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エッセイ:相場は繰り返すのか? 日本株、個人投資家の売り越し額が10年ぶり高水準

日経平均株価,上がる理由
(画像= La Caprese)

我が家では例年、この時期になると海苔が大量に余る。磯辺巻きが好きで、年末に餅と海苔を買い込むのだが、どうしても海苔が余ってしまう。そこで新たに餅を買うと、今度は海苔が足りなくなって餅が余る。そして、再び海苔を買うことになる。これを何度か繰り返しているうちに、1月下旬を迎えている。

まさか、餅屋と海苔屋の陰謀に嵌められているわけではないとは思うが、餅と海苔の数をピタリと合わせて購入するのは、本当に難しい。こうした我が家の磯辺巻きラリー(餅と海苔の関係性)は、株式市場の売りと買いの関係性に似ているようにも思う。

今週は日経平均株価が一時3万6,000円を上回り、取引時間中としては1990年2月以来およそ34年ぶりの高値を更新した。東京証券取引所が1月18日に発表した投資部門別売買状況(1月9日〜1月12日)を見ると、海外投資家は現物と先物を合わせて1兆4,439億円の大幅な買い越しとなった。一方、個人投資家は1兆695億円の大幅な売り越しである。

最近の日本株は、主に海外投資家の買いと個人投資家の売りが交錯する中で上昇していたことが読みとれる。

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個人投資家の売り越し額、10年2カ月ぶり高水準

個人投資家の売り越し額1兆695億円は、2013年11月第2週に記録した1兆1,526億円以来およそ10年2カ月ぶりの高水準である。

10年2カ月前といえば、2013年11月14日に日経平均株価がチャート上の「三角持合い」を上放れるという出来事があった。この年、日経平均株価は5月22日の取引時間中に1万5,706円(終値は1万5,627円)の高値を付けたのであるが、その後は調整安を強いられていた。終値ベースで見ると、7月18日の1万4,808円、9月26日の1万4,799円、10月22日の1万4,713円と、いずれも1万4,800円付近で跳ね返されていた。当時は筆者も1万4,800円は強力な上根抵抗線の印象を受けたものである。

上記の通り、2013年11月第2週に個人投資家の売り越し額が1兆1,526億円にまで膨らんだのは、それまでの「1万4,800円付近で跳ね返されていた」経験則が働いていたのが原因かもしれない。ところが、日経平均株価は11月14日の終値で1万4,876円と「三角持合い」を上放れると、翌11月15日には1万5,165円、11月21日には1万5,365円、そして11月28日の取引時間中には1万5,729円(終値は1万5,727円)と5月22日の高値を突破、個人投資家にとっては人気の裏目が出る結果となった。

ちなみに、筆者が毎年1月に磯辺巻きラリーを繰り返しているのは、(余った海苔が)もったいないからである。自覚はしているのだが、なかなか改善することができない。最近の日本株も同じようなもので、(損切りが)もったいないという気持ちが消えないうちは整理進展しないかもしれない。

「歴史は繰り返す」とはローマの歴史家クルチュウス=ルーフスの言葉であるが、果たして「相場も繰り返す」のだろうか? 10年2カ月ぶりの高水準に積み上がった個人投資家の売りポジションの行方とともに気になるところである。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

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