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エッセイ:バーディー大作戦

バーディー大作戦
(画像= Canva、La Caprese)

『バーディー大作戦』をご存知だろうか? 丹波哲郎や谷隼人、松岡きっこたちが演じる「バーディー探偵局」のメンバーの活躍を描いたアクションドラマで、1974年5月から1975年5月までTBSテレビで毎週土曜日の午後9時から放送されていた。

あの頃、土曜日の夜のTBSテレビは最強だったように思う。
当時、小学生の筆者は家族とともに毎週土曜日の午後7時になるとTBSテレビの『まんが日本昔ばなし』、午後7時30分から『クイズダービー』、午後8時からは『8時だョ!全員集合』、そして午後9時からは『バーディー大作戦』を観るのが決まりだった。

小学校のクラスメイトもほぼ全員が土曜日の午後7時から10時までTBSテレビで同じ番組を観ており、月曜日になるとその番組の話題で盛り上がったものである。

バーディー大作戦、ドラゴンの登場に大興奮

だが、小学生の筆者にとって午後9時以降は睡魔との闘いでもあった。スタイリッシュで大人の雰囲気のドラマは、筆者にとって憧れの世界であったが、登場人物の会話の内容もよくわからないまま観ていたように思う。したがって、会話のシーンが続くとどうしても眠くなってしまう。番組がスタートした頃は、『バーディー大作戦』を最後まで観た記憶はほとんどない。

そんな睡魔との闘いに終止符をうったのは、半年ほど経過した頃だった。バーディー探偵局の新たなメンバーに倉田保昭が演じる「ドラゴン」が加わってからだ。

ドラゴンが登場したのは第26話からだった。当初は泥棒を生業とする「怪盗ドラゴン」として敵対するのであるが、ストーリーが進むにしたがって心境が次第に変わり、最終的には泥棒稼業から足を洗ってバーディ探偵局に転職することになる。

当時はカンフー映画の全盛期であり、倉田保昭は香港映画界でブルース・リーと並ぶスーパースターの地位を築いていた。そんなこともあって『バーディー大作戦』に登場したドラゴンは、筆者が通う小学校でも大変な人気だった。筆者もドラゴンの雄叫びをあげながら戦う姿に大興奮して、睡魔が吹き飛んだほどだ。

ドラゴン効果で、駄菓子屋から「カール」が消えたことも

近所の駄菓子屋から、明治が発売しているスナック菓子の「カール」が消えたのも、この時期である。理由は『バーディー大作戦』でドラゴンがカールを食べるシーンが頻繁にみられたためだ。ドラゴンが張り込みをするシーンや、尾行のシーンなど、あらゆる場面でカールを美味しそうにむしゃむしゃと食べていたのだ。

ドラゴンに憧れる子どもたちが、同じものを食べたいと思うのは必然的といえるかもしれない。クラスメイトの間では「カールを食べるとドラゴンのようにムキムキになれる!」といった噂まで広がっていた。当然、筆者もカールを夢中になって食べたものだ。

もちろん、ご想像の通り、いくらカールを食べたところでムキムキになれるわけがない。逆にふっくらとした体型になってしまい、子ども心に軽い衝撃を受けたものである。

「カールを食べるとドラゴンのようにムキムキになれる!」といった噂は、筆者を含む当時の子どもたちが勝手にそう解釈しただけである。恐らく、番組制作者側にはそのような意図はなかっただろう。筆者にとっては、思わず笑みがこぼれてしまう、懐かしい思い出である。

しかし、近年はインターネット上で有益な情報とともに、明らかに誤解を招きかねない宣伝や誤った情報も散見される。いや、それはインターネット上に限った話ではない。なかには笑い話で済まされない誤った情報もある。

玉石混淆といわれるようになって久しいが、情報の「落とし穴」にはくれぐれも気をつけたい。筆者もメディア人の端くれとして、情報の扱いには引き続き細心の注意を払う所存である。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

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