記事内に広告が含まれています。

エッセイ:サラ川で 笑顔いっぱい 福を呼ぶ

サラリーマン川柳,面白い
(画像= mugphotostyle / 写真AC、La Caprese)

「ボディコンを 無理して着たら ボンレスハム」(となりのトトロ)。

上記は1991年に第一生命保険が発表した「第4回 サラリーマン川柳」で1位を受賞した作品である。「サラリーマン川柳」は、その年の景気や流行といった世相を反映しつつも、人々の悲哀をユーモラスに詠んだものが多くみられる。

ちなみに、上記の川柳が受賞した1991年(応募は1990年)の日本経済はバブル末期であった。末期とはいえ、依然として多くの企業が人手不足で、新卒採用はまだ「空前の売り手市場」と呼ばれていた時期である。当時の若者たちの就職活動を描いた織田裕二主演の映画『就職戦線異状なし』(1991年公開)が大ヒットしたのもこの年であった。また、1991年はウォーターフロントと呼ばれた東京都港区芝浦にディスコ「ジュリアナ東京」がオープンして一世を風靡した。「ジュリアナ東京」はマスコミでも度々話題となり、ワンレンにボディコン、爪長、トサカ前髪の女性たちが店内で踊る姿を映した映像は「バブルを象徴する」ものとして、テレビ番組等で現在も取り上げられることがある。

もちろん、この時期は一部の専門家から「バブル崩壊」も指摘されていたのであるが、1991年はまだまだ多くの企業が人手不足であり、毎年給料が上がるのが当たり前と思われていた時代であった。当時、筆者は経済誌の編集記者を務めていたのであるが、証券業界の取材先でも「バブル崩壊」について、ほんの数年程度の調整と考えていた人が多かったように記憶している。その後、「失われた30年」に突入するとは誰が想像できただろうか。

スポンサーリンク

苦しいときこそ、辛いときこそ、「ユーモアの精神」を忘れないように

あれから32年――。季節の風物詩ともいえる「サラリーマン川柳」は、応募者や詠まれる内容が多様であることを考慮して、今年から「サラっと一句!わたしの川柳コンクール」(以下、サラ川)に名称を変更した。

2023年1月26日、第一生命保険が発表した「サラ川」には過去最多となる8万5,000句余りの応募があり、そのうち100の作品が選出された。その一部をみてみよう。(5月下旬にベスト10の発表を予定)

▽「また値上げ 節約生活 もう音上げ」(健康奉仕)
▽「飲み会で マスクはずして 知るお顔」(入社2年目のかなた)
▽「小遣いも 「家族割だ」と 値引きされ」(フォーリーフクラブ)
▽「メタバース 四番打者かと 孫に聞く」(阪神ファン)
▽「オミクロン 家族全員 株主に!!」(まだまだ隔離期間中)
▽「物価高 食べる量減り 健康に」(メタボから標準へ)

やはり、物価高で厳しさを増す家計や、新型コロナウイルス禍の日常の出来事などを詠んだ句が目立つ。ただ、厳しい情勢にありながらもどこかユーモアを感じられるところが「サラ川」の魅力であるようにも思う。

「笑う門には福来たる」という諺(ことわざ)がある。福が来るから笑うのではない。この言葉には「笑うからこそ福が来る」という逞しく生きるための、先人の知恵が凝縮されているように感じられる。それは「サラ川」の作品の数々にみられるユーモアの精神にも通じるものがあるように思う。

▽「サラ川で 笑顔いっぱい 福を呼ぶ」(Yukio)

苦しいときこそ、辛いときこそ、「ユーモアの精神」を忘れないように心がけたい。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

連載:編集長エッセイ
朝散歩で一人会議
タイトルとURLをコピーしました