なぜ、パルグループHDの株価は上場来高値を更新したのか?

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(画像= La Caprese)

2023年1月26日、東京証券取引所でパルグループホールディングスの株価が一時2,756円まで買われ、上場来の高値を更新した。2022年4月25日につけた安値1,356円から9カ月で約2倍に上昇した計算である。

パルグループホールディングスは、300円の生活雑貨を中心に販売する「3COINS(スリーコインズ)」のほか、オリジナルブランドの衣料品の企画・販売を手掛ける企業を傘下に置く持株会社である。その歴史は古く、設立はいまから50年前の1973年10月にまでさかのぼる。当時のスコッチ洋服店からカジュアル部門を分離するかたちで、株式会社パルは創業。同年に大阪府堺市のダイエー中百舌鳥店でジーンズショップ「パル青山」を開店した。1988年6月には東京に進出し、渋谷パルコにトレンドショップ「アレグロビバーチェ」を開店。そして、1994年4月に300円ショップ「3COINS」の1号店を大阪市北区茶屋町に開店している。2001年12月には当時のJASDAQ市場に上場。2016年9月には持株会社に移行し、商号を現在のパルグループホールディングスに変更している。

後段で述べる通り(1)1月11日発表の2023年2月期・第3四半期(2022年3月1日~2022年11月30日)の連結業績で営業利益、経常利益、純利益が揃って急増したこと(2)通期の業績予想を上方修正したこと(3)期末一括で実施する年間配当予想を50円から75円に引き上げたこと……などが株価に追い風となったようだ。

今回はパルグループホールディングスの話題をお届けしたい。

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パルグループホールディングス、各利益が2倍以上に増加

1月11日、パルグループホールディングスは2023年2月期・第3四半期(2022年3月1日~2022年11月30日)の連結業績を発表した。同期の売上高は1,206億7,200万円(※「収益認識に関する会計基準」の適用により、当該会計基準適用前の2022年2月期の実績値に対する売上高の増減率は公表していない)、本業の利益を示す営業利益は前年同期に比べて119.9%増加の123億8,700万円、経常利益は同120.2%増の125億9,600万円、純利益は同117.2%増の79億9,300万円といずれの利益も2倍以上に増加することとなった。

同期は新型コロナウイルス禍の行動制限や海外渡航制限の緩和等により経済活動に回復の兆しが見られる一方で、ロシアのウクライナ侵攻の長期化によるエネルギーおよび原材料価格の高騰や、為替の急激な円安進行など先行き不透明な状況が継続した。こうした中、パルグループホールディングスは新型コロナウイルス禍で進めていたECの販売強化を継続する一方で、「高感度ライフスタイル提案型生活産業」を目指し「3COINS」を中心とした新規出店と既存店の増床による大型化を進めた。新型コロナウイルス禍の行動制限の緩和により、人流が増加し商業施設の集客も好転したことなどから、衣料事業の売上高は前年同期に比べて147億900万円増加の776億9,400万円、雑貨事業の売上高は同74億2,000万円増の428億7,700万円となった。

その結果、上記の通り、同期の営業利益、経常利益、純利益が前年同期比でそれぞれ2倍以上に増加することとなった。

通期の業績見通しを上方修正、増配も追い風に

パルグループホールディングスは、2023年2月期(2022年3月1日~2023年2月28日)の連結業績予想について、売上高で1,600億円(※「収益認識に関する会計基準」の適用により、当該会計基準適用前の2022年2月期の実績値に対する売上高の増減率は公表していない)、本業の利益を示す営業利益は前年同期に比べて82.2%増加の137億円、経常利益は同82.1%増の139億5,000万円、純利益は同116.2%増の86億5,000万円となる見通しを示した。これは従来予想(2022 年7月12日公表)に比べて売上高で3.9%増、営業利益で26.9%増、経常利益で26.8%増、純利益で31.1%増の上方修正である。あわせて、期末一括で実施している年間配当予想について、普通配当で60円、今年創立50 周年を迎えることを記念した記念配当で15円の合計「1株あたり75円」に増額すると発表した。

ロシアのウクライナに対する軍事侵攻から来月で1年となるが、いまだに終戦の見通しは立っていない。原燃料価格の高騰などを背景に、この1年は光熱費や生活必需品などの価格上昇が相次いだが、まだまだ家計に厳しい情勢が続きそうな雲行きである。そうした情勢が、生活防衛等の観点から「3COINS」など家計に優しい雑貨店を展開するパルグループホールディングスの業績に追い風となっている側面もあるといえそうだ。■

(La Caprese 編集部)

特集:生活防衛銘柄
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