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森永製菓、株価は年初来高値。長期経営計画を見据え、事業規模拡大と収益性向上を図る

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(画像= La Caprese)

2023年5月12日、東京証券取引所で森永製菓の株価が一時4,355円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年2月10日の安値3,630円から3カ月ほどで20.0%の上昇である。

森永製菓は、1899年創業の大手菓子メーカーの老舗(しにせ)である。キャラメルやビスケット、チョコレート等の「菓子」のほか、ココア・ケーキミックス等の「食品」、アイスクリーム等の「冷菓」などの製造、仕入れおよび販売を手がけている。ちなみに、森永製菓のシンボルである「エンゼルマーク」が商標登録されたのは1905年のことで、創業者の森永太一郎氏が当時よく作っていたマシュマロが「エンゼルフード」と呼ばれることにヒントを得て考案した。その後、エンゼルマークのデザインは何度か変更している。現在のエンゼルマークは、1986年から使われている7代目である。

後段で述べる通り、森永製菓が5月11日に発表した2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績は減益となったものの、①2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想で大幅な増益となる見通しが示されたこと、②2023年3月期の年間配当を90円から100円(前の期は90円)に増額し、2024年3月期についても105円と前期比で5円増配の方針を示したこと、③発行済み株式数(自社株を除く)の2.97%にあたる140万株・67億円を上限とする自社株買いを発表したこと……などが株価にも追い風となった。

今回は森永製菓の話題をお届けしよう。

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森永製菓、純利益は63.8%減

5月11日、森永製菓は2023年3月期(2022年4月1日~2023年3月31日)の連結業績を発表した。同期の売上高は前期比7.2%増の1,943億7,300万円、本業の利益を示す営業利益は同13.9%減の152億3,500万円、経常利益は同13.6%減の157億5,700万円、純利益は63.8%減の100億5,900万円と増収減益となった。

同期は、長期経営計画「2030経営計画」で定めた重点領域の各事業が大きな成長を遂げたことにより増収となったものの、原材料およびエネルギー価格の高騰や中長期の成長に向けた戦略的な広告投資などにより、営業利益および経常利益が2ケタの減益となった。加えて、純利益は前期に政策保有株式の売却に伴う特別利益を計上したことも影響して前期比63.8%減と大幅な減益となった。その結果、上記の通り増収減益となった。

主なセグメントの状況は以下の通りである。

食料品製造は増収減益

食料品製造のセグメントは、売上高が前期比7.4%増の1,854億9,100万円、セグメント利益は148億2,800万円で前期比26億1,100万円の減益となった。食料品製造の各事業の状況は以下の通り。

菓子食品事業は原燃料価格の高騰で大幅な減益

菓子食品事業の売上高は前期比2.6%増の743億800万円、営業利益は同52.8%減の15億4,100万円となった。同期は各カテゴリーで価格改定により収益性の改善に取り組んだものの、原材料およびエネルギー価格の高騰の影響が大きく、営業利益は大幅な減益となった。

ビスケットカテゴリーでは「森永ビスケット」が第1四半期に実施した生産ライン増設工事による一時的な商品供給制約の影響があったものの、第3四半期以降の「ムーンライト」の積極的なプロモーションと新商品の発売、「マリー」100周年の取組みなどが奏功し、前年実績を上回った。

キャンディカテゴリーでは、「ハイチュウ」が食感を訴求する商品およびプロモーション展開の強化により、スティック・パウチ・袋の全ての商品形態で好調を維持し、前年実績を大きく上回った。「森永ラムネ」も受験生に向けた商品およびプロモーション展開が奏功し、ブランド全体で過去最高の売上高を記録した。

チョコレートカテゴリーは市場が伸び悩む中、「カレ・ド・ショコラ」が上質チョコレートブランドとして価値強化に取り組んだものの、前年実績を下回った。「ダース」は品質リニューアルに合わせたプロモーション展開や新商品の発売により、前年実績並みとなった。「チョコボール」は、発売55周年を記念するプロモーション展開や新商品の発売が寄与し、前年実績を上回った。

食品カテゴリーでは、「森永甘酒」「森永ココア」ともに健康ブランドとして強化するべく、引き続き機能価値を訴求するプロモーションを展開したが、前年実績を下回った。

冷菓事業の営業利益は29.0%減

冷菓事業の売上高は前期比0.8%増の405億3,300万円、営業利益は同29.0%減の34億4,500万円となった。同期は、価格改定により収益性の改善に取り組んだものの、原材料およびエネルギー価格の高騰、減価償却費の増加により、営業利益は大幅な減益となった。

同期は、「ジャンボ」グループで発売50周年を迎えた「チョコモナカジャンボ」と「バニラモナカジャンボ」において、冬季限定品の発売や品質リニューアルに取り組むとともに、パリパリ食感を訴求するプロモーション展開が奏功し、前年実績を上回った。通年発売3年目となる「板チョコアイス」は、品質特徴を活かしたプロモーション展開により購入率拡大に取り組んだものの、前年実績を下回った。「アイスボックス」は、喫食シーン訴求などのターゲット別のプロモーション展開により、最需要期の購入率拡大に加えて、秋冬期の需要も獲得し、年間を通して好調に推移した。

in事業は増収増益

in事業の売上高は前期比9.2%増の306億200万円、営業利益は同3.1%増の70億2,000万円となった。同期は、原材料価格の高騰に加え、広告投資などのコストも増加したものの、売上高が好調に推移したことにより増収増益となった。

同期の「inゼリー」は、新型コロナウイルス禍における生活スタイルの変化に対応し、間食や仕事・勉強中などの飲用シーンの他、体調不良時の栄養補給や健康維持ニーズを獲得した。2022年12月には価格改定を実施したものの、引き続き好調に推移した。一方、「inバー」は新商品を発売するなど商品ラインナップの見直しを行ったが、プロテイン摂取手段の多様化による競争環境の激化が続き、前年実績を下回った。

通販事業では「おいしいコラーゲンドリンク」の二ケタ成長が続く

通販事業の売上高は前期比12.6%増の102億8,500万円、営業利益は同93.4%増の6億5,900万円となった。同期は、積極的な広告投資の継続、原材料価格高騰などのコストが増大したものの、売上高が好調に推移したことに加え、価格改定効果により、大幅な増益となった。

同期の「おいしいコラーゲンドリンク」は、2月に実施した価格改定により一時的に解約が発生したものの、売上高は二ケタ成長を維持した。また、通販事業の第2の柱候補の商品である「おいしい青汁」も着実に定期顧客数を増やし売上高を拡大した。

事業子会社の営業利益は109.8%増

事業子会社の売上高は前期比25.5%増の81億9,800万円、営業利益は同109.8%増の6億2,600万円となった。

同期は子会社のアントステラが、全国の直営店において催事向けのギフト商品や、品揃えを強化した量り売りの販売が好調だった。また、大手量販店の銘店コーナーでの販売好調も寄与した。一方、森永市場開発は、新型コロナウイルス禍の行動制限緩和により、テーマパークおよびアンテナショップにおける販売が好調に推移し、売上高は前年実績を大きく上回った。

米国事業の営業利益は伸び悩む

米国事業の売上高は前期比38.9%増の146億5,400万円、営業利益は同0.2%減の14億7,600万円となった。同期は増収および価格改定効果の一方で、原材料価格や海上運賃の高騰、人件費の増加や「Chargel」への先行的なマーケティング投資により営業利益は伸び悩むこととなった。

米国事業では、「HI-CHEW」がブランド認知およびロイヤリティ向上に向けて、サンプリングなどのマーケティング活動を積極的に展開し、2022年2月および11月に実施した価格改定以降も好調に推移した。加えて、全米各地において引き続き販売店率が拡大したことも寄与し、売上高は前年実績を大きく上回った。なお、米国事業の第2の柱として本格的な取組みをスタートしたゼリー飲料「Chargel」は、スポーツイベントでのサンプリング活動をはじめ、広告やPR活動を強化し、スポーツシーンにおけるブランド認知向上に向けてターゲットへの接点拡大の取組みを積極的に推進した。

中国・台湾・輸出等は大幅な増収増益

中国・台湾・輸出等の売上高は前期比17.6%増の68億800万円、営業利益は同69.3%増の5億6,900万円となった。中国では新型コロナウイルス禍のロックダウンの影響もあったが、「HI-CHEW」の販売は好調に推移した。台湾では、前年の新型コロナウイルス禍での売上苦戦の反動もあり、「HI-CHEW」、キャラメル、「inゼリー」のいずれも前年実績を大きく上回った。

食料卸売は増収減益

食料卸売の売上高は前期比5.8%増の62億7,700万円、セグメント利益は2億7,400万円と前期比7,200万円の減益となった。

不動産及びサービス

不動産及びサービスの売上高は前期比0.4%増の19億2,400万円、セグメント利益は8億4,700万円で前期比2,600万円の減益となった。

長期経営計画を見据え、事業規模拡大と収益性向上を図る

5月11日、森永製菓は2024年3月期(2023年4月1日~2024年3月31日)の連結業績予想について、売上高で前期比5.0%増の2,040億円、本業の利益を示す営業利益で同13.5%増の173億円、経常利益は同13.0%増の178億円、純利益は同21.3%増の122億円と大幅な増益となる見通しを示した。

森永製菓は、持続可能な社会の実現に貢献しつつ、長期経営計画「2030経営計画」の達成に向けて中長期的な成長を果たすべく、高い収益性、成長性が見込める事業へ経営資源を集中することで事業ポートフォリオの転換を図り、事業規模の拡大と収益性の向上に取り組む方針である。また、投資原資を安定的に創出するべく、一層の経営効率化と財務戦略に基づく安定的な資金調達により、R&DやDXへの投資を強化することで中長期の成長に資する基盤づくりを推進する意向を示した。

なお、冒頭で述べた通り、森永製菓は同日、2023年3月期の年間配当を90円から100円(前の期は90円)に増額し、2024年3月期についても105円と前期比で5円増配の方針を示した。あわせて、発行済み株式数(自社株を除く)の2.97%にあたる140万株・67億円を上限とする自社株買いを発表した。取得期間は2023年5月12日から2023年5月19日までである。

引き続き、森永製菓の業績や株価を注視しておきたい。■

(La Caprese 編集部)

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