自動車ローンを組むことができたのである。

「株価は経済を映す鏡」と呼ばれることがある。日経平均株価が史上最高値を付けた1989年については、確かに「株価は経済を映す鏡」であったように思う。だが、現在はどうだろう? たとえば、11月21日に博報堂生活総合研究所が発表した調査報告『2024年 生活気分』(詳細は後述)を見ると、人々の生活実感と株価がかけ離れている印象は否めない。

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若者が安心して将来設計を考えることができる世の中に

博報堂生活総合研究所が全国の20歳~69歳の男女3,900人に実施した調査『2024年 生活気分』によると、2023年の世の中の景気実感は「悪かった」が56.9%となった。前回調査(66.1%)に比べると9.2ポイント減少し、4年連続で減少しているものの依然として過半数を占めている。

2024年,日本経済見通し
(図1) 出典:博報堂生活総合研究所『2024年 生活気分』

一方、2024年の世の中の景気予想については、「悪くなる」が36.2%で、前回 (44.9%)に比べて8.7ポイント減少した。これに対して、「良くなる」(14.7%)は前回(12.1%)より2.6ポイント増加しているものの、「悪くなる」が「良くなる」の2倍以上のスコアとなった。

2024年,日本経済見通し
(図2) 出典:博報堂生活総合研究所『2024年 生活気分』

ちなみに、2024年の景気予想の理由(自由回答)については、「悪くなる」と思う理由として「物価上昇の継続・加速」(44.6%)、「良くなる」と思う理由では「経済の好転」(18.2%)がそれぞれトップとなった。新型コロナウイルス禍の収束や物価上昇の落ち着きを期待して、経済の好転を予測する一方、物価上昇がそれを上回る影響を及ぼし、来年も景気が悪くなると考えている生活者も多いことが読みとれる。

「株価は経済を映す鏡」と呼ばれることがあるが、少なくとも博報堂生活総合研究所の調査結果を見る限り、人々の生活実感とかけ離れている印象は否めない。「来年の話をすると鬼が笑う」との諺(ことわざ)もあるが、1989年のバブル絶頂期とまでは行かないまでも、せめて20代の若者が安心して将来設計を考えることができる世の中であってほしいと思う。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

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