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ワコールホールディングス、株価は年初来高値。最終利益は18.0%増、収益性と資本効率の改善に注力

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(画像= La Caprese)

2023年9月22日、東京証券取引所でワコールホールディングスの株価が一時3,358円まで買われ、年初来高値を更新した。今年2月14日の安値2,220円から7カ月で51.3%の上昇である。

ワコールホールディングスは、主に衣料品メーカー等を傘下に置く持株会社である。子会社56社および関連会社7社で構成され、事業の主力として婦人のランジェリー等のインナーウェアや、アウターウェア、スポーツウェアなどの製造・販売を展開しているほか、飲食・文化・サービスおよび店舗内装工事も手がけている。

後段で述べる通り、ワコールホールディングスが公表した2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績で最終利益が前年同期に比べて2ケタの増益を示したこと等が、株価にもサポート要因となっているようだ。

今回はワコールホールディングスの話題をお届けしよう。

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ワコールホールディングス、最終利益は18.0%増

8月9日、ワコールホールディングスは2024年3月期・第1四半期(2023年4月1日~2023年6月30日)の連結業績を発表した。同期の売上収益は前年同期比0.5%減の487億9,000万円、本業の利益を示す営業利益は同10.4%増の27億3,000万円、税引前四半期利益は同11.8%増の40億円、最終利益は同18.0%増の28億4,000万円となった。

同期は、国内において物価上昇を背景とした選別消費の高まり等を背景に主力ブランドの販売が伸び悩んだ。加えて、原価の高騰も影響し厳しい状況となった。一方、海外では、欧州で主要ブランドに対する顧客からの支持が高まり堅調に推移した。中国は新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けた前年同期から改善を果たしたものの、来店客数の戻りは弱く、売上は想定を下回った。米国は、物価上昇率の落ち着きなどとともに消費回復の動きが見られたが、得意先における在庫調整や一部ブランドの販売不振などにより計画を下回った。

こうした状況下、ワコールホールディングスは「収益性と資本効率の改善」を重点課題に掲げ、国内では「ブランド戦略と顧客戦略の再構築」ならびに「コスト構造改革のスピードアップ」を推進、海外では「EC事業の強化」ならびに「各市場の特性に応じた商品力の強化」に注力した。その結果、同期の連結業績は上記の通り、売上収益が伸び悩んだものの、最終利益で2ケタの増益となった。ちなみに、ワコールホールディングスは、2023年11月中旬頃にPBR(株価純資産倍率)の改善に向けた方針や目標・管理指標、具体的な取組み、実行の時間軸について開示する予定である。

なお、主要セグメントの概況は以下の通りである。

ワコール事業(国内)

ワコール事業(国内)の売上収益は前年同期比2.9%減の237億7,000万円、営業利益は同30.7%減の5億6,000万円となった。

同期は、ブランドやチャネルごとに動向が異なり、強弱相半ばの状況となった。物価上昇の影響を受けて選別消費の傾向が高まる中、高価格帯ブランドの「Yue(ユエ)」や「Salute(サルート)」が好調に推移する一方で、主力ブランドの「Wacoal(ワコール)」「Wing(ウイング)」については主力商品の販売強化に向けて積極的なプロモーションを展開したものの、実店舗チャネルでの購買客数の増加につなげることができず、苦戦した。また、一部得意先における販売促進施策の縮小も売上に影響する結果となった。他方、ECについては、自社サイトのユーザビリティ向上への取り組みや積極的な販促活動が寄与し増収となったほか、他社ECについてもECモール運営事業者との連携強化が奏功し伸長した。

ワコール事業(海外)

ワコール事業(海外)の売上収益は前年同期比3.5%増の188億4,000万円、営業利益は同38.0%増の18億9,000万円となった。

ワコールヨーロッパは、北米事業において得意先の仕入抑制の影響を受けたものの、ボディポジティブのムーブメントを背景に「Elomi」「Fantasie」ブランドの下着や水着の販売が堅調に推移した。

ワコールインターナショナル(米国)は、Intimates Online, Inc.(以下、IO社)が大幅な減収となったことが影響し、前年同期を下回った。IO社については、前年同期は成長に向けて積極的な販促投資を行ったものの販促効率が低迷し損失が拡大したが、今回は収益性の改善を優先し、販促投資を抑制した結果、訪問客数が低下し減収となった。米国ワコールは、引き続き得意先の仕入抑制の影響を受けたが、物価上昇率の落ち着きなどとともに消費者マインドの回復傾向が見られたことから一部百貨店で納品が進展し、前年同期と同水準の着地となった。

中国ワコールは、前年同期の新型コロナウイルス禍の厳格な行動制限が実施されていた裏返しから増収となった。しかし、行動制限の解除後も来店客数の戻りは弱く、想定を下回る回復にとどまった。

ピーチ・ジョン事業

ピーチ・ジョン事業の売上収益は前年同期比6.2%減の27億7,000万円、営業利益は同65.1%減の1億3,000万円となった。同期は、セール商品の販売が好調に推移する一方で、コンテンツマーケティングの実施により販売強化に努めたプロパー商品の販売が想定を下回った結果、自社EC、直営店ともに前年同期を下回った。

その他

その他の売上収益は前年同期比0.6%増の34億1,000万円、営業利益は1億5,000万円(前年同期は9,000万円の営業赤字)となった。

同期は、ルシアンは大手衣料品チェーン向けのプライベートブランド商品の販売が低調に推移した結果、減収となった。一方、七彩は大型案件の進捗や新規受注の寄与により増収となった。また、Aiも旅行関連需要の回復などを受け増収となった。

最終利益の進捗率は59.3%、上方修正の可能性は?

8月9日、ワコールホールディングスは2024年3月期・通期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上収益で前期比8.7%増の2,050億円、営業利益は60億円(前期は34億9,000万円の営業赤字)、税引前利益は70億円(前期は6億9,900万円の税引前赤字)、最終利益で48億円(前期は17億7,600万円の最終赤字)と従来予想(5月12日に発表)を据え置いた。

ちなみに、ワコールホールディングスの通期の連結業績予想に対する第1四半期の進捗率は、売上高で23.8%、営業利益で45.5%、税引前利益で57.2%、最終利益で59.3%となっている。特に各利益の進捗率が非常に高く、今後、ワコールホールディングスが上方修正に動くのか気になるところである。■

(La Caprese 編集部)

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