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なぜ、心理状態によって「肌のコンディション」は変化するのか?――シーボンの研究成果

ストレス,肌,関係性
(画像= Canva、La Caprese)

心理状態による肌変化に真皮のヒアルロン酸が関与していることを発見。――2023年4月18日、化粧品の研究開発・製造・販売に携わるシーボン(本社:東京都港区)から、そのような研究成果が発表された。

シーボンは、全国のシーボン.フェイシャリストサロン(会員制/直営96店舗、代理店4店舗)を中心に化粧品販売やアフターサービスを提供している化粧品メーカーである。1966年に創業した同社は、「美を創造し、演出する」という企業理念に基づき、化粧品の力を最大限に引き出す独自の方法として、ホームケア (自宅でのスキンケア)+サロンケア(定期的なサロンでのプロのお手入れ)を提唱している。

今回はシーボンの研究成果を紹介したい。

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シーボン、心理性ホルモンと肌との関連性の研究

シーボンでは、心と肌を科学することで素肌が本来持っている美しさの可能性を引き出すことを目指し、心理性ホルモンと肌との関連性の研究に取り組んでいる。今回の研究では、幸福感を感じている人は肌状態が良好である一方、ストレスを感じている人は肌が不調であるという現象に着目した。心理状態と肌状態が連動するならば、心理性ホルモンによって変動する肌因子があると仮説をたて研究を行った。

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(図1)研究概要のまとめ
出典:シーボン

肌のハリやたるみに重要な真皮のヒアルロン酸量が心理性ホルモンによって変動する

まず、幸福感により分泌されるホルモンとして代表的な「オキシトシン」、心理ストレス時に分泌されるホルモンである「アドレナリン」を、正常ヒト真皮線維芽細胞(NHDF)に添加した時の遺伝子変動を調査した。

その結果、オキシトシンの添加により、ヒアルロン酸合成に関わるHAS2が、アドレナリンの添加により、ヒアルロン酸の分解に関わるHYBIDが、それぞれ増加していることを発見した(図2)。さらに、細胞から分泌されるヒアルロン酸量がオキシトシン添加によって増加し、アドレナリン添加によって減少することが明らかになった(図3)。

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(図2)オキシトシンとアドレナリンによるヒアルロン酸関連遺伝子の発現量変動
出典:シーボン

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(図3)オキシトシンとアドレナリンによるヒアルロン酸量変動
出典:シーボン

以上の結果から、心理状態と肌状態が連動する肌因子として真皮ヒアルロン酸が関与している可能性が考えられる。真皮のヒアルロン酸は水分を抱える役割があるため、この結果は心理状態が肌のハリなどに影響を与えうることを示唆している。

アドレナリンはオキシトシン受容体を抑制する

次に、オキシトシンとアドレナリンの相互関係を調べるため、各ホルモン添加時の受容体への影響を確認したところ、アドレナリンによってオキシトシン受容体の遺伝子発現量が優位に減少することを見出した(図4)。

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(図4)アドレナリンによるオキシトシン受容体の遺伝子発現への影響
出典:シーボン

このことから、心理ストレスによりアドレナリンが優位になると、オキシトシンの作用が抑えられ、よりヒアルロン酸が減少する可能性が考えられる。

心理ストレスによるヒアルロン酸減少を防ぐ可能性のあるエキスを発見

ちなみに、アドレナリンによるヒアルロン酸の減少を防ぐため、アドレナリン受容体の遺伝子発現を抑制するエキスを探索した結果、ノイバラ果実エキスとセンチフォリアバラ花エキスにその作用があることが判明した(図5)。

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(図5)エキスによるアドレナリン受容体の遺伝子発現への影響
出典:シーボン

以上の研究結果から、「ノイバラ果実エキス」と「センチフォリアバラ花エキス」を配合した化粧品によって、心理ストレスによるヒアルロン酸減少を防ぐことが期待できる。

なお、本研究成果は2023年3月25日~3月28日に開催された日本薬学会第143年会において発表された。シーボンのさらなる研究成果を期待したい。■

(La Caprese 編集部)

特集:美肌を科学する
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