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エッセイ:ぽっこり下腹を解消するのに「腹筋」を鍛えるのは間違っている?

下腹ぽっこり,へこます
(画像= coji_coji_ac / 写真AC、La Caprese)

「毎日自宅で腹筋運動してたの。でも、ぽっこりと出た下腹が解消されないのよ」

先日、ジムでベンチプレスをしているとそんな声が聞こえてきた。声の主は最近ジムに入会した年配の女性で、トレーナーに「ぽっこり下腹」を解消するにはどうすればよいか相談しているようだった。

読者のみなさんの中にも「ぽっこり下腹」を解消するために腹筋を鍛えている人がいるかもしれない。ひょっとしたら、「ぽっこり下腹」がなかなか解消されず、検索してこのコラムにたどり着いた人もいるかもしれない。

確かに「ぽっこり下腹」を解消するために腹筋を鍛えるのは間違いではない。間違いではないのだが、「効率的か?」といえば話は違ってくる。ぽっこり下腹はさまざまな要因で引き起こされるが、近年大きな原因の一つとして注目されているのが「骨盤底筋」の衰えである。

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骨盤底筋ってなんだ?

骨盤底筋は文字通り「骨盤の底」にある筋肉で、骨盤内の膀胱・子宮や直腸等の臓器を支え、排泄をコントロールする筋肉である。インナーマッスル(深層筋=身体の深いところに位置する筋肉)の一つで、大胸筋や腹筋のようなアウターマッスル(表層筋)と違って目で見て確認することはできない。

骨盤底筋は目で見ることはできないが、その衰えは身体のさまざまな「変化」となって表れる。

広島大学大学院医系科学研究科のスポーツリハビリテーション学研究室講師の前田慶明氏の著書で、日本泌尿器科学会専門医の関口由紀氏が監修した『尿もれ、下腹ぽっこり解消! 骨盤底筋の使い方』(池田書店)では、骨盤底筋の衰えがもたらす身体の変化について「尿もれ、頻尿、姿勢の悪さ、下腹ぽっこり、肩こり、腰痛などの不調」を招く原因になると指摘している。

前述の通り、骨盤底筋は内臓を支え、排泄をコントロールする筋肉である。したがって、骨盤底筋が衰えると、骨盤内の膀胱・子宮や直腸等の臓器を支えることができなくなる。その結果、臓器が下がって下腹がぽっこりと出てくる。内臓周りの腸間膜に蓄積される内臓脂肪も当然下がるので、内臓脂肪の多い人はそれだけ下腹のぽっこりも大きくなる。

ぽっこり下腹の人は「便もれ」リスクも内包している

もう一つ、骨盤底筋の衰えの影響で気になるのが排泄機能の低下だ。

2017年に生理用品、紙おむつなどの衛生用品大手のユニ・チャーム <8113> が2万人の成人男女に実施した調査では、5人に1人が「ちょいもれ便」の経験があることが判明した。「ちょいもれ便」とは軽い便もれや下着への便付着、とユニ・チャームは定義している。

この調査で注目されるのは年代別で大きな差はみられず、20代から30代でも 21.3%が「便もれ(ちょいもれ便を含む)」を経験していたことだ。さらに便もれ経験者の2割以上が「週に1回以上」の頻度で便もれを経験していることも明らかになった。ユニ・チャームは原因の一つとして骨盤底筋の緩みなどを指摘している。

つまり、ぽっこり下腹の人は「便もれ」等の排泄機能の低下リスクなども内包していると考えられる。

ユニ・チャームの実態調査については当サイトでも詳しく取り上げているので、興味のある方はぜひ読んでいただきたい。

ボディメイクは資産形成に似ている?

さて、冒頭で述べたように腹筋を鍛えるのも決して間違いではないのだが、骨盤底筋を鍛えて臓器を正しい位置に戻すほうがより効率的と考えられる。

骨盤底筋などを鍛える種目としては、ケーゲル体操やワイドスクワット、ランジ、マシンではブーティビルダーなどがある。近年はスポーツクラブやヨガ教室などでも骨盤底筋を鍛えるメニューが散見されるので、この機会に問い合わせてみるのもよいだろう。また、摂取カロリーが消費カロリーを下回るよう食生活などを改善することも大切である。

ボディメイクは資産形成に似ている。短期間で結果を出そうとするのではなく、少しずつでも継続し、長期的なスタンスで取り組むことが肝要であることを付け加えておきたい。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

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