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エッセイ:AIライティングツールを使いこなすために最低限必要なこと

AIライティングツール,生成AI 朝散歩で一人会議
(画像= skyhigh.ring / 写真AC、Canva、La Caprese)

生成AI(人工知能)の進化が加速している。2023年12月6日、米IT大手のGoogleは生成AI向けの新たな基盤技術となる「Gemini(ジェミニ)」を発表した。これまでの生成AIでは文章や画像、音声をそれぞれ学習させていたが、Geminiはこれらを組み合わせて学習しているのが特徴で、より複雑な回答が可能になる。

たとえば、Googleが公開した動画(下記参照)では、Geminiに手書きの絵を見せると「私には鳥のように見えます」と音声で回答、次に背景に水面を書き足すと「アヒルです」と指摘する様子が披露されている。さらにそのアヒルの絵を色鉛筆で青く塗りつぶすと「このアヒルは青い色をしています」「アヒルにはあまり見られない色です」と即座に反応を示した。この動画を見る限り、Geminiはほとんど人間と変わらないコミュニケーションレベルに達しているように見受けられる。

それにしても、2022年11月に米OpenAIの「ChatGPT」が公開されてからまだ1年あまりである。わずか1年でここまで進化を遂げるとは、ただ驚くばかりである。

問題はその生成AIを扱う人間である。どんなに優れたテクノロジーも使いこなすスキルがなければ宝の持ち腐れである。たとえば、この1年ほどで様々なニーズに対応したAIライティングツールが登場しているが、筆者の周りでは「役に立たない」といったネガティブな意見も散見される。生成AIはまだまだ発展途上のテクノロジーであり、課題が多いことは確かである。しかし、生成AIを扱う人間側のスキルにも問題があることは否めない。

AIライティングツールを使いこなすために最低限必要なことは?

AIライティングツールは、生成AIを活用して文章を作成(生成)する画期的なプロダクトである。しかし、そもそも人間側にAIライティングツールが生成した文章の「善し悪しを見定めるスキル」がなければ、十分に使いこなすのは難しい。たとえば、AIライティングツールに文章の修正をお願いするにしても、「文章の善し悪しを見定めるスキル」がなければ、具体的にどこをどう修正すればよいのか的確にフィードバックするのは難しいだろう。

もちろん、生成AIは賢いので「書き直して!」の一言でもそれなりに対応してくれるが、そのような茫漠としたフィードバックを繰り返しても、茫漠とした文章が戻ってくるだけである。この場合、AIライティングツールが「役に立たない」のではなく、人間側の「文章の善し悪しを見定めるスキル」に問題があると言わざるを得ない。

文章の善し悪しを見定めるスキルを一言でいうと「読解力」となる。「読解力」を高める最も簡単な方法は、本をたくさん読むことだ。とにかく、さまざまな本を手当たりしだいに読むことで、「読解力」を高めることが可能である。生成AIは日々進化しているが、人間側も弛まない努力が求められる。

日本の15歳の「読解力」は世界3位だが…

ちなみに、 OECD(経済協力開発機構)が12月5日に公表したPISA(学習到達度調査)によると、日本は「読解力」で第3位となった。PISAは世界81カ国・地域の15歳(69万人)を対象に2022年に実施したもので、「数学的応用力」は5位、「科学的応用力」は2位と3分野で世界トップクラスとなった。

PISAでは「読解力」について、❶自らの目標を達成し、知識と可能性を発展させて社会に参加するために、テキストを理解し、❷利用し、❸評価し、❹熟考し、これに取り組むこと……と定義している。PISAで測定するのは、社会で生きていくために必要な言語能力で、たとえば商品の安全性を宣伝するWebサイトについて、字句や内容を理解したり記載内容の信ぴょう性を評価したりする問題などが出されたという。

81カ国・地域中で第3位の「読解力」とは素晴らしい成果である。

ただし、先に述べた通り、この結果は2022年時点で15歳を対象に測定した「読解力」であり、残念ながらすべての日本人の「読解力」が高いということではない。たとえば、前回2018年に実施したPISAの「読解力」では過去最低の15位を記録している。当時は、スマートフォンやSNSの普及で長文に触れる機会が減ったことなどが主因とされていた。また、2003年のPISAでは前年の8位から14位に転落し「PISAショック」とも呼ばれた。この結果を受けて、文部科学省は「脱ゆとり教育」を進めたという経緯もある。

最も懸念されるのは、「読解力」の乏しい人がAIライティングツールを使用したときのリスクだ。生成された文章を鵜呑みにして、ネット上で拡散したら何が起こるか……考えただけでもゾッとする話である。生成AIはまだまだ発展途上のテクノロジーであり、課題が多いことは確か。しかし、生成AIを扱う人間側にも大きな課題が突きつけられているのである。■

(La Caprese 編集長 Yukio)

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