ブルーライトと聞くと、まず「視力への影響」を連想する人も多いことだろう。だが、第一三共ヘルスケア(本社:東京都中央区)の研究によると、ブルーライトに当たることで、肌に炎症が生じ、しわの原因となるコラーゲンの低下やしみの原因となるメラニンの産生促進を誘発することが判明している。さらに、ブルーライトは好中球と呼ばれる免疫細胞にも働きかけ、それらを殺してしまうことも明らかになっている。
注目されるのは、第一三共ヘルスケアが全国の20歳以上の男女400人に行なった『ブルーライトに関する意識調査』である。調査では、ブルーライトから連想するものとして「スマホ・パソコンなどのデジタル機器」との回答が89.3%に達し、「太陽光」を連想した人はわずか3.8%にとどまった。ブルーライトはスマホやパソコンからも発せられているが、照射強度が格段に高いのは「太陽光」であることが意外と知られていない状況が浮き彫りとなった。
今回は第一三共ヘルスケアが公表した『ブルーライトに関する意識調査』とあわせて具体的な対処法についても紹介したい。
【TOPIC❶】ブルーライトの同時間における照射量、7割以上が「スマホ・パソコン>太陽光」と誤解
ブルーライトから連想するものは「スマホ・パソコンなどのデジタル機器」が89.3%と大多数。
20歳以上の全国の男女400名に、ブルーライトから連想するものについて聞いたところ、89.3%が「スマホ・パソコンなどのデジタル機器」と回答。次いで「テレビ」(23.0%)、「LEDライト」(15.5%)と続き、圧倒的に「スマホ・パソコン」を連想する人が多いことが分かった。一方、「太陽光」を連想した人はわずか3.8%となり、大多数はブルーライトと太陽光が結びついてないことが判明した《図表1》。
ブルーライトの同時間における照射量は「スマホ・パソコン>太陽光」と誤解している人が多い
ブルーライトはスマホ・パソコンからも発せられるが、照射強度が格段に高いのは太陽光である。しかし、今回の調査では、ブルーライトの同時間における照射量について、「太陽光」より「スマホ・パソコン」のほうが多いと回答した割合は73.8%に上り、多くの人がブルーライトの照射強度を「スマホ・パソコン>太陽光」と誤解していることが分かった《図表2》。
ブルーライトの影響が最も大きいものとして「太陽光」と回答をした人はわずか2.8%
続いて、ブルーライトによる影響が最も大きいと思うものを聞いたところ、89.0%が「スマホ・パソコンなどのデジタル機器」と回答し、「太陽光」と回答した人はわずか2.8%のみであった。このことから、発せられるブルーライトの強度が、スマホ・パソコンより太陽光の方が高いことを知らない人が多く、ブルーライトに対する正しい理解が進んでいないことが浮き彫りになった《図表3》。
【TOPIC❷】ブルーライトの“肌への影響”を連想する人は1割程度
ブルーライトの“肌への影響”を連想する人は1割程度
ブルーライトの影響として連想するものは「視力」(73.3%)が最も多く、次いで「眼精疲労」(73.0%)、「ドライアイ」(40.0%)の順となり、“目への影響”を連想する人が多い結果となった。一方、「肌の老化」「肌のしみ」といった“肌への影響”について連想する人は1割程度にとどまり、ブルーライトが肌の光老化促進の原因となることがほとんど知られていない状況にあることが明らかになった《図表4》。
太陽光に含まれるブルーライトによる肌への影響を意識する人は少ない
太陽光による肌への影響については、91.1%が「あると思う(とてもあると思う+まああると思う)」と回答し、広く認知されている。しかし、太陽光による肌への影響が「ある」と回答した人のうち、ブルーライトによる肌への影響(肌の老化・肌のしみ)を連想する人は1割程度にとどまった《図表5》。そもそも、太陽光の中にブルーライトが含まれていることがほとんど認知されていない状況にあることが明らかになった。
ブルーライト対策として“肌のケア”を行っている人は2.3%
ブルーライトの対策については、半数以上(54.0%)が「特にケアしていない」と回答している。何かしらの影響があることを理解しつつも、実際にケアしている人は少ないのが実情のようだ。また、ケアの内容については、「ブルーライトカットメガネの使用」(27.3%)、「長時間スマホ・パソコンを使用しないようにする」(16.0%)といった“目のケア”を行っている人は一定数いるものの、「ブルーライト対策のための肌ケア」を行っている人はわずか2.3%のみであった。「長時間太陽光に当たらないようにする」という回答も14.0%にとどまり、ブルーライト対策としての肌ケアが浸透していない実態が明らかになった《図表6》。
日差しが強い夏の時期には、日焼け止めなど「UVカット対策」をしている人も多いと思うが、「紫外線」と「ブルーライト」では光の波長が異なるため、一般的なUVカット剤ではブルーライトは十分に防ぐことはできない。また長時間浴び続けると肌の光老化につながり、しみ・しわの原因にもなる。肌のケアとしてもブルーライト対策を日頃から心掛けることが大切である。
【TOPIC❸】ブルーライトの影響を正しく理解して、日々のスキンケアの中でも対策を
今回の調査によってブルーライトによる肌への影響が認知されていないことが明らかになった。これらの結果を踏まえ、ブルーライトが及ぼす肌への影響や、その対処法について、第一三共ヘルスケアの研究開発部/研究センターの久保 沙耶香(くぼ さやか)さんの解説を紹介したい。
「太陽光」のブルーライト強度は「スマホ・パソコン」よりも圧倒的に高い
ブルーライトとは、波長が約380~500nmの青色の光で、目に見える光線の中で最も短い波長の光のことです。肌にしみやしわを誘発することで知られる紫外線と波長が近いですが、より長波長であることから、紫外線よりも肌の奥まで到達されることが予想され、一般的なサンスクリーン剤では防ぎきれず、肌の内部へと影響を及ぼすと考えられています。
今回の調査結果からも分かる通り、近年ではLEDライトなどの照明機器にブルーライトを使用するようになったことから、「ブルーライト=デジタル機器」のイメージを持たれる方が多くいらっしゃいますが、実際には「太陽光」にも多くのブルーライトが含まれます。今回の調査の中で、7割以上の人が「太陽光」よりも「スマホ・パソコン」の方がブルーライトの照射量が多いと回答していましたが、実際には「太陽光」によるブルーライトの照射強度は、「スマホ・パソコン」よりも高く、影響が大きいことが分かっています。
ブルーライトはしみ・しわなどの肌の光老化を誘発し促進する
ブルーライトと聞くと、「視力への影響」を多くの方が連想されますが、ブルーライトに当たることで、肌に炎症が生じ、しわの原因となるコラーゲンの低下やしみの原因となるメラニンの産生促進を誘発することが研究結果により明らかになりました。さらには、好中球といわれる免疫細胞にも働きかけ、それらを殺してしまうことが分かりました。そのため、ブルーライトはしみ・しわなどの肌の光老化を誘発するだけでなく、好中球の細胞死を引き起こし、光老化を促進させると考えられます。
「トラネキサム酸」にはブルーライトによる光老化促進の要因を抑制する作用あり
第一三共ヘルスケアが行った研究では「トラネキサム酸」にはこれらブルーライトによる光老化促進の要因を抑制する作用があることが分かりました。そのため、トラネキサム酸が配合されたスキンケア製品を使うことで、ブルーライトの影響を低減できる可能性があると考えられます。
スキンケア製品を選ぶ際は、ぜひ一度成分表を確認し、「トラネキサム酸」が配合されているかを確認してみてください。太陽光だけではなく、その他ライトやスマホ、パソコンなど、多くの人が生活のあらゆる場面で無意識に「ブルーライト」と接触し、長時間その影響を受け続けています。今回の調査を通して、ブルーライトの影響を正しく理解し、日々の生活の中でもブルーライト対策を心掛けましょう。■
(La Caprese 編集部)